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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2022年3月第1回定例会総括質問(吉田直弘)

吉田直弘議員は、3月9日に総括質問を行いました。質問内容を紹介します。

主な質問項目
①市立図書館新本館建設の問題について
②農業集落排水事業の移管について
③学童保育について
④遊び場推進事業について
⑤総社二子山古墳の保存整備について

1、はじめに、市立図書館新本館建設の問題について質問します。

(1)建設場所決定の経過

図書館は、知りたい・調べたいという市民の「知る権利」を保障する、拠点施設です。また市民に最も身近な公共施設である図書館の建て替え場所の選定は大変重要な問題です。しかし、代表質問でわが党の議員が指摘しましたが、中心街の再開発地区への移転新築は、図書館本館の機能を十分に果たせる場所であるのかの検討が不十分です。

私は、現在の本館の施設調査をしました。地下書庫はいたるところで雨漏りし、本を守る大きなビニールシートをかぶせた棚がたくさんありました。壁には大きなひびもありました。老朽化した本館は、早期の建て替えが求められているのにもかかわらず、相当先送りされてしまうのでないか心配です。

そもそも、中心街への移転はどのような経過で決まったのか、時系列でお答えください。合わせて具体的な新本館建設の着工時期や工期をお答え願います

ただ今の答弁では、まだまだ着工まで相当の時間がかかるということです。老朽化の状況からも問題じゃないでしょうか。開設時期はいつごろになるとお考えでしょうか。

【反論】老朽化した本館の雨漏り対策や建物の修繕を毎年している現状にもかかわらず、先送りは問題であると指摘します。

(2)整備方針(教育次長)

 そもそも中心街における限られたスペースでの建て替えには大変な心配があります。新本館の整備にあたり、欠かすことが出来ない点が2つあります。その一つは、十分な書庫、収蔵スペースの確保です。もう一つは、本館機能を十分果たせるスペースの確保です。図書館本館は、こども図書館と16分館を結ぶネットワークの中心です。市民のリクエストに応えて最寄りの分館に本を届けてもらうことができ、「どこでも借りられ、どこでも返せる」サービスは多くの市民が利用しています。このサービスの実施には、本の仕分け室と一体の導線上にある輸送車の専用駐車場が欠かせません。

更には、調査・閲覧するスペースの充実、インターネットや視聴覚スペースなど十分な面積が必要です。中心街で、市民の要望に十分に応える施設・設備が担保できるのでしょうか。

【要望】ぜひ利用者の要望を十分に反映していただくよう求めます。本館には、市史編纂資料に戦災復興関連資料、1954年の合併前の町村の資料、豊富な蚕糸関連資料など106年の歴史で積み上げてきた貴重な資料の数々があります。これらの資料を散逸させず、さらなる郷土資料の収集ができるよう十分なスペースの確保を求めます。

次に、開設時期は少なくとも6年から8年先になるのではないでしょうか。私は、中心街が適地とは思えませんが、変更しないのであれば少なくとも事業計画の見直しが必要ではないでしょうか。例えば、図書館を現スズラン本館の跡地の西側ではなく、現在の市営中央駐車場に新たに作られる商業施設などと図書館の合築の検討も必要ではないでしょうか。国道に近くアクセスも改善すると思いますが、いかがでしょうか。

【提案】新しい図書館の整備にあたっては、ぜひ利用者の声を聴いてください。現在、新本館の建設予定地のスズラン本館跡地などは、若者が集い中心街に賑わいを生み出す教育施設の整備をすすめればいいのではないでしょうか。計画の見直しを求めます。

(4)駐車場(教育次長)

次に、図書館を利用する圧倒的多くの方々が車で来館されます。市民にとって身近な公共施設には、十分な無料駐車場の確保による利便性の向上が必要です。ところが、中心市街地再開発の基本構想では、100台程度の地下駐車場が作られますが、地下駐車場で不便という利用者の意見も寄せられています。おまつりやイベントで中心街がにぎわう時には、利用者が駐車場を利用できなくなることも懸念されます。図書館法17条は公営図書館の利用は無料と定めています。市営駐車場の場合は無料券が発行できますが、民間駐車場は有料となれば法の定めに矛盾してしまうことも懸念されます。図書館専用の無料駐車場が必要と考えますが、いかがでしょうか。

【反論】高齢者の方々からは、地下駐車場への不安の声も寄せられています。借りた本の持ち運びの負担を考えても、本来であれば平面駐車場を整備すべきでした。はじめから地下駐車場の利用を前提に進めてきた現在の計画はそもそも問題であると指摘します。

