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議員団紹介 長谷川薫 議員

2018年9月18日第3回定例会・教育福祉常任委員会質問(生活保護・高齢者福祉と介護保険・平和学習・子どもの貧困問題)長谷川薫議員【2018/10/27】

2018年第3回定例会・教育福祉常任委員会質問(長谷川薫)

1、生活保護行政について

?生活保護受給者の推移と特徴
最初に生活保護行政について質問いたします。今、格差と貧困が広がる中で国民の貧困率は16%に達し、全国の生活保護受給者は現在214万人でほぼ横ばいで推移しています。本市も平成30年3月末の被保護者数は3913人で、前年とほぼ同数で推移しています。本市の生活保護受給者の推移と特徴について伺います。
※国の経済政策や雇用政策の失政が、生活保護受給者が減らない要因になっていると思います。人間らしい暮らしを実現するための施策として、年金の支給額の引き上げや社会保障制度の充実、失業保険の給付期間の延長と給付水準の引き上げ、全労働者の4割にも及ぶ非正規労働者の正社員化、最低賃金の引き上げなどを進めなければ、生活保護受給者は減らせないと思います。

?生活保護制度の周知の強化
次に、制度の周知についてお聞きします。日本の生活保護利用率は先進諸外国よりかなり低く、生活保護を利用する資格のある人のうち、現に利用している人の割合、捕捉率は2割程度にすぎません。数百万人の単位で利用できていない生活困窮者が存在していると思います。貧困が広がる中、生活保護制度は、積極的な機能を持ちながらも、いまだ十分にその本来の機能を果たしていません。   
保護申請が低い理由は、生活保護は恥という意識や生活保護に対する認識不足によるバッシングをおそれて申請をためらったり、年金を受給していたり、働いていたり、持ち家があったら申請ができないと誤解して、自分が生活保護を利用できることを知らない場合などが考えられます。
 これらは、行政による生活保護制度の周知不足が招いていることであり、 生活保護が憲法第25条の文化的な最低限の生活を保障する生存権に基づく制度であり、生活保護の利用は全ての国民に保障されている基本的人権という啓発がもっと必要だと思います。市の広報やホームページで定期的に誰にでも分かりやすく制度の基本事項を周知し、支所・出張所や市の公的施設で広報チラシや申請用紙を置くなど、周知の取り組みを抜本的に強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

※生活保護を受給することへの偏見をなくして、保護を必要とする方に確実に利用、適用することが重要であります。行政の側が、まずこのような認識を明確にして、切れ目のない制度周知と相談体制を強化し、市民に対して、いつで生活に困窮した時には、まず相談に来てくださいというメッセージを送ることが大事だと思います。

?制度の活用促進
次に、制度の活用です。生活保護の扶助費の削減については、すでに2013年8月から段階的に引き下げられ、2015年には住宅扶助基準及び冬季加算も削減されています。平均6.5%、最大10%、総額670億円の生活扶助基準の引き下げです。さらに今年10月から平均1.8%、最大5%、総額160億円もの生活保護費の切り詰めが連続することになります。特に、子どものいる世帯や母子世帯の扶助費削減は、「子どもの貧困」解消に逆行するものです。
 実際、市内の生活保護で生活する方からは、「これ以上、何を削ればよいのか」という悲鳴が寄せられています。このような中で、生保受給者の生活水準がこれ以上引き下げることにならないためにも、現行保護制度の活用を促進する必要があります。
たとえば、生活保護世帯の高校生のアルバイトなどの就労収入については、未成年控除や一定額の収入認定除外される制度があまり認知されていないために、アルバイトなどを控えている場合があります。就労による収入にも必要経費の控除があることを、働く条件がある受給者には周知して、わずかでも最低水準を上回る暮らしができることを知らせることも必要です。
 また、医師が必要と判断すれば、通院時のタクシー利用の運賃の移送費が保障されることや、家具什器費の一時扶助で風呂釜などの更新ができること、猛暑対策として新たに制度化されたエアコンの設置費扶助や対象外の受給者には社協の貸し付け制度があることなどについても周知すべきです。
 そのためにも本市が受給者に渡している「しおり」に、活用できる制度を紹介するなどの充実改善も必要です。また、定期的な面接もして必要な制度の活用を紹介していただきたいと思いますが、見解を。
※一部に、生活保護予算が国や地方の財政を圧迫して大変だということが言われますが、日本の生活保護費のGDPにおける割合はわずか0・6%で、OECD加盟34か国平均の4分の一にすぎません。生活保護費は、国民の命を守る支出であり、財政を圧迫しているのではなく、先進諸外国と比べれば、むしろ、もっと引き上げなければならない費用の一つです。
 また、地方財政においては、生活保護費は四分の三が国負担で、残りの四分の一も地方交付税で措置されるので、実質全額が国負担となっています。保護世帯がふえたことで地方財政に負担がかかることはなく、東京都のような不交付団体を除いて、生活保護費が地方財政を圧迫する関係にはありません。ぜひ制度を活用して、非保護世帯の暮らしを支えていただきたいと思います。
※所得階層の貧困生活層と生活保護基準を比較して生活保護基準が高すぎると判断すると、生活扶助基準額は際限なく下がってしまい、その結果、健康で文化的な最低限度の生活を保障するナショナルミニマムも引き下げられます。

