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議員団紹介 近藤よしえ 議員

2009年度決算反対討論【2010/9/24】

             2009年度決算反対討論 
 9月24日の9月議会で昨年度の決算について共産党市議団を代表して反対討論を行ないました。以下報告します。 
 今年7月の参議院選挙で民主党は国民生活第一といいながら、経済を立て直すにはまず消費税の増税が必要と主張しこの間の国民の暮らしの悪化をより加速させる政策を掲げました。これに対し国民は、咋年来からの民主党政権に期待はずれだったと厳しい審判を下しました。新自由主義に基づく「構造改革」路線をさらに推し進めた結果、貧困
と格差を生み出した政治は、いまやふせぎようのない深い傷跡を残しています。本市においても経済の減速と労働法制の規制緩和による非正規労働者の増加、官製ワーキングプアーの増大など雇用悪化がすすみ、社会保障費の削減による福祉、介護、医療制度の
後退、さらに輸入自由化による農業経営の危機的状況など深刻な実態です。市長は実質収支が7億579万円黒字であることや、この間の努力で市債を縮減できたことを強調しています。しかし、国の悪政の防波堤となり本気で深刻な経済不況から市民生活を守ったのか、福祉や教育施策は市民の願いに答えているのかが検証されなければなりませ
ん。そこで、2009年度決算では以下各行政分野別にわたって問題を指摘しました。

              不要不急の公共事業
 本市は昨年度富士見村と合併し中核市になりました。市域も拡大し行政の権限の拡大により2200余りの事務事業が県から委譲されました。しかし、莫大な仕事量が増大したにもかかわらず正規職員を増員することなく削減する一方で非正規職員は全職員の37%に及んでいます。職員は市民生活を支える役割を持っているにもかかわらず、このような現状では全体の奉仕者としての役割を果たせず、市民サービスの質が低下して安上がりの行政になっています。
 本当の行財政改革とはいかに行政サービスを効率よく的確に行なうかであります。しかし、費用対効果を厳格に判断するといいながら、無駄な行政執行をしています。具体的には共愛跡地の売却です、取得時には23億5千万円だったものが公売の最低価格では5億円余りで大変な損失も予想されます。しかも、いまだに買い手がつかない状況で
す。むしろ市有地として保有し、高齢施設や市営住宅などを建設するほうが市民の役に立ちます。前工跡地の土地の取得も市が十分調査し買い急がなければ今日のような事態を招くことなく莫大な損失を発生させなかったのです。
 さらに、前橋工業団地造成組合の赤字解消を図るため、一昨年に続き昨年度は12億1225万4千円を一般会計から繰り入れたにもかかわらず、すでに長引く不況で前工団事業は財政破綻の状況です。しかも朝倉工業団地はオーダーメイド方式といいながら実際に拡張面積全てが売れるかどうかわからない事業に対してすでに道路整備などの投
資しようとしていることは問題です。さらに、下増田運動広場を事業化するために買取った土地の整備など急いでいることも問題であります。市長は選択と集中といいながら開発優先し不要不急の公共事業のために際限なく税金を投入することをやめ、その財源を市民サービス向上の柱となる職員の確保や福祉や教育の充実など市民生活に密着した
事業に振り向けるべきです。

             乱暴な収納行政は問題
 行き過ぎた滞納整理は市民の生存権を脅かすものであります。景気の低迷により失業や所得の減少で市民生活は深刻です。ところが昨年度の一般税を滞納している市民に対して、不動産1094件、預貯金や給与や年金など6200件合わせて7295件も差し押さえています。党市議団にもたくさんの相談者が訪れます。前橋市は適正なルール
に基づいて執行しているといいますが、差押え件数は全国の中核市の中でも政令市の中でも突出しており、まさに異常です。お隣の高崎市と比べても約六倍もの差押えをしているのです。党市議団がこの高崎市の例をとり改善を求めたところ、当局は「高崎市は怠慢である」旨の答弁をされました。また、前橋市は全県下のお手本として視察が訪れ講演の講師もしている、との答弁もありました。他市を批判する言動は厳に慎むべきです。同時に、滞納者は納めたくても納められない人が圧倒的です。担税力があるはずとの立場で滞納整理を強めていますがそもそも税負担が重いので滞納が生まれるのです。地方自治体の本旨は住民福祉に寄与すること、という観点を忘れた市政では市民の苦難や痛みは理解できません。
 低所得者や失業者や家族の病気など生活困難なときにこそ手を差しのべるのが行政本来の仕事であります。収納率を上げることだけに目を奪われると生活実態を無視した安易な差し押さえになりかねません。収納課はていねいな納税相談を行い税金の支払い困難者には徴収猶予や執行停止など緩和措置で救済し、市民との信頼を取りもどすべきです。
             