(5)整備運営方式(教育次長)

 次に、今後、新本館の整備運営手法が検討されると伺っています。市直営のほか、PFIや指定管理などの民間による整備運営手法も検討の対象になっています。しかし、図書館法17条では「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と定めており、図書館の利用は無料であることが必要です。営利企業による運営にはなじみません。現在、まちの賑わい創出を目的で、全国にツタヤ図書館が広がっています。佐賀県武雄市の武雄図書館は、図書館本館とこども図書館、歴史資料館、商業施設は蔦屋書店とスターバックスコーヒーの入る複合施設です。年間100万人が訪れる図書館として話題の図書館ですが、図書館を利用せずに商業施設のみ、駐車場から隣接のショッピングモールを利用するために立ち寄った人もカウントした数字です。しかも本は市民がすぐに読みたい新書はなかなか図書館に入らず、本も売り者か貸し出し物かスペースの区分けがわかりにくく、結局買うことになることが多いということです。無料で借りることが出来る視聴覚資料も大幅に減らされ、結局は有料のレンタルになり図書館は不便になったと聞きました。このようなことにならないよう図書館本館は、市直営での運営が必要だと思いますが、見解を伺います。

【反論】指定管理で効率化と経費削減をうたい文句に、全国で指定管理の図書館が増えています。2017年にツタヤ図書館になった山口県周南市の徳山駅前図書館は、市が直営していた2016年の運営費は約1億4千万円でしたが、指定後、2019年の指定管理料は約2億5000万円を指定管理者のCCCに支払う市の費用は却って増大しました。先ほど紹介した武雄図書館についても、公立図書館は不便になってしまったために利用登録者は2015年度は5万人でしたが、2018年度には25800人まで半減しました。市民の大切な知の拠点を安易に民間の整備運営にゆだねるべきではありません。

(6)市民合意(教育次長)

次に、新本館の建設は、現在策定している基本構想をもとに建設されようとしていますが、基本構想にはもっと十分な市民の声を反映させ、市民合意のもとで進めることが必要です。私は佐賀県伊万里市の伊万里市民図書館の館長にお話をお聞きしています。2007年に現在の伊万里市民図書館を建設した際、図書館の構想の策定から施設の整備まで図書館ボランティアをはじめとする多くの市民が参加しつくられました。「伊万里をつくり市民とともに育つ市民の図書館」をキャッチフレーズに、図書館名も「市立図書館」から「市民図書館」に変更したそうです。日常の運営で、館長は図書館協議会の諮問を年に3回も受けて、会員約300名のサークル「図書館フレンズいまり」の毎月の役員会にも館長は参加をし、運営は市民参加が貫かれています。

特に、開館記念日の行事をはじめ、毎回のイベントは同会の方々が中心に企画もされ、利用者から「図書館に来るのがいつも楽しみ。落ち着いて長く本が読める」という声が寄せられるのが大変うれしいとおっしゃっていました。

人口5万4千人の街の図書館に、年間の利用者はのべで約8万人と多くの方々が利用しています。

本市の新本館の建設にも、伊万里市のようにもっと市民参加を徹底的に貫くべきです。図書館協議会の設置、図書館サポーターの方々の意見もしっかり聞いて、市民参加の新本館づくりを進めていくべきと考えますがいかがでしょうか。

【反論】いろいろ聞いてきましたが、建設場所が不適切、開設時期もこのままでは先送り、民営まで検討しており問題です。図書館整備の再検討を強く求めておきます。

2、次に、農業集落排水事業の移管について伺います。

(1)財政措置(水道局長)

国は、農業集落排水事業の公営企業会計への移行を2024年までに進めるよう全国の地方自治体に求めています。本市では、これを受けて2023年4月から公営企業会計に移行し、水道局で運営していく方針です。市内には20地区19施設の農業集落排水があります。接続率向上に取り組んでも一般の下水道と違い、黒字運営の確保は困難です。すでに料金体系は下水道料金で一本化をしていますが、2020年度決算では農業排水事業特別会計への一般会計からの繰り入れは約6億5千万円でした。施設の維持管理などは一般会計からの繰り入れなしに独立採算で運用することはできない同事業を独立採算の公営企業会計に移行すること自体、大きな市民負担へのしわ寄せとなりかねません。一般会計からの繰り入れを今後も継続すべきです。答弁を求めます。