?生活保護申請権の保障
 私は、生活困窮者の生活保護申請にたびたび同席していますが、面接担当者は丁寧に対応し、いわゆる水際作戦と言われるような申請権の侵害になるようなことを直接経験したことありません。
 ところが、私ども市議団で把握しているケースの中には、面接段階で申請を拒否された市民が現実におられます。たとえば、最近、70歳の高齢者が生活に困窮して4回も生活保護の相談に出向いたが、なかなか申請に至らなない。その方から相談を受けた市議団が申請に同行しましたら、「本人が申請の意思を表明しなかったので、申請を受理しなかった」という対応をされていたことがわかりました。しかし、その方は、申請の意思があったから4回も申し出たのです。5回目の面接でやっと申請が受理されました。
また、メンタルの病気で働けず保護申請をした35歳の青年も、1回目の面接では病気で働ける状況ではないことを理解してもらえず、私どもが同行するまで申請を受理されませんでした。
いずれも、私たちが同行せず一人で相談に出向いた方ですが、勇気をもって役所の窓口に行っても追い返される。「水際作戦」、申請抑制と言われても仕方がない事例だと思います。
 基本的に面接時には、手持ち金や活用できる資産がなく、病気や失業などで収入のめどもなく生活に困窮している実態があれば、本人の「申請の意思」を確認して、申請を受けつけるべきと思います。見解を求めます。
※これまでにも、保護申請を拒否された方がなくなる事件が起きて、全国的に大きく報道されたことがあります。2009年6月に、北九州市で生活保護の相談に訪れた無職男性(39歳)に対して、福祉事務所が「健康状態は良好」と判断し仕事探しをするよう説得した結果、申請できなかった男性はその後に孤立死しました。2012年1月には、札幌市で、失業中の姉(42歳)と知的障害のある妹(40歳)がガスも電気も止められたマンションの一室で病死・凍死しました。姉は3度も生活保護の相談に行っていましたが、申請ができなかったそうです。
最後のセイフティーネットである生活保護で救済しなければ、このような命が脅かされる事態が起こりうるという認識をもって、面接に当たるべきです。申請を受理しても審査で保護決定するか否かを正確に判断すればよいと思います。相談に当たっては相談者に寄り添うとともに、何よりも申請権を尊重するように求めておきます。

?ケースワーカーの増員と研修の充実
本市では、現在ケースワーカー1人あたり、国基準の80人を上回る81人を担当しています。受給者に寄り添う相談活動を強めるためにも、ケースワーカーを増員すべきです。また、基本的人権として生活保護制度の活用を積極的に紹介し、受給者の生活の向上を支援する立場に立つケースワークの推進をめざす研修の充実が必要と思います。取り組みの現状をお聞きします。
※いま必要なのは、複雑な制度を熟知したケースワークです。
たとえば、稼働年齢の方には「生活保護制度は一日も早く自分の力で生活できるよう援助する制度です」という指導が行われますが、就労による経済的自立だけを強調するのではなく、自立には生活保護を利用しながらのホームレスや引きこもりなどを克服する「社会生活自立」「日常生活自立」や犯罪からの更生もあります。
被保護者や保護世帯の多様な生活状況も熟知した生活指導が求められます。研修を重視して、ケースワーカーの専門性を高めるとともに、大幅に増員して保護世帯との面接回数を増やすことが必要です。国基準以上増員したケースワーカーの人件費も、全額国が責任を持つよう求めるべきです。
※憲法25条の生存権がすべての市民にきちんと保障される、そういう生活保護行政の推進を強く求めておきます。

