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議員団紹介 長谷川薫 議員

2021年第1回定例会・総務常任委員会総務常任委員会〜長谷川薫議員(1,税滞納整理行政2,選挙管理委員会事務の改善3,スーパーシティ構想の問題点4,公共交通の充実【2021/3/19】

総務常任委員会3月17日(長谷川薫)

1、税滞納整理行政について

?1年以上続くコロナ禍の影響で、来年度も納期内の納税ができない市民が増えることが心配されます。コロナによる納税困難者への特別な徴収猶予や換価の猶予を認める納税緩和制度が、今年の2月1日に終了しましたが、新年度も、市民の暮らしや営業の実態に十分配慮した税滞納整理の業務姿勢が求められていると思います。
 収納課では現年分の滞納を担当する係が2係で、会計年度任用職員7名を含めて25人、滞納繰越分を担当する係が2係で、会計年度任用職員2名を含めて15人の職員体制です。40名体制で臨んでいますが、税滞納者への面接や電話連絡が十分行えず、結果として、財産調査をして差し押さえを執行し、接触の機会をつくらせざるを得ないという状況になっているのではないでしょうか。以前より少なくなったとはいえ、令和元年度の差し押さえだけでも4,595件に及んでいます。
 これでは、滞納整理の最後の手段である差し押さえの濫用になっているといわざるをえません。一人ひとりの滞納者の生活実態を把握して暮らしや営業の支援を丁寧に行い自主納付してもらうためには、現状の職員体制をさらに強化することが必要ではないでしょうか。そのためには、新年度予算に職員の増員も必要なのではないでしょうか。また職員研修も実務的な研修だけではなく、市民に信頼される徴税行政を保持できるような研修を実施するための予算が十分確保されているのでしょうか。答弁を求めます。

【提言】収納課職員は、自主財源の確保に向けての責務を果たそうと努力されていると思いますが、生活実態を把握しないまま強権的な差し押さえで収納しようとすれば、市行政への信頼を失うとともに、市民の基本的人権である生存権を奪いかねません。十分留意すべきだと思います。人的体制が弱いことが原因であれば、予算を増額して体制を強化すべきだと思います。

?次に、税滞納整理にあたっては、本税を完納し、延滞金だけの滞納繰り越しをしている方への対応の改善が必要です。納税相談をしたうえで、誠実に延滞金の分納をしている方に対して、担当職員の多くが威圧的態度で、「差し押さえている不動産の公売をするとか、給与や年金、売掛金を差し押さえる」などと発言し、善良な納税者を怖がらせて分納額を引き上げ早期完納を求めようとしています。このような職員の行き過ぎた納税指導を改めるべきと思いますが、どの様に指導されているのかどうか。答弁を求めます。

【提言】今、各係の滞納整理は複数の班体制になっているとお聞きしていますが、収納率、滞納税の納付実績を競うような雰囲気が作られているのではないでしょうか。
  私は、今、必要なのは、滞納を繰り返していた方が、職員の納税意識を高める納税指導によって、滞納せずに納期内納税ができるようになるような取り組みを強め、収納課の優れた事例として全体に広げるような職場環境を作るべきだと思います。努力していただきたいと思います。

?収納課の担当者が税滞納者と滞納繰越金の分納を指導するときには、分納額の一方的な押し付けをやめ、現在の収支状況の下で、生活の維持を困難にせず、家計を最大限節約した上で、毎月いくら納税資金に充てられるかどうかを丁寧に計算したうえで、無理のない分納額を示すべきだと思います。そして双方の合意に基づいて、毎月の納税期限と納税額を示した納付書綴りを渡せば済むと思います。ところが、本市は一部滞納者に分納誓約書に署名捺印をさせて提出させています。これまで、どのような場合に、誓約書を書かせているのでしょうか。また、滞納者全体のうちのどのくらいの方に書かせているのでしょうか。
さらに、誓約書には分納約束が守れなかった場合に、禁止額を無視した給与や年金などの債権差し押さえを認めるなどの但し書きを求めていないのかどうか。答弁を求めます。

