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議員団紹介 近藤よしえ 議員

前橋市行財政改革の問題点(総務常任委員会9月19日)【2012/9/21】

、前橋市行財政改革の問題点
ア、職員削減の問題点
●本市の職員は宮城・大胡・粕川の3町村合併の翌年平成17年4月1日で2923人、富士見地区との合併、を経て平成24年4月1日で2799人となり、中核市への移行や地方分権一括法などの権限委譲による事務事業の大幅な拡大により仕事量が増加し、職員増が求められていると考えます。しかし、そうでありながら124人もの職員が削減されています。平成23年度において職員数は市民サービスのどの分野を削減しどの分野を増員したのか。削減した職員の仕事は民間委託等おこなったのか伺います。

●技能労務職の退職を補充しない方針で職員の適正管理を実施してきました。たとえば、清掃業務では退職職員の補充を嘱託員で行ない、一定の業務量がまとまると順次民間委託を実施してきました。保育所の用務技師は正規から嘱託に入れ替えてきました。清掃業務の民間委託はごみ収集の分野ですでに8割に及び、直営の2割は旧市内のみとなりました。横浜市では完全民間委託を方針化しましたが、ごみの分別啓発や災害時のセーフティーネット、委託業者の倒産等不測に事態に対応できるよう燃やすごみの収集について全市域を直営に戻しています。東日本大震災から本市でもいつ何時不測の事態が起きないとは限りません。安定した市民サービスを実施することが公共サービスの第1の役割と考えますがいかがですか。こうした観点から、技能労務職の退職者の補充をすべきと考えますがいかがですか。

指摘)たとえば、ごみ処理・清掃事業の公と民のコスト比較にごみ収集に要する経費は1トンあたりいくらかの比較はできても、ごみを減らす事業リサイクル社会に向けた取り組みを担っている事業はなかなか委託できません。紹介しました横浜市はごみ減量化目標を平成13年度から10年間で40%達成し徹底した分別収集に取り組み大きな成果をあげています。行政サービスの1つ1つは波及効果とか間接的効果をうむので、1部分を切り取って委託すれば、コスト削減とは単純にいえないのです。

イ、非正規職員の役割と雇用の問題点
●公務の現場を支える非正規職員
23年度の非正規つまり、臨時嘱託職員は平成23年4月現在で嘱託員590人臨時職員607人合計1197人で公務サービスを支え非正規の職員比率は増加しています。わたしどもは、必ずしも非正規職員の配置が全て問題とは言えませんが、正規の仕事を非正規によって置き換え、ただ単に補助的、一時的な仕事から基幹的仕事を非正規が行ない、そうでなければ仕事が回らない実態が起きているのではないか。


●非正規職員と正規職員との比率で42・43%と他の自治体から比べても比率も高く、基幹的業務についていることはあきらかです。そこで
保育所の臨時保育士についてうかがいます。臨時保育士はクラス担任を受け持ち正規と同じ仕事をしています。
しかし、正規職員と同じ勤務でありながら雇用条件や賃金で差別されているのが実態です。保育の仕事はそもそもその専門性の獲得が長期にわたる経験の蓄積を必要とする仕事であると考えます。若い人から経験豊かな人へ専門性が継承されるものでもあります。人を育てる大事な仕事を担いながら、身分の不安定な雇用条件で賃金は正規の3分の1、1年ごとの任期雇用、社会保険にも入れません。正規職員と同じ仕事をしながら臨時という安上がりの非正規を雇用していることは許されないと考えます。
さらに、自治体みずから不安定雇用である官製ワーキングプアーを生み出してることは問題であり、是正すべきと考えるがいかがか。


指摘)育児休業もとれず、最長7年で雇い止めされる雇用形態は問題です


●臨時・非常勤にも常勤への道が開かれるようにすべきです。たとえば保育士などは正規職員にすべきです。また、臨時は臨時的・季節的業務など補助。補完的業務に厳しく限定して採用し、待遇の改善を図るべきと考えるがいかがか。

●嘱託員の問題(収納など)について伺います。
たとえば収納嘱託員の5人は毎日役所に出勤し、個人情報であるデーターを持ち地図で訪問する市民のお宅を探し、滞納通知を持ち、臨戸訪問しています。年間5万件に及ぶとのことです。もちろん、徴税吏員の資格はありませんので、納税相談には応じられませんが、税金を預かり収納する業務も行なっています。
個人情報を取り扱う仕事や金銭の取り扱いもする収納業務を担う仕事は非正規職員では問題と考えるがいかがか。


指摘)法に違反していない、分任出納員の任命を受けている。しかし、訪問された市民から、非正規の職員に税金を預けるのは心配だとの声が寄せられています。しかも、他の自治体では収納嘱託員による預かった税金の着服事件や亡失事件が起き、賠償責任が問われています。非正規の職員がどこまで賠償できるのか疑問です。自治体において現金を取り扱うということは、極めて責任の重い仕事であるだけに、非正規職員に代替させるべきではありません。

ウ、民間委託等の推進の問題点
●平成23年度は市立図書館本館及び子ども図書館のカウンター業務の民間委託が進められました。当局は正規職員が基幹的業務をおこなうことによって、図書館の市民サービスを充実させると答弁しております。しかし、市立図書館は本市の図書館サービスの拠点心臓部であり、全職員が一体となって協力協働しあいながら取り組むものです。窓口業務での市民の声や要望が図書サービスの専門性を深め、総合的なサービスに反映するものです。
本市は学校給食、地域包括支援センター、水道の浄水施設の民間委託と委託部門を拡大してきました。行財政改革の中味は、官から民への移行を促進し、公務の果たすべき役割を安上がりな低賃金を活用して推進されていることは大きな問題です。自治体が民間の低賃金を前提として民間委託を進め経費の削減を図ることは、民間の低賃金を認め、地域的に是認することに他なりません。しかし、自治体は労働行政を担い、住民生活の向上や地域の生活水準を引き上げることを課題にしている公共機関です。もともと、公務労働には職務専念義務があります。その仕事に専門性が求められるため、身分保障や給与の保障がされているのです。こういう仕事を非正規で対応することは、その分野の水準を低下させ長期雇用による蓄積された熟練などを軽視することになります。非正規で対応した労働条件や身分保障を認め進めるべきではないと考えますがいかがですか。

●市長にうかがいます。
大々的な民間委託を進め、現業部門を持たなくなった自治体はその基本計画や長期総合計画の作成すら民間のシンクタンクに依存せざるをえません。そうなれば、最後に残るは権限の配分と財源の配分だけになりかねない。こうなれば、住民の目も届かず、内部チェックもできなくなる。住民の福祉に寄与する自治体の存在意義が問われるのです。
市長がいま条例の創設をする、公契約条例はまさにその本質的問題提起を迫っているのです。効率化の名の下に職員を減らし非正規に置き換え、民間委託する方針は撤回すべきと考えますがいかがですか。

●今、公務員へのバッシングが広がっています。しかし、東日本大震災のとき、市町村合併や公務員削減によって、被災者支援が困難な中、各自治体の職員は自ら被災しながらも、命をかけて昼夜をわかたず懸命な住民支援を行なってきたことは記憶に新しいところです。公務員の果たす役割は「住民の生命財産を守る」地方自治体の根幹であり、削減すべきでないと考えますがいかがですか。
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