2、高齢者福祉と介護保険について

(1)高齢者の貧困問題と生活支援策

?最初に、高齢者の貧困問題と生活支援策についてです。生活困窮者自立支援
法に基づく相談・支援制度が2015年4月からスタートしました。生活保護には至らないものの、生活の支援を必要としている方に対し、自立に向けてのサポートを行う事が法の趣旨です。生活が苦しくなったとき、早目の段階から相談できる窓口が社会福祉協議会に委託して開設されています。多くは就労可能な若い方の相談だと思いますが、高齢者の相談件数と割合はどのようになっているのでしょうか。相談を受けて、生活保護に至る前の高齢者の生活困窮者を支援するための取り組みはどのように行われているのでしょうか。実施状況と今後の取り組みについて伺います。

?高齢者の場合、市役所に直接相談があるのか、地域包括支援センターからなのか、相談経路について伺います。

?相談者との面談を経て支援が必要と判断した場合、高齢者福祉課や介護高齢課など関係各課の支援事業にどのように結び付けているのでしょうか。
 ヘルパー派遣や生活一次資金の貸付など実効ある生活支援がされているのでしょうか、支援内容と効果について。それぞれ見解を伺います。

※生活に困窮している高齢者は、多くの方が月額5〜6万円の国民年金で暮らしている方です。家計の不足分を預金の取り崩しでやり繰りしていますが、預金が底をついて年金だけの生活になった時に生活困窮に転落します。そんなときに社会福祉協議会の生活福祉資金貸付事業の緊急小口資金という制度もありますが、貸し付けまでに日数を要することや、税金の滞納や借金のある方、高齢者のような低年金というだけの慢性的に生活困難な方はそもそも貸し付け対象外とされております。貸し付けの対象ケースは,ほとんどが生活保護を申請し、保護費が支給されるまでのつなぎ資金を必要とする方だと思います。
自立支援法での救済ができない場合は、速やかに生活保護の申請につなげるよう要望します。

(2)介護保険制度について

?特別養護老人ホームの整備について
次に、特別養護老人ホームの整備についてです。2015年の制度改悪以降、特別養護老人ホームは要介護3以上の方という入所制限が導入されました。これによって介護1と2の方は門前払いとなり、特養ホームに入りたくても入れない状態です。介護3以上の方も待機者が多く、すぐには入れません。
在宅での生活が困難となった方は、特養ホームを待機しながら負担の重い有料老人ホームなどに入居している方もいらっしゃいます。入居しても居住費や食費の負担が大きく、これからの生活に不安が募るという方や お金が払えなくなり退所せざるを得なくなったという方もおられます。行く当てのない介護難民がさらにふえることが懸念されています。
 本市においては、要介護3以上の待機者に絞っても市内に約700人の方が特養ホームを待機されています。
第7期介護事業計画では新設は6期計画の250床のうち整備できなかった1カ所72床と既設特養の増床30床とショートステイからの転換20床、地域密着型特養29床の合計151床だけです。これでは待機者解消どころか、国の方針通り、特別養護老人ホームの整備を抑制する立場です。計画を見直し、待機者解消に結び付く整備をめざすべきと思いますが、いかがですか。

※国民年金でも入所できる施設は特養しかありません。だから全国で52万人もの待機者が大問題となっていましたが、国が、入所の条件を原則要介護3以上に縛り込んだために、15万8千人を門前払いにし、見かけ上、待機者を「減少」させました。
 しかし、「要介護度が低くても認知症や老老介護など自宅で暮らすのが難しい高齢者」が多数存在すします。在宅が強要され、介護離職を増えるのは必至です。
 高齢者介護の申告実態を制度改悪でごまかし、有料老人ホームやサ高住に振り向けて責任をおわない介護制度では今後とも介護難民を作り出します。特養の増設に市が責任を負うべきです。

?特養に入所できない方の受け皿として特定施設と呼ばれるサービスつき高齢者向け住宅や養護老人ホーム、経費老人ホーム、有料老人ホームがあります。  
現在、指定を受けた施設に約500人の高齢者が入所しています。介護保険会計からは、昨年度は約11億円の給付費を支出されています。また、特養待機者は、老人保健施設あるいは療養病床、ケアハウスなどへの入所が考えられます。
 これらの施設の介護サービスの提供状態は多様でありますので一概には言えませんが、入所の費用負担が高い割には入所高齢者に十分な介護サービスや食事の質を確保していない施設もあります。介護報酬の不正請求や介護報酬を他の事業への流用で指定を取り消す事例や入所者への事故や虐待、ハラスメントも起きています。
しかも、どの施設も例外なく人手不足が深刻な状況です。サービスの質を確保するとともに、介護職員など人材確保のための支援を市としても責任をもって行うべきと考えますが、市当局はどのような指導監督を行っているのか。利用者や家族などからアンケートなどをとって指導に生かすべきではないでしょうか。見解を。