【提言】無理な分納額を滞納者に押し付ければ、結局不履行になってしまい、最も打撃の大きい給料や年金の差し押さえにつながると思います。「法定外文書」である任意の「分納誓約書」を、何の説明もなく書かせることはやめるべきだと思います。誓約書を書かせるのではなく、双方で無理のない納得できる分納額を決めることと、分納ができなくなるなどの生活上の困難な事情ある時には、納税の猶予制度があることなどを説明すべきです。

?厚生労働省は、生活保護受給者の保護を受ける前の延滞金については、速やかに滞納処分の停止を行うべきであるという見解を明確にしています。任意で納付を求めるような通知文書を送付したり、一般の税金滞納者と同じ納税督促などは行うべきではないと思います。
ところが、本市で生活保護受給者に納付を求める通知書が届いているのはなぜでしょうか。社会福祉課と収納課の連携を密にして、執行停止を行うべきと考えますが、どの様な対応をされておられるのでしょうか。

【提言】生活保護の扶助費は、憲法25条に定められている最低生活費なので、扶助費から滞納税を支払うと最低生活費を割り込むことになるので、請求自体が憲法違反です。被生活保護者には請求書を出さないことと、けがや病気入院の方で短期で就労可能になる方も含めて、滞納処分の執行停止を速やかに行うよう強く求めておきます。

?職員研修では、自主財源確保を強調した滞納整理の手法だけを指導するではなく、納税緩和制度の的確な運用を行うことも十分周知すべきと思います。現在、どのような研修を行っているのでしょうか。

【提言】若い職員には、とくに、生活困窮に陥っている市民の暮らしに寄り添う態度が必要なことを学ぶように指導すべきです。そもそも、市行政の最大の責務は住民福祉の向上を目指すことです。市民に対応する時には、「市民は噓をつかない人間」という性善説の立場に立つべきです。学歴や社会的地位に関係なく、物事の真理を理解してもらえば、人間的な成長が期待できる、人格も育つという認識に立つべきです。市民は悪賢こく、利己的な人間などという性悪説に立てば、自治体公務員として憲法15条2項の「全体の奉仕者」としての立場には立てないと思います。税務行政の実務家を育成する研修だけにとどまらないようにしていただきたいと思います。

?徴収職員のメンタルヘルスが著しく悪化しているのではないでしょうか。生活困窮者による税滞納者に必要なことは、生活再建を支援して納期内に自主納付ができる納税者に育てることではないでしょうか。窮状を訴えている人をその場しのぎの言い逃れと受け止めて、悪質滞納者と決めつけて、わずかな年金や給与を差し押さえさらに困窮の谷間に追い込むことは、職員自体もつらい思いをするのではないでしょうか。
 生活保護制度や生活困窮者自立支援制度で救済したり、納税や徴収の猶予制度を運用して、延滞金賦課の停止しや差し押さえを解除したり、さらには執行を停止して救済する判断を行い、税滞納者の生活再建を行う役割も果たしてこそ、収納課職員としてのやりがいを感じることができるのではないでしょうか。

【提言】いろいろな角度から質問させていただきましたが、本市の収納行政はまだまだ威圧的な行政となっていると思います。時として、市民の命や暮らしを脅かしています。滞納者の個別具体的な生活状況を丁寧に調査し把握して、自力執行に当たっては高いモラルをもって臨んでいただきたいと思います。滋賀県野洲市のように、税滞納を市民の生活困窮のサインと位置付けて、市の関係部署が総力を挙げ機敏に生活支援を尽くすという、やさしい行政に転換するよう強く求めて収納行政についての質問と致します。

