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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2022年第1回定例会 反対討論(長谷川薫)

3月28日、2022年第1回定例会の最終日、長谷川薫議員が反対討論を行いました。日本共産党前橋市議団は、議案第1号22年度一般会計年度予算案を含む10議案に反対しました。以下は、反対討論の内容です。

反対討論に立つ長谷川薫議員

私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第1号から第4号まで、第6号、第10号から第12号、第25号、第31号、以上10件について反対討論を行います。
 

はじめに令和4度一般会計予算についてです。

今、2年を超えて感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症は、いまだに終息の見通しも見えず、多くの市民が不安な日々を過ごしています。また、コロナ禍による長引く景気の停滞が、市民の暮らしや営業を脅かし続けています。

このような中で市民は何よりも新型コロナ感染症対策の強化と高齢者福祉や子育てや教育の充実策、そして中小業者への支援策を市政に求めています。新年度予算はその市民の願いに十分こたえた予算編成となっていません。

【新型コロナ感染症対策】

1月21日から2カ月続いた新型コロナ感染症の蔓延防止特別措置は先日解除されましたが、第6波で爆発的に拡大したオミクロン株による新規感染者は、今なお下げ止まりしており、児童生徒や若年層の感染拡大による家族内感染で、高齢者や基礎疾患を持つ方が重症化しています。

ワクチンの3回目の接種を急ぐとともに、無料のPCR検査の拡充や高齢者・障害者施設にとどめず学校や保育所などを加えた定期的な検査の実施、ホテル宿泊と入院を原則とする新規陽性者の治療、そして保健所の体制強化やウイルス検査機器の整備など、コロナから市民のいのちと健康を守る取り組みの一層の強化が必要です。

また、医療機関への市独自の減収補填や保育士などへの激励金の給付、さらには、中小業者や非正規労働者への十分な経営支援や生活支援策も強めるべきです。

しかし、これらの十分な施策推進の予算化がありません。

また、わが党は、「コロナによって高齢者の外出機会が減り、フレイルも危惧されているので、年間70回に減らしたマイタクの利用回数を昨年度までの120回に戻して利用拡大を図るべき」と求めるとともに、長距離利用者への新たな運賃支援策の具体化を求めましたが、全く応えようとしていません。「マイタクの利用促進策は経営危機に立たされているタクシー事業者への大きな支援も結びつく」と強調しましたが、当局が推進したのは行政の公平性にも反するマイナンバーカードによるマイタク利用の一本化だけであることも大きな問題であります。

【DX】

このような中で、いま、市長が並々ならぬ熱意をもって力を入れている中心的な施策はDX・デジタルトランスフォーメーションの推進と民間主導の大型開発です。 

 わが党は、デジタル技術を活用して住民の利便性を高め、職員が行う業務処理を効率化することを否定するものではありません。しかし、来年3月までに市民へのマインナンバーカードの90%交付を中心に、全庁横断的に19億4千万円のDX関連事業を予算化していることはあまりにも拙速で過大です。当局は市民のマイナンバーカードの利便性向上を強調していますが、国のカード普及の目的は、医療費などの社会保障給付の抑制や税金の確実な収納と将来的には国民監視社会の実現です。見直すべきです。

とくに、今、市長が進めている行政のデジタル化や丸ごと未来都市・スーパーシティー構想は、少子高齢化が進む本市の市民ニーズとは無縁なものばかりであります。

行政のデジタル化は、オンライン申請の拡大による行政サービスの拡大や業務の効率化という側面はありますが、政府の最大の目的は、自治体がそれぞれの行政課題を解決するために保有する多様な個人情報を、マイナンバーを媒介として、国が一括管理して利活用し、民間企業にも積極的に開放して営利追及させて経済成長を促すことが狙いであります。また、情報システムの標準化は、市民の願いに沿って実施している本市独自の福祉増進の施策を困難にするものです。さらに前橋市個人情報保護条例は、今年の秋には改正が求められており、厳格に定めている保護規定を大幅に緩和し、オンライン結合の禁止規定も削除し、逆に積極的に民間企業に情報提供する改正が強いられます。個人情報の漏洩やプライバシー侵害を招きかねないという大きな問題点をはらんでいます。