※在宅介護と異なり、施設介護は入所者の家族には、その介護サービスの実態を十分把握することはできません。高齢者介護の量的整備だけではなく、質の高い高齢者の人権や尊厳が保障される介護サービスが提供されるよう、実態把握と指導監督を強めていただきたいと思います。

?医療や介護は地域社会、経済に不可欠の基盤であり、コミュニティを維持する要です。制度維持のためと説明しながら、給付費の抑制を行うための介護保険制度の連続改悪を中止・撤回するように国に求めるとともに、本市における介護サービスの基盤整備や提供体制を民間事業者任せにせず、特養の増設とともに、小規模多機能介護施設など地域密着型サービスや未実施の24時間定期巡回介護サービス事業を市が主導して立ちあげるべきだと考えます。見解を。

※認知症や寝たきりなど介護度が重い高齢者の在宅の介護となれば、家族が介護を理由とした離職に追い込まれ、収入が大幅に減ってしまうという事例が全国各地で起こっています。
市内で父親を在宅で看取ったという方は、ヘルパーさんの援助も受けながら、制度も目いっぱい利用して、介護をしていましたが、昼夜の区別のない介護で自分自身が限界を感じて、「いつまで父親が生き続けるのかと思った」と苦しい胸の内を話していました。
介護保険は、介護を必要とする人を社会全体で支えるとの理念から生まれました。しかし、現実は特養ホームに入居したいがいつまで待っても入居できない、有料老人ホームも入所費用が掛かりすぎて長期間の入所はできない、という、介護保険の理念からかけ離れた事例が起きています。
介護保険料の負担が増え続けている問題も含め、介護保険制度の下で起きている問題点を直視して、市として国にも意見を上げて、高齢者介護制度の顕在化している問題点の改善を目指していただきたいと思います。


3、子どもたちへの平和教育について

(1)小中学校での取り組み

?太平洋戦争の敗戦から今年の8月15日で73年になりました。日本人は「二
度と戦争をしてはいけない」との反省に立ち、戦後を歩んできました。当時を知る世代が減り、日常に「平和」を意識する機会が少ない中で、戦争の悲惨さや平和の尊さをどう継承していくか。通り一遍ではなく、子どもたちの心に“響く”学習活動が求められています。
 小中学校の現場ではどの教科でどの程度の時間を確保して、どういう内容で教えているのかお聞かせください。

?教科書だけでは、子どもたちにとっては遠い世界の出来事でイメージしにくいのではないでしょうか―。「絶対に風化させてはいけない戦争の歴史」との立場から前橋空襲を題材にした市民ミュージカルも上演されましたが、戦争や空襲体験者が高齢化し、子どもたちは肉親から直接、話を聞く機会も減っていいます。
市内には、前橋空襲で多くの犠牲者が出た市中心部の比刀根橋そばの防空壕跡地の慰霊碑など戦争遺跡があります。  
子どもたちに歴史の悲劇を身近に感じてもらうためにも、授業の中で市内外の戦争遺跡巡りを企画したり、その現場や学校に招いて戦争や空襲体験者から話を聞く機会も必要なのではないでしょうか。見解を。

?世界では、ベトナム戦争やアフガンやイラク戦争など国際紛争が繰り返されていますが、戦後70年以上も日本が海外で戦争をしてこなかった大きな力は、憲法9条の存在です。同時に、憲法を守るための国民・市民の粘り強い運動の成果です。残念ながら、子どもたちの多くは、なぜあのような悲惨な戦争に国民が巻き込まれたのか、日本人は何を間違ったのかなど。歴史の本質を考える深い教育が行われていないのではないでしょうか。
 安倍首相は改憲の必要性を強調していますが、国民の圧倒的多数は、日本が再び海外で戦争をする国になることを望んでいません。
そこで、学校では、侵略戦争の深い反省に基づいて平和主義・民主主義・基本的人権の尊重を中心に制定された日本国憲法をどのように学習されているのでしょうか。見解を。