2、選挙管理委員会事務の改善について

?本会議で総括質問もありましたが、私からも選挙管理委員会の投票率を上げる取り組みについて質問します。新年度は総選挙が10月までに必ず執行されますので、総選挙費用だけでも約8800万円が予算化されています。
しかし、先の市議選挙でも投票率が42%に低迷しており、有権者の6割が棄権する現状は、民主主義の危機であり、私たち議員も市民の政治的関心を日常的に高める努力や学校での主権者教育などの充実が必要だと思います。
そこで、選挙管理委員会としても、投票する意思があるけれども、自分の体の状況から、その意思を行使できない。投票所まで行けないので投票を諦めるという現状を改善することが必要だと思います。
現在50ベッド以上の病院や高齢者施設内で設置が認められる不在者投票所の設置をさらに進めるべきと考えます。市内の病院では4ケ所、高齢者施設では30カ所が設置できる施設でありながら未設置です。県選管に指定権限がありますが、今後、高齢化も進み病院入院患者も施設入所者も増えてくることが予想されますので、それぞれの方の投票権を保障するためにも、市選管として施設責任者への積極的な不在者投票所を設置するよう要請をすべきと考えます。いかがでしょうか。

【提言】今回の市議選挙でも、設置していない病院に入院中の方から、「投票したいけれども一時外出の許可が得られないので投票所に足を運べない」という話を聞きました。コロナ感染の問題もあり、家族の送迎が可能な方も、投票できなかった方が大勢おられたと思います。未設置施設や病院に総選挙に間に合うように、選挙管理委員会としての特段の要請を県選管とも連携して実施していただきたいと思います。

?郵便投票制度も、市内の登録者は40人で、市議選挙の投票は27名にとどまっています。福祉部で把握している登録可能と思われる対象者は5759人なので、郵便投票制度の認知度が低すぎるのではないかと思います。高齢化社会の下で、郵便投票は広げるべき選挙方法だと思います。介護保険課や障害福祉課と連携して、対象者に直接働きかけるなど制度の利用をもっと進めるべきではないでしょうか。

【提言】郵便投票対象者が要介護5や体幹障害者など障害の重い方が多いので、最初から投票自体を諦めておられる方が多いともいますが、逆にそうした方々こそ医療や介護などの社会保障制度の改善充実などの要望を政治に届けたいと願っておられる方々だと思います。投票権を保証する立場での選挙管理委員会の取り組みを強めていただきたいと思います。


?高齢化社会の中で、一人ひとりの投票権をどう保障するのかという視点で、現制度の不断の見直しが必要だと思います。今、高齢者施設も小規模施設が増えています。施設内の不在者投票所の設置基準も現在の50名以上を20〜30人程度に引き下げることや、郵便投票制度の対象者基準をもう少し軽度の障がい者まで広げ緩和するよう、国に声を上げるべきだと思います。見解を。

【提言】国政選挙も地方選挙もともに、多額の税金を使って行われる選挙です。今、インターネット投票などIT技術を活用した投票方法が検討されていますが、今後とも選挙にかかわる制度の改善を進めて有権者の投票権を保証するとともに、投票率を向上させて、選挙によって民意が正確に政治に反映されるよう努力していただきたいと思います。

3、スーパーシティ構想の問題点について

?次に、スーパーシティ構想について質問します。内閣府への特区申請が近づいていますが、構想に係わる新年度予算は未来型政策事業費が3753万円、ICT街づくり推進事業費が437万円などですが、今後、特区に指定されれば基本構想などの申請や事業推進に係わる財源負担がさらに求められると思います。国の補助金を期待されていると思いますが、事業実施に関係する各課の事業予算は今後どの程度の規模になると見込んでおられるのでしょうか。

【提言】政府が示している事業を見ると、たとえばデジタル技術を使った都市再生事業戦略、健康医療戦略、未来都市戦略として、自動走行など公共交通のモビリティーサービス、行政のデジタル化など、スマートシティーの具体的なモデル事業が上げられています。すでに、各省庁の新年度予算にも相当の事業予算が計上されています。
今後、前橋市が指定されれば、全額が国の補助金という事業だけではなく、自治体負担も求められる事業もあるのではないでしょうか。国のモデル事業に安易に手を上げて、市民要望に基づく福祉や教育、産業支援などの予算が犠牲とならないようくれぐれも留意するよう求めておきます。