              入札契約制度の改善 
 景気悪化で中小業者の経営はますます苦しくなっています。公共事業の分離分割発注の拡大で地元中小業者への経営を支援する努力が見られません。市営住宅の建て替えやリフォーム工事の発注状況では、建具や畳などの分離分割発注をせず、同一団地で複数棟の外壁塗装を行なう場合も分割発注していません。
 前橋市施設管理公社の清掃業務の入札は予定価格の51%という低入札で前橋市内に支店のある埼玉県の業者が契約した結果、前橋市内に本店のある市内業者が締め出され今まで受注していた会社の労働者が解雇されました。市内業者に分離分割発注すれば多くの市内中小業者が直接受注でき、収益の拡大ができます。元請けから下請けに至るま
で市内業者がどのような収支状況か詳細に追跡調査し、分離分割発注など必要な改善を行なうべきです。
 小規模業者登録制度は発注率を大幅に増やし、全ての登録業者が必ず何らかの仕事を請け負えるように改善すべきです。また低入札競争をおさえ、元請から下請企業に至るまで労働者の賃金を保証し、地元業者の経営を支援し安心して公共事業を請け負えるようにするためには公契約制度の条例化が必要不可欠です。

              生活保護行政が不十分 
 昨年度は派遣切りで労働者が住むところも食べ物もなく路頭に迷うなど職を失った非正規労働者は日本全国で24万人にも及んでいます。最後のセーフティイネットである生活保護行政は急迫している要保護者に対しては迅速に保護の開始を決定し、家具什器の一時扶助や住宅の確保などをもれなく支援すべきであります。とりわけ、行政が整備すべきは、食べ物がないなど急迫状態にある要保護者に対しては、緊急貸付金制度の創設が必要です。昨年度は国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金は12億4300万円が国から示されましたが、その中から、一定の資金を確保すればそれを原資に貸付基金制度の創設ができるのです。わが党が繰り返し要望しているにもかかわらず、今もなお全く応える気がないのは納得できません。貧困にあえぐ市民はのあたたかい対応が求められています。

              緊急通報システムの改善
 適用基準を見直し全ての一人暮らし高齢者や、日中一人で生活している高齢者に適用範囲を拡大し、住民税非課税世帯のみ貸与と限定せず、希望する高齢者にはもれなく貸与すべきです。
 
             高齢者への給食サービスの改善 
 介護保険の利用の有無に関係なく配食できるようにして、食事作りが困難な高齢者世帯には毎日の食事を保障し、健康を維持できるようにすべきです。

             保育待機児童の解消 
 昨年度4月には70人、10月は225人、今年4月は127人と相変わらず待機児が存在します。入所を希望する親は勤め先の場所に近いのか遠いのか、送迎できる距離にあるのかどうかなどで入所するかどうかを判断しています。入れなかった子どもの誰がどこに入れないのか実態を詳細に調査し、すべての子どもが入所できるよう公立保育所
も私立保育園も実態に応じて定員や受け入れ体制を増やすべきです。

           新清掃工場建設における問題点の改善  新清掃工場の焼却方式の選定にあたり溶融炉を止めたことは評価するところです。しかし、問題は隣接する伊勢崎市の住民から建設場所の再検討を求める署名が提出されたことに対し、建設場所が本当に適切なのかどうか再度多角的に検討すべきです。清掃工場を一箇所にすることにより清掃車両の集中による交通渋滞やCO2の増加などによる
環境悪化さらに市民の利便性の確保ができるのかどうかなども問題です。そのためは、現在稼働中の清掃工場の延命化を具体化し少なくとも2箇所体制にし、六供清掃工場を残すなど検討をすすめるべきであります。また、高効率ごみ発電は発電率目標を達成するため、カロリーの高いプラスチックごみを焼却し、より高温で燃やすことが求められるなどごみの減量化と地球温暖化防止対策と矛盾する施設であります。国の誘導策に追随することなく、経済性安全性が確かめられているスローカ炉プラス通常の発電装置にとどめるべきです。