次に、財務部長の見解を伺います。いかがでしょうか。

【要望】農村地域の住民生活を支えるために不可欠の農業集落排水は、本市の責任で運営すべきです。繰り入れを続けていただくよう求めておきます。

(2)市民負担への影響(水道局長)

次に、公営企業会計への移行後は、県央の広域下水道への接続や本市の公共下水道との一本化をはじめとした、施設の再編整備の検討も進められることになります。農業集落排水施設と下水道施設の再編整備計画の策定は農政部とも協力して早急に進めていただき、市民負担に影響がないよう対策をしっかりしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【要望】市民の大切な生活基盤の農業集落排水の整備再編にあたっては、国や県の補助も活用し、計画的に対応していただくよう求めます。

3、次に、学童保育について質問します。

(1)官民格差(福祉部長) 

 放課後児童クラブは、親にとっては安心して子どもを預けて働き続けるための場であり、子どもたちにとっては安心して生活ができ、仲間とともに成長できる場です。放課後児童クラブ運営指針では、その適切な環境整備が求められています。しかし、施設の広さや利用環境には施設間でも大きな格差があり、その改善を求める切実な現場の声も寄せられています。例えば、公設公営のしんでん児童クラブは、専用スペースに校庭も使えるため、子どもたちは生き生きと放課後の生活を送っています。一方で、民設の大胡こどもクラブは、建物はプレハブで、屋外のスペースもなくほとんどなく、お迎えの車を停めるためのスペースもありません。官民格差対策が求められています。

 国の放課後児童クラブの設置基準では、専用スペースの面積は児童1人あたり1.65平方メートルであり、畳1帖程度の面積は狭すぎます。

コロナ禍において十分な感染症対策を行ないながら、子どもたちが安心して過ごせる生活の場所を保障するためにも、建物と屋外の遊び場について市独自の基準を定め、特に狭い施設での運営となっている民設のクラブを支援すべきです。答弁を求めます。

【提言】現在も、児童数が多く国の面積基準に適合しない施設もあると伺っています。子どもたちが安心して過ごせる場としてしっかり整備を進めていただくよう求めます。

(2)待機児(福祉部長) 

 次に代表質問の際、市長は希望する子どもは6年生まで全員入れるようになったとお答えになりました。しかし、昨年5月の、障がい児の待機児は101名で、希望通りに入れない状況の改善が必要です。

放課後児童クラブは、障がいをもつ子どもたちにとって、子ども同士の交わりを通して発達したいという願いにこたえることができる大切な場所と指導員の方から伺いました。学校と連携し、障がい児の待機児解消に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。また父母の方々からは、夏休みなど長期休暇のみの受け入れを望む声も切実です。障がいの有無に限らず子どもたちの健やかな成長と発達を支えるため、長期休暇のみの受け入れをすすめていただきたいと思います。この2点についてお答え願います。

【提言】障がいを持つお子さんの受け入れには、専門的な知識、経験を持った指導員の確保が欠かせません。専門の加配指導員を増やすためにも、国の補助の活用、市独自の処遇の上乗せもすべきです。障害の有無を問わず、長期休暇の生活の場の確保は、子どもの成長の場としても大変重要です。ぜひ子どもたちの受け入れのさらなる強化を求めます。

(3)保護者負担(福祉部長) 

 利用料は、おやつ代を含めて1人当たり8000円、1万円、12,000円など様々な料金体系となっています。入所料が必要なクラブもあります。利用料の負担が重く、そもそも入所をあきらめているご家庭も少なくありません。

自治会など地域運営クラブの運営規定によると、例えば第2子以降は1子あたり2,000円の減免、児童扶養手当を受けているご家庭は半額減免、生活保護家庭は全額減免が行われています。そのほかにも兄弟で入所する場合やひとり親家庭への利用料減免など、民設の児童クラブで独自に利用料を減免し負担の軽減をしています。そもそも利用料が統一されていないため、利用料の負担が重く児童クラブを利用できない子どもたちもいます。せめて、利用料を公設民設ともに統一すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【要望】安心して子どもたちが過ごせる場を保障することは社会全体の責任です。前橋市は、学童保育の取り組みは前進していますが、利用料の負担の重さから利用できない子どもたちを一人として出さない決意をもって、負担の一層の軽減に取り組んでください。

4、次に、遊び場推進事業について質問します。

(1)現状と対策(教育次長)