?次に、政府のデジタル庁の設置に向けた規制緩和で、IT産業は今、千載一遇のビジネスチャンスの到来と考えて、特区指定を目指す本市のような自治体に激しい事業獲得競争を展開しています。
本市は、基本構想の提出時には、事業を絞る必要があると思いますが、すでに事業提案している154事業者と市当局だけで決めず、当然、市民参加で慎重に協議すべきと思いますが、どの様に考えているのでしょうか。

【提言】コロナと闘う中で、確かに企業のテレワークや大学のオンライン授業は活用されてきました。ただ、それはあくまでも補助的なものだと思います。一つ一つの事業が、利便性向上に役立ち、住民全体の利益に結び付くかどうか、住民が慎重に選び取っていくことが大事だと思います。市民不在のまま、行政と事業者との協議だけで一足飛びに進んではならないと思います。

?次に、本市が目指すスーパーシティは、自治体、学校、病院、民間企業などが保有する様々な個人情報・いわゆるビッグデーターを、民間企業が運営する国家戦略特区データ連携基盤整備事業に一元化し、デジタル技術(情報技術)と融合させて、新たなビジネスモデルをつくるものです。
内閣府は、人の移動、物流、キャッシュレス決済、行政のオンライン化、そして医療・介護、教育、防災、防犯など5つの領域以上をカバーする未来型の都市づくりと説明しています。いずれも今は行政が責任を持っている分野です。これらを民間企業に開放し、新たなビジネスモデルを構築するところにスーパーシティの本質があります。
市当局は、タウンミーティングなどの学習会や、16カ所での市民説明会、広報でのお知らせなどで市民に構想の概要を説明されてきましたが、スーパーシティ構想が実現すれば、市民生活の中で起きている多くの未解決の課題が解決し、利便性が向上するという実感を持って事業に期待している市民は少ないのではないでしょうか。
 ほとんどの市民の皆さんは、医療や介護サービスの拡充とともに保険料や利用料の負担軽減を強く求めています。また、教育現場では、子どもの人数が減っているのに、毎年のように増え続けるいじめや不登校問題の根絶を願っています。農業就業者の高齢化や後継者不足対策など農業振興策も待ったなしです。さらに非正規労働者などの雇用不安、市営住宅の空き家解消など、すぐにでも解決すべき市政課題があるのに、スーパーシティ構想といっても期待は持てないと考えている市民の方が大部分と思います。人工頭脳やICT技術を活用すれば次々と問題解決が進むなどと、10年後の未来都市づくりをバラ色に描くこと自体問題ではないでしょうか。

【提言】これまでにも、官民の知恵やノウハウを結集してスマートシティーの取組を推進するためのスマートシティ官民連携プラットフォームの充実をめざすとの説明がありました。しかしながら、ICTの専門的の知識を持たない圧倒的多数の住民には、構想や具体的な事業の是非や優先度を判断する力量がないために、結局、事業推進の主人公とはなりえないと思います。今後とも、利潤追求のIT関連事業者が主導して事業が進むことは避けられないのではないでしょうか。そこに、莫大な予算をつぎ込むことは問題だと思います。

?また、今、市民部や政策部のみなさんは、スーパー構想実現のカギは、マイナンバーカードの普及とスマートフォンの保有と前橋IDの登録推進と考えているのではないでしょうか。
しかし、代表質問でも指摘しましたが、個人情報を保護する厳格な法制度も高度な技術を悪用して不正や攻撃、犯罪を行なうサイバー攻撃やハッカー対策も十分でないまま、マイナンバーカードの普及を促進することは大変無責任だと思います。規制緩和によって官民が各種の個人情報を共有していくことは、市民にとっては個人情報の漏洩のリスクがますます高まります。
さらに年金暮らしの高齢者などにとっては、スマートフォンの購入負担と通信料の負担が発生し、生活が脅かされるのではないでしょうか。また、スマフォによるキャッシュレス決済や公共交通利用などの各種アプリを使いこなすこと自体が高齢者などには困難です。いわゆるデジタルデバイスという問題です。
行政への各種申請手続きをオンラインで行うことにも慣れていない市民が多い中で、来庁者ゼロなどの掛け声で行政のデジタル化を進めることは、容易に対応できない市民は、行政サービスから排除されます。
情報漏洩とデジタル化に対応できない市民の問題について、どの様にお考えでしょうか。