               まちづくりの転換を
 党市議団は行政による郊外型の大型商業施設の誘導策は、中心市街地活性化策と矛盾し中心商店街や小売店を衰退させ「買い物難民」を生むことになると警鐘を鳴らしてきました。この間のイトーヨーカドーやサティの撤退はこの指摘を象徴するものであります。現在開発中の南部拠点地区は東地区に建設中の大型商業施設が開店すれば、市内の小売店はもとより中心市街地がさらなる打撃を受けることは必至です。
 南部拠点西地区は貴重な優良農地をつぶしたにもかかわらず、組合施行の区画整理を担う開発業者のめども立っていません。こうしたまち壊しにつながる郊外開発優先の行政方針を転換し、大型店の出店・撤退を今こそ規制すべきです。

               市営住宅の待機者解消
 入居待機者は今年8月時点で418人であり相変わらず長期に待たされている状況です。市営住宅は60歳以上の方の入居者が40%以上占め、終の棲家となりつつあり、長期の入居者が増えています。修繕の円滑化とともに、建て替えに限定せず入居希望者の切実な願いに応え、中心街などに若者向けや高齢者向け市営住宅を建設し、待機者解
消を図るべきです。また、予算を増額し、南橘団地の建て替え期間を短縮し、9棟の耐震補強工事を推進すべきです。

               学校統廃合は止めるべき
 人間的成長や学力の向上に欠かせない少人数学級の実現は教職員にとっても、保護者にとっても、何よりも子どもたちにとって求められています。文科省は来年度学級編成基準を30年ぶりに引き下げて八年間かけて教員を徐々に増やして小学1・2年生は30人に小学3年から中学まで35人とする考えです。
 この基準が適用されれば学校によりクラス数が増え市教委の言ういわゆる適正規模でないと言われた学校も適正規模になります。一つの学校の児童・生徒数は変わらずに、適正規模に変わってしまうのです。部活動が成り立たないとか多様な人間関係や社会性が育たないという議論は適正規模をクラス数で論じているため、30人以下学級になる
と学校の規模は変わらずに適正になるという矛盾に陥り、理論的根拠を失っています。したがって統廃合計画は直ちに見直し、中止すべきです。

            学校給食費の値上げに反対
 年間総額約年間9000万円一食あたり6・88%の値上げが行なわれました。日本の子どもの貧困率は14・2%実に7人に1人の子どもが貧困状態にあります。子どもは親を選ぶことができません。朝ごはんを食べずに登校する子ども、学校給食が唯一まともな食事ができる子どもも少なくありません。学校給食は子どもの貧困化を救うためにも学校給食を無料に、という願いが広がり、群馬県南牧村では全ての小中学生に実施しています。和歌山県新宮市や埼玉県小鹿野町では第2子から無料にしています。本市が行なった給食費の値上げはこうした願いに逆行しているのです。

              農業支援策の根本的改善
 本市の農業は高齢化と新規就農者の減少で、農家数は減少の一途であります。農業では生活していけないから農業経営に展望が持てないという現状を打開するためには、全ての農産物に所得保障と価格保障を組み合わせる施策が求められます。本市では県の制度を活用した、にら、春菊、ブロッコリーへの価格差補給や指定野菜のキュウリ、生梅、干し大根、ごぼうへの交付金制度を拡充するなど前橋市の特産農産物を産地化し支援すべきです。産業の流動化が起きている今こそ新たに農業を職業として選択しやすいように、担い手確保と育成支援への財政支出を増額し、農協や関係団体と連携し新規就農への環境を整えるべきです。
 また、大胡・宮城・粕川が合併して5年後の昨年度、支所の産業課を廃止し権限の縮小をはかったことは認められません。前橋市農業生産額の多くを支える農村地域の利便性を奪ったのは問題であります。なお、国に対しては農業に壊滅的な打撃を与えるWTO農業協定などは根本的に見直し、「食料主権」を保障する貿易ルールをめざすよう強く働きかけるべきです。

                環境行政問題
 環境行政の権限が委譲されていながら問題解決が図られていないことです。坂東工業団地の地下水汚染問題は解決の方向がいまだ見えません。旧前橋工業高校跡地の土壌汚染問題の解決も提訴による解決手段を選択したために先送りです。荒口町の株式会社群馬化成産業の悪臭問題も30年前からの懸案事項でありながら強力な行政指導と根本的
な改善がされていません。さらに、富士見西大河原地区の悪臭問題の解決も不十分です。