※学習指導要領には「平和教育」という用語は明示されていません。しかし、教育基本法の第1条(教育の目的)によれば、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」とあります。
このことから、今、教育に必要とされるのは、平和で民主的な国家及び社会を形成する活動に、参加する態度や技能を子どもたちに育てる教育だと思います。
 平和教育においては、原爆の被害や空襲など日本の戦争被害が多く教えられてきた一方で、戦争加害が適切に教えられていない側面があります。戦争被害については体験者からの証言を見聞きすることが多いですが、戦争の加害についてはあまり伝えられてきませんでした。今の子どもたちの中に、日本が第二次世界大戦での一番の被害国だと思う者が多く、また日本が行った戦争加害について詳しく知っている者は非常に少ないです。日本の子どもたちが学ばなくとも、戦争加害の事実は歴史的事実としていつまでも残るわけで、学校教育の中で史実に基づいて正しく教えることが重要といえます。戦争の被害と加害の両面を伝えることにより、自国の歴史を客観的に評価する学習機会を与え、子どもたちに歴史を見る目を公正なものにしていく必要があります。

(2)図書館でのとりくみ
 
?市民の戦争や平和への意識が高まるのは毎年終戦記念日前後の8月が中心です。そうした時期に、多くの子どもたちや市民が足を運ぶ図書館などに、特別のコーナーを設置して、書籍を選んでもらう取り組みが必要です。同時に、子どもたちにはボランティアの協力も得て、戦争の悲惨さと平和の尊さを理解してもらうために、適切な本を選択して読み聞かせすることも大切だと思います。とりくみの状況をお聞かせください。

?前橋には、広島・長崎や大阪などのような公的な平和資料館がありません。子どもたちのためにも図書館の独自企画で、平和を願う趣旨で書かれた書籍の作家を招いての講演会、平和を願う趣旨で作られた良心的な映画や前橋空襲の体験談をまとめたDVDの視聴会などを図書館行事として開催できないでしょうか。見解を。

※幼児期の平和教育は難しさがあるとおもいます。ビデオ、歌、絵本、紙芝居などを、子どもたちには、発達段階に沿った平和を願う図書の選定をお願いいたします。大人には、日本の戦争体験を加害と被害の双方向の視点から判断することができて、平和都市宣言をしている前橋市民として、憲法9条や平和の大切さを認識できるような図書をそろえていただきたいと思います。

2、子どもの貧困問題について

(1)就学援助

?就学援助についてです。私どもは、経済的に苦しい家庭が増えており、就
学援助制度の周知徹底や所得基準の引上げ、利用しやすい制度にすることを求め、たびたび議会質問を行ってまいりました。子どもの貧困をなくしていくためには、関連する全ての分野で制度の抜本的な拡充が必要です。義務教育無償の原則にもかかわらず、無償の対象は授業料や教科書代などに限られ、給食費、制服代、ドリル代、修学旅行積み立てなど、義務教育の家計負担は余りに重過ぎます。生活保護世帯ではない貧困家庭と福祉をつなぐ重要な役割を担っているのが就学援助制度です。前橋市の就学援助は、昨年度は2637人、10.7%が受給し、2億1,762万円が支給されました。生活保護基準額の所得の1.1倍以内・子供二人の4人家族の場合273万円以下ということになっています。東京都府中市では生活保護家庭と収入・所得が生活保護の1.5倍、群馬県太田市は1.6倍までの家庭が支給対象となっています。本市も、生活保護基準の収入認定基準を1.5倍以内に引き上げるべきです。見解を。

?就学援助は低所得者世帯の小中学生の学費を保障する制度ですが、入学準
備金(小学校40,600円、中学校47,400円)は現在、7月に支給されるため、4月の入学時には間に合いません。今年度から、全国では125自治体で入学前の支給が実現しています。本市も入学前に支給するよう改善すべきです。見解を。


?国が2010年に就学援助の項目に加えた「クラブ活動費・生徒会費・PTA会
費」を、現在前橋市は支給していません。特にクラブ活動費については、「部活で1万円のユニフォームを買うように言われたが、とても買えない」「陸上部だが専用の靴が買えない」など、所得が低い方の世帯で辛い思いをされている事例が市内にあります。入学準備金の支給前倒しや増額もそうですが、新3項目もぜひ支給項目に加えるべきです。見解を。