【提言】スーパーシティ構想の最大の問題は、住民の権利や個人のプライバシー保護がないがしろにされることです。政府は、これまで個別のデータだった交通、防犯、暮らし、医療、小売などのデータが、全部共通のネットワークつなぎ、道交法の規制緩和で自動運転、地域公共交通でMaaS、都市再生でコンパクト・プラス・ネットワーク、そしてドローンというように、スーパーシティの中心事業を推進しようとしています。
規制緩和とともに、行政が管理すべき住民の様々な情報(住所、年齢、マイナンバー、 納税額、保険料額、健康状態)もビッグデータとして集積管理されます。民間ベースでも買い物履歴やウェブサイ トの閲覧履歴等の情報も集められることになり、個人情報保護、消費者保護の観点から大きな問題があります。

※カナダのトロントで進めていたグーグルの親会社サイドウォーク・ラボによる「未来都市」は、データを管理する箱は民間が作ったものの、管理責任や使用許可は公共がやるので営利目的だけで個人情報を使うのではないと説明されてきましたが、道路などに設置した顔認証センサーで人・モノの動きを把握し、ビッグデータとして活用する計画を進めていたことが分かり、個人情報を収集されることに住民の不安や批判が高まり、大多数の住民が監視社会を拒んで、結局破綻をしています。中国で顔認証が普及しているのは、裏返せば個人データを国家が握る監視社会の強化ということです。

※政府は、スーパーシティー法の中には住民合意というのが真ん中に据わっていると強調していますが、やはり、気がついたら利潤を追求するIT企業中心に進んでいるということがあってはならないと思います。豊かな未来社会を強調しても、個人が大事にされなければ社会の発展はありません。

※菅内閣も今年の9月までにデジタル庁の設置をめざして関係法を国会に提出し、行政のデジタル化を進めています。自治体の窓口業務では、職員が住民と直接接する中で、住民の抱えるいろいろな問題に対応しています。
私は、総務省の「自治体戦略2040構想研究会」が出した報告書で、AIで職員を半減できるという方針が出たことに驚いています。たまたま、今はコロナで対面接触を減らすという意味で、デジタル化を推進し、効率化できるところはAIを入れても良いと思います。
しかし、住民サービスはやはり生身の人間、職員が行っていることですから、職員を半減し、来庁ゼロを目指すというのはとんでもないことだと思います。

4、公共交通の充実について

?市民の移動の権利は、基本的人権です。交通政策に係わる本市の各種事業は、人権としての取り組みになっているかどうかという観点で見ると、まだまだその取り組みはまだまだ不十分で道半ばと思います。
 マイカー保有が全国トップクラスの前橋市で、バスやタクシー、軌道交通を安定的に運営することは事業者にとても大変苦労が伴うと思います。ましてや、コロナ禍の下で、観光(事業)が事実上ストップしているだけに、交通事業者はどこでも経営困難に拍車がかかっているのではないでしょうか。
 このような中であるにもかかわらず、来年度予算を見ると、バス事業者やタクシー事業者への財政支援額はあまり増やしていません。バス路線維持事業で約1億円増えているだけです。マイタクは予算を約4000万円も減額しています。公共交通の充実を求める市民要求と逆行しているのではないでしょうか。
  今、都市計画では、コンパクトシティーとかスマートシティなどと強調していますが、これまでの無秩序な郊外型開発は都市のスプロール化を進め、中心市街地の空洞化、郊外では「買い物難民や交通弱者」を多数発生させるなど高齢者の日常生活を困難にしていまする。今後、免許証を返納する高齢者のさらなる増加も見込まれ、公共交通の施策充実がますます重要となっています。予算の縮減ではなく、増額が必要だと思います。答弁を。