                高い国保税
 国保税がため払いたくても払えない市民に対して昨年度は5490件の異常に多い差押えと命を脅かす資格証の発行は認められません。市長は国保は助け合い、相互扶助といいますが国保は社会保障制度です。国民保険法第1条には「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって、社会保障および国民保健の向上に寄与することを
目的とする」と明記されています。他の医療保険に入れない人が入る医療保険であり、医療の最後のセーフティーネットであります。所得のない人や総所得200万円以下の世帯が合わせて加入者の72・8%という状況からも所得の低い世帯への法定減免と同時に、税そのものの引き下げを行なうべきです。
 一般会計からの法定繰り入れとともに全国の自治体でも実施しているように法定外繰り入れを実施すれば実現できます。たとえばさいたま市は低所得者の国保税未納額の二分の一相当分、加入者の国保税額の軽減分も一般会計から繰り入れています。このような決断をすべきです。資格証は昨年度1708世帯、国保加入世帯55276世帯の3・1%の発行を行ないました。ていねいな相談と分納誓約を求めればほとんどの人は理解し応じています。失業や倒産、離婚など大きな生活の変化のときに、国保税の未納に至る場合がすくなくありません。そういう人ほど、健康状態が悪く医療機関への早期受診が必要なことが多いにもかかわらず保険証がないためにかかれないのです。このような苦しみに心を寄せ、資格証の発行は止めるべきです。

               後期高齢者医療は問題
 高齢者を他の年齢層から切り離し、高い負担と安上がりの差別医療を押し付ける制度であり認められません。病気にかかりやすく、治療に時間のかかる「後期高齢者」を別枠の医療保険に囲い込み、保険料負担が増えるうえに、不十分な医療を我慢させ、医療費の削減を行なう世界でも例を見ない差別医療制度です。大きな国民世論に追い詰めら
れたにもかかわらず廃止は先送りされました。しかも、政府が示す新たな制度は「新制度」といいながら医療を年齢で差別する仕組みを存続し、六五歳まで拡大しようしているのです。年齢による医療差別をなくすためには後期高齢者医療保険制度を直ちに廃止し、差別や給付抑制のない老人保健制度に戻すべきであります。

                 競輪は見直しを
 ギャンブルに依存する市財政は正しくありませんので認められません。ギャンブル性の高い車券販売を行なうことは問題であり、全国的には競輪場の閉鎖が進んでいる中であり、今後競輪事業を継続するか否か全市民的に検討すべき課題です。

                 介護保険問題
 本市の独自施策が弱く特養ホームに申し込んでも入れないなど保険あって介護なしで認められません。昨年度は介護保険料が一人当たり4100円引き下げられたことは評価します。しかし、介護保険会計の黒字分は介護保険の利用料が高いため介護認定を受けても利用できるサービスを上限の5割程度しか利用しなかったサービス抑制の結果であり、介護保険制度の欠陥であります。いつでも誰でも介護保険を利用できるよう、生活保護水準の住民税非課税、第一段階の高齢者一三八八人の介護保険料22300円を本市独自に免除し、約3100万円の財源は一般会計から繰り入れて、低所得者の利用料減免を本市独自に進めるべきです。介護保険の認定についても高齢者の実態を十分反映し、利用者が今までよりも軽度と判定されないよう本市独自の調査内容を加味するなど改善が必要す。さらに、あまりにも遅れている高齢者施設の基盤整備に全力をあげるべきです。現在、特別養護老人ホーム入所待機者が1362人、2009年度は90床の増設をし、2010年度は90床合わせて180床ですが、まだまだ、不十分です。高齢化が進行し待機者は年々増加しています。高齢者本人にとっても家族にとっても深刻な問題です。国や県に働きかけ早期に増設すべきです。

               水道事業の問題点
 安全で安定した供給が最も求められる水道事業の民間委託は認められません。浄水場をはじめ配水池など225箇所もの施設を委託し、さらにろ過地の清掃は下請けに出していることが明らかになりました。何よりも安全が第一の水道の管理を安易に元請が再委託することを認めるべきではありません。
 また、2006年度から技能労務職の職員を採用していません。職員の度重なる削減で技術者はいなくなり、管理監督できなくなり水道事業の公的責任を自ら放棄しようとしている姿勢は問題であります。反対理由の三つは地下水保全策が弱いことです。利根川の表流水への依存を現状以上拡大せず、現在の井戸を守り地下水の涵養に力を入れる
べきです。
 さらに、八ッ場ダムの建設を明確に反対すべきです。ダム本体の建設が再開されれば県央第二水道の受水団体として水利権の負担や受水単価への負担に跳ね返えるのは必至です。水需要が減少している現在、利水にも治水にも役に立たない莫大な財政支出を伴うダム建設はムダです。
 

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