 放課後に小学校の校庭を開放して行われる遊び場利用推進事業は、現在、46校中41校で実施しています。指導員の管理のもと安心し、学年を超えて子どもたちが人間関係を育むことができる非常に重要な事業です。

例えば新田小学校は、2019年度166日実施していましたが22年度の実施予定日数は130日です。市は170日は開設したいという事前に寄せられた同校の希望にも、財政難を理由に応えませんでした。

遊び場は毎日開放してほしいと、お子さんからの声が寄せられました。校庭が使える日を増やしてほしいという保護者の方々の声も切実です。コロナ禍で外出しにくい時期に、遊び場は子どもたちの居場所として大切な役割を果たしています。少なくとも学校が希望する実施日数は開設すべきと思いますが、いかがでしょうか。

【提言】子どもたちの実態もしっかり把握して、子どもや家庭の要望に応えるために予算を増やすべきです。

(2)指導員の確保と処遇改善(教育次長) 

 遊び場を利用するお子さんからは、指導員の方にけん玉や一輪車を教わった、指導員の方との楽しい思い出話もたくさん聞きました。指導員の方々は、1時間当たり740円の報酬で活動する有償ボランティアです。夏は強い日差しの下で、冬は冷たい風にさらされて、一日2時間の活動も大変と伺いました。ボランティアの確保は大変で、民生児童委員の方々にも協力してもらっているという場所もありました。ボランティアの報酬も少なく、なかなか新しいボランティアのなりてが見つからないのが現状です。

報酬は国の基準によって決めているということですが、市独自で報酬を引き上げるなど処遇改善をし、ボランティアの確保を進めていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【提言】指導員不足対策として、ぜひ大学生のボランティアへの参加呼びかけも必要ではないでしょうか。子どもたちが安心して生き生きと遊び、成長できる遊び場の開放は、本市が全国に誇る大切な事業です。遊び場の充実へ、指導員への処遇改善を求めます。

5、次に、総社二子山古墳の保存整備について質問します

 現在総社古墳群で行われている調査は、発掘調査の現地説明会に多くの考古学者や学芸員が参加し全国で大変注目されています。今後は、同古墳群の総体としての価値づけをし、国の史跡指定を目指す中で、管理活用の方法を検討すると答弁でも伺っています。

※強調文字の箇所は、質問時間の都合上割愛しました。

総社二子山古墳は、同古墳群最後の前方後円墳です。前方部と後円部の双方に石室を持ち、県内最大級といわれる後円部の石室は、榛名山の噴火で噴出した角閃石安山岩を加工し積み上げた壁面があるそうです。現在は天井石が崩落し中は見られません。高崎市の綿貫観音山古墳と同規模であることも明らかになりましたが、綿貫観音山古墳は、墳丘の土をはがし、天井石を釣り上げて補強し復元しました。最近では、奈良県明日香村の牽午子塚古墳の復元工事が、国と県の補助を受け総工費5億円で行われました。今月6日に公開され、多くの方が見学に訪れています。総社二子山古墳は、6世紀の推古天皇の時代、大陸の影響を受け日本が律令社会へ向かう時代の古墳です。全国で古墳が小型化し、同古墳群も二子山古墳を最後に古墳は小型化します。石室を二つ作った意味や当時の祭祀、転換期の地域社会の解明のためにも二子山古墳は大変重要です。ぜひ石室を復元し、その価値を後世に伝えていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

以下の提言は、制限時間の都合上、発言はしていません。

【提言】この度の総社古墳群の調査は、全国でも貴重な史跡の保存を目的とした調査です。この間、明日香村の担当者の方、栃木県壬生町で調査をされる方からもお話を伺いましたが、その際「前橋の調査に注目している」と伺いました。

全国に歴史と文化財の数々を誇る本市ですが、文化財保護課には、専門職の正規職員はいません。職員数は前橋市が22名で高崎市は3倍の73名です。考古学専攻の学芸員も15名います。歴史まちづくりを進めるうえでも、学芸員など専門職の知見に基づく価値づけは欠かせません。

例えば、蛇穴山古墳の調査では、少ない人員で堀の中に崩れ落ちた葺石を手作業でどかすなど、ぎっくり腰や腱鞘炎など公務災害の発生も心配になりました。人員が少なすぎます。

ぜひ教育委員会において、社会の要望に応える必要な体制確保へ、しっかり必要人員を総務部に求めていただくよう強く求めて私からの質問を終わります。

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