【スーパーシティー構想】

次に、国の選定から外れた本市の丸ごと未来都市・スーパーシティー構想も、岩盤規制を緩和して実現して欲しいという強い市民要望ではない総花的な提案内容であったために、国が「熟度が足りない」と指摘したことは当然です。なにより、市民が今困っている問題を解決しようという視点がない未来都市づくりは、ビッグデータや最新のデジタル技術を使った事業であっても成功するはずがありません。

この根本問題を総括しないまま、市長は今なお、社会実装としてバスの自動運転や公共交通の乗り継ぎを案内するMaeⅯaas、顔認証によるキャッシュレス決済、5Gを活用した遠隔医療、「交通テック×脳テック」などを進めていることも問題です。これらの事業の多くは、もともと個人情報を営利企業に提供しなければ成り立たない実証実験的な事業です。ほとんどの市民は当局から事業内容の説明を何度聞いても、その必要性を理解できません。このような実装事業に交通政策課などの職員が忙殺され、デマンド交通やマイタクやマイバスなど、最も市民が利用している公共交通の運行改善などに取り組めなくなっていることも大きな問題です。
  今後、マイナンバーカードに健康保険証や運転免許証、さらに預貯金口座などを紐付けして、データ連携基盤に住民の個人情報を集めて企業に利活用させることとなれば、市民サービスの向上よりも、むしろ情報漏洩や監視社会が強まり市民の人権侵害が心配されます。市民が本当に求めているものは何なのかを十分検討すべきであり、岸田政権が今、新たに進めているデジタル田園都市国家構想も含め、国がトップダウンで進めている財界主導の構想に無批判に手を上げ追随するべきではありません。

【大規模開発】

次に、大型開発についてです。市長はコンパクトシティの実現に向けた土地利用計画である立地適正化計画を策定していながら、市内各所に民間主導の大型開発を進め県外企業の呼び込み施策に偏重し、コロナ禍の下で懸命に努力している多くの市民や市内中小企業の願いに応えていないことも問題です。

新「道の駅・前橋赤城」について、わが党は、「北関東最大規模7㌶の道の駅は、整備地区が浸水被害想定もされており、そもそも適地ではなく、上武道路の通行量からみても整備規模が過大である。既存3カ所の道の駅とも競合するので、農業者や市民の声に耳を傾け、身の丈に合った事業に見直すべき」と繰り返して指摘してきましたが、市長は年間80万人の集客目標は実現できるとの立場に立ち、浸水被害対策を一部実施した以外は、当初計画通り、民間企業に構想段階から事業を丸投げし、今年の12月オープンをめざして整備工事を進めています。

しかも、15年間の前橋市と運営事業者が負担する維持管理の積算が杜撰であったために、本市が支払う指定管理料が当初計画より8億円も増額し、総事業費が100億円から130億円に3割も膨らみました。所管課が当初の政策部から建設部、文化スポーツ観光部と所管は次々と変更しましたが、計画段階のどこに問題があったかなどの説明責任が果たされていないことは、大きな問題です。

さらに、川場村の道の駅・田園プラザのような農業振興策と結びついた集客力の高い魅力的な農畜産物直売所運営に十分学ばず、新鮮な前橋産の農畜産物が安定的に供給できるかが心配されるとともに、市内外の誘客を得られるメニューをそろえた観光企画も具体化されないまま、ほとんどすべてが事業者任せで開業の準備を進めれています。これでは、市長が強調する前橋市のゲートウエイとしての魅力創出も期待できず、将来的には事業そのものが破綻し負の遺産となりかねません。道の駅前橋赤城の条例化には賛成できません。