(2)学校給食の完全無料化

?学校給食の完全無料化についてです。学校給食法は食育の推進をかかげて
います。また、憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」としています。日本のすべての子どもたちが教育としての学校給食を保障されるためにも、国が責任をもって学校給食費の無償化することが喫緊の課題であります。そのような中、独自に無償化に取り組んでいる自治体が増えてきました。
 今や、小学校や中学校の給食費の保護者負担を全額補助にしている市町村が76あり、社会的にも大きく注目を集めています。県内では渋川市やみどり市を含む10市町村が実施しています。これらの自治体では保護者から負担が軽減され、大変喜ばれているとのことです。本市のように第3子の無料化など一部無料化を実施している市町村が424自治体に及んでいます。
これまでの「経済的困難な家庭には生活保護や就学援助があります」という従来の姿勢から前進して、「義務教育は無償」という憲法26条の原則からも、小・中学校給食費の無償化を検討する時期ではありませんか。総額14億円の財源がかかるので難しいという立場に固執せず、医療費無料化を県に先駆けて段階的にすすめたように、まずは小学校から実施するなどの決断をすべきです。見解を。

?本市の給食費は月額にすると約5500円、年間ですと11か月分をかけて約6万円です。小学校生活6年間ですと、給食費はお子さん一人につき、36万円。保護者の皆さんにとって決して軽い負担ではありません。就学児童生徒が少ない渋川市やみどり市も無料化にかかる費用は一般財源の1%。前橋市の14億円も1%で、負担割合は同じです。
保護者の負担は、給食費を始め、教材費に修学旅行の積立金、水着に体操服。体育館シューズに上履き、部活の道具やユニフォームなど本当に大変です。子さんが1人でなく、2人あるいは3人以上とおられましたらどうでしょう。我が家は就学援助対象ではないけど、家計が火の車状態。ある意味、これも見えない貧困につながるのではないでしょうか。
 他の政令都市や中核市が、まだどこもやっていないのなら、国の動向や他都市の動きを注視するのではなく、前橋市が一番でやって国や県を動かす気概が必要ではないでしょうか。見解を。

?本市が実施している第3子無料化の条件を緩和すべきです。小中学校に3人が同時に通学している条件をなくして、第3子は無条件に無料にすべきです。見解を。

※国や自治体の教育費の支出割合(国内総生産・GDPに占める教育費)は2.・9%、OECD経済協力開発機構34か国中最下位です。6・3%のノルウェー並みに支出すれば、少人数学級の推進や学校給食の無償化もエアコンの設置も実現できます。未来を担う子どもたちのためにお金を惜しまない政治の実現が急務です。ぜひ、前橋市として子どもを産み育てるなら前橋でという声が出るような支援策を推進していただきたいと思います。

(3)フードバンク

?実施団体に対する食料品確保のための支援はどのようにすすめているのでしょうか。個人企業から昨年度は1万5千キロを集めたという報告ですが、米やラーメン、缶詰め、調味料などだけではなく、大型冷蔵庫などの設備を支援して、日保ちのきく野菜や一般食品に対象品目を広げられないのでしょうか。見解を。

?生活相談をする中で、その日食べるものにも困っている方が増えています。配布対象世帯をどのように選定しているのでしょうか。配布期間を3カ月ではなく、多子世帯など生活困窮世帯に継続的な支援ができないのでしょうか。配達ボランティアの確保のための支援も市広報などでおこなえば、配達体制も強化できるのではないでしょうか。見解を。

?飽食の時代と言われる一方で、「お腹いっぱい食べたい」などという辛い言葉を子どもたちから聞きたくありません。細やかな施策の展開で、貧困化する子どもの体と心を守ることができます。生活保護世帯は現物支給になって困難との判断をされていますが、無償で確保した食料品支援は収入認定の対象とならないのではないでしょうか。厚生労働省に判断をゆだねるべきと思うがどうでしょうか。見解を。

※厚生労働省の直近の2015年時点国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は13・9%で、子どもの7人に1人がまだ貧困状態にあり、高止まりしています。ひとり親世帯の貧困率は相変わらず5割を超えます。先進国は2割未満の国が多く、経済協力開発機構(OECD)加盟34か国の中では依然として最低水準です。子どもの貧困をなくすためには、福祉や教育、雇用など多角的な政策の推進が必要ですが、フードバンク事業についても、もっと重視して育ち盛りの子どもたちに、食料が提供できるよう要望し、質問を終わります。


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