【提言】地域公共交通網形成計画を策定し方針を掲げていますが、路線バスを補完するマイバス路線の充実・拡充、そして交通不便地域解消するための地域交通(デマンド交通)の充実は長年の課題です。これらの施策の到達点は市民の要望に対して十分なものとはなっていません。
事業予算の不足が原因だと思います。

?今、高齢者による事故が増加し社会問題にもなり、運転免許証を返納するか迷っている方が増えていますが、車なしでは買い物も通院も困難な地域で暮らす高齢者にとっては、免許証を返上すれば、たちまち日常生活に支障が生じることになります。
  だからこそ、高齢者の外出支援を強めることが必要です。しかし、公共交通の乗り継ぎを案内するMaaSは、観光地や都市部などでの活用は便利ですが、地方都市の前橋で交通不便地域に住む高齢者などには使い難いサービスではないでしょうか。
 病弱な高齢者の通院手段は、乗換案内ではなく、運賃負担を軽くして病院に直行できるサービスの提供が必要ではないでしょうか。医療費削減や介護負担の軽減にもつながります。予算を増やして適切な施策を検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。

【提言】ワンマイル・タクシーやAI配車タクシーなどの社会事件が行われていますが、高齢者は、タクシーや路線バスを乗り継ぐこと自体が危険を伴います。転倒すると多くの場合、大腿骨を骨折し、長期入院を余儀なくされて、寝たきりになる場合が多いのです。乗り継ぎアプリは、高齢者には不向きです。マースの限界と危険性をよく認識していただきたいと思います。

?次に、高齢者の移動手段を確保するためのマイタクの利用をマイナンバーカードに1本化する方針については、多くの市民の方々が異議を唱えています。そもそも、マイナンバーカードの保有は任意であり、個人情報の漏洩対策が不十分であり、国家による国民管理そのものに反対の立場から保有を拒否している市民が大勢おられます。
  効率化と経費削減を進めること全面否定するものではありませんが、カード取得をせず、現在の紙の登録証と利用券でマイタクを利用している市民がマイタクに乗れなくなることは、行政サービスを平等・公平に提供すべき自治体として問題ではないでしょうか。答弁を。

【提言】マイタク事業の持続のためには、経費削減は避けられないという答弁ですが、思想信条の自由を制限して、マイナンバーカードに一本化してよいはずはありません。総括質問でも、マイタク専用のICカードで利用できるようにすべきです。今でも、金融機関では健康保険証を見せれば顔写真がついていなくても本人確認をしています。マイタク不正利用はほとんどないのではないでしょうか。一本化の撤回を強く求めておきます。

?高齢者は加齢に伴って、体のあちこちが悪くなります。内科はもちろん耳鼻咽喉科や整形外科、眼科、歯科など多くの病院受診が必要になってきます。マイタクの利用回数を減らす改悪は、高齢者のいのちと健康を守るための支援切り捨てにつながります。現行の制度で70回以上使っている高齢者は約1割と集計していますが、実際の利用状況を調査したのでしょうか。
マイタクの利用を拡大することは、経費が掛かると心配されているようですが、交通弱者支援の財政支出は結果として、医療費削減や介護負担の軽減につながり、健康寿命を延伸させるなる効果を必ず生み出します。そうした認識で、マイタク事業を縮小せず、改善充実が必要だと思いますが、どのようにお考えか、お聞かせください。

【提言】高齢化の進展が顕著で、買い物難民、あるいは病院への通院、日常生活における移動手段の確保は、ますます重要な課題です。高齢者など移動が困難な方への支援は地域包括ケアの対策でもある。交通政策のみならず、福祉や街づくり政策、産業政策とマッチングしながら進めるよう強く求めます。 

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