さらに、千代田町中心拠点地区再開発事業についても、市民の合意形成があまりにも軽視されています。わが党が、市立図書館は、中心市街地への立地は不適切との立場から、旧中央小学校の跡地が移転先の適地と提起したにもかかわらず、今では中央小跡地はパース大学への貸与もしくは譲渡するとの方針を決めました。再開発事業の東街区のスズラン百貨店の跡地に移転新築することになれば、雨漏りなどが拡がり老朽化が進み早期建て替えが求められている図書館のオープンが8年後に先送されることになります。

また、JR前橋駅北口の27階建ての分譲マンションを中心とした再開発事業や朝日町の日赤跡地のCCRCのまちづくりなどを連続的に進めているために、中心街の再開発事業を成り立たせるための保留床の売却や民間事業所の誘致などが成功するかどうか不安要素が少なくなく、中心街の賑わいを取り戻すための再開発事業として成功する保証はありません。

コンパクトシティ化をめざす本市のまちづくり方針とも矛盾するこれら民間主導の大型開発を中心とした、都市計画やまちづくりは市民の理解は得られません。

【行財政改革】

次に行財政改革です。民間にできることは民間に任せる、民間活力の導入、公共施設の効率化という行財政改革方針に基づいて、健康増進施設としてこれまでに年間40万人以上が利用している前橋テルサや年間58万人が利用している3温泉施設、富士見温泉見晴らしの湯、あいのやま湯、粕川温泉元気ランドの民間譲渡方針を強力に推進しようとしていることも認められません。利潤追求を最大の使命とする民間事業者にゆだねて、これまでの行政サービスを維持することはできません。譲渡や賃貸時に市が運営継続の条件を付けても集客が進まず事業運営に行きづまり、採算が取れなければ、休業や撤退を止める手段はありません。

3温泉施設も効率的に部分的な改修をしてもかなり老朽化しており、たとえ民間に譲渡ができたとしても、施設の維持管理も含めて長期的に安定的な経営を続けられるかどうか分かりません。設置者責任として前橋市は、当初の開設目的である市民の健康増進施設として3温泉施設の公共サービスを継続させるために、民間譲渡方針は撤回すべきです。

行財政改革の柱と位置づけている職員削減は、正規職員を減らして嘱託や再任用職員や会計年度任用職員に置きかえたために、今や市役所で働く全職員の4人に1人が非正規職員となっています。年収200万円以下の官製ワーキングプアに置きかえる職員政策は、全体の奉仕者として従事する公務労働の質を引き下げ、民間企業の労働者の非正規化を進め賃金抑制にもつながり、個人消費を冷やし地域経済を沈滞させます。デジタル技術による行政手続のオンライン化を優先せず、多様な市民ニーズを把握して政策に反映させる責務を担う窓口職員体制を一層充実し維持すべきです。AIやデジタル技術の導入を職員削減の手段とするのではなくて、市民サービス高める補助手段として活用すべきです。

【教育】

次に教育と子育て支援についてです。高校生までの医療費の完全無料化は1年遅れで実現しましたが、子育ての負担と不安をなくす強調している市長は、これまで繰り返し市民が要望してきた学校給食費の完全無料化には背を向けています。生活保護や就学援助などで全児童生徒の1割は給食費を無料化していると言いますが、多くの保護者は、消費税の10%増税や、物価高騰の下でも給料が増えず、税、社会保障費が増加する中で教育費の負担に苦しんでいます。この大変さに寄り添おうとしない市政は問題です。小中学校の給食費の完全無償化も必要な費用が予算の1%の14億円で、継続的な実施は困難と背を向けていますが、すでに完全無料化を実施している渋川市やみどり市など県内12自治体は、一般会計の1%を振り向けて実施しています。財政力のある本市が実施できないはずはありません。就学援助制度の認定対象者や給付項目の拡大なども含めて、憲法26条の義務教育無償化を推進すべきです。

また、本市においては、子ども人数が減っているのに、いじめや不登校が増え続けています。学校現場が求めているのは教育予算の増額と正規教員の増員です。

今年度から、小中全学年の35人学級が実現しましたが、県教育委員会が教員の増員をしなかったために、加配教員を配置転換して少人数学級化を進めたために、教員の多忙化に拍車がかかりました。県教育委員会は新年度もさらに少人数学級予算を1億円も削減し教員定数を92名減らしました。本市は、このような教育予算削減の中止の声を県教育委員会に上げるべきです。

いま学校現場の先生からは、「GIGAスクール構想によるタブレットを活用した授業などの開始後1年たったが、公教育への民間企業の参入が進み、集団的学びがおろそかになり、画一的な教育につながりかねず、多忙化の解消と逆行する側面もある」という懸念がよせられています。教育委員会はタブレットはあくまでも学習の一つのツールと答弁していますが、実際には授業や家庭での学習や様々な保護者への連絡などに利活用するように教職員に一律的に求めているのではないでしょうか。デジタルに強いグーローバル人材を求める財界の狙いに追随することなく、小学校での英語教育の導入に続いて教員の負担となりつつある授業やドリル学習でのタブレット活用の積極推進を求めないように求めておきます。

また、小中全学年の30人学級の実現は教職員や保護者の共通した願いであるにもかかわらず、教育委員会は、少人数学級を実施しても教員の多忙化解消にはならないと後ろ向きです。特別な支援を必要とする子ども達へのスクールカウンセラーやオープンドアサポーターなどによる支援は大事なことですが、多忙化解消と子供と向き合う時間を確保するには、なによりも正規職員を増員した30人学級が待ったなしの課題です。

【がん検診】

次に、市長が自らの公約として、10年間継続してきたがん検診の無料化を投げ捨てて、有料化を決めたことを認めることはできません。1検診当たり500円の徴収は、おおよそ年間で8000万円もの市民負担となります。不要不急の大型開発には惜しげもなく税金を注ぎ込みながら、がんの早期発見早期治療の線恣意的な施策を後退させて、市民のいのちを脅かすような政策変更は、市民の怒りを高めています。無料化復活を強く求めます。

【税収納行政】

 次に、税収納行政です。税滞納者の生活実態を配慮しない行き過ぎた税収納行政がいまだに改善がされていないことは問題です。過年度分も現年分も本税は完納し、過年度の延滞金を誠実に分納している滞納者に、差し押さえている家屋を公売すると予告したり、生活保護受給者に、扶助費からの滞納税の分納を求めるなどの不適切で地方税法を逸脱した収納行政が繰り返されています。ぎりぎりで何とか生活している人に追い打ちをかけるような強権的な収納行政は直ちに改め、税滞納者の生活実態に合った丁寧な分納相談と納税猶予を柔軟に行い、市民の生活再建を支援する収納行政に改めるべきです。
【環境】

 次に、環境及び景観保全行政も弱すぎます。太陽光発電施設が赤城山麓を中心に設置されていますが、利益追求を優先した太陽光パネル設置に伴う乱開発が進み、安全と景観が脅かされています。現行再エネ条例を改正して、届け出・規制区域を拡大すべきで、また、宮城地区の大規模木質火力発電所のチップ工場や発電施設から発生する騒音問題は稼働から3年たっても解消されず、富士見地区にも同種の火力発電所が計画されているにもかかわらず、地元住民への説明会の実施を事業者に行政指導してほしいという住民の要望にも応えない姿勢は、環境保全行政の消極性が示されており問題です。

【農業】
 次に農業です。いま、担い手の高齢化や後継者不足、遊休農地や耕作放棄地の増加など本市農業を取ります状況は深刻です。新規就農者が本市農業の担い手として定着できるように、国に農業次世代人材支援事業の増額を求めるとともに、市独自の上乗せを行い、就農後の経営確立に向けた支援を拡充すべきです。
  集落営農組織や認定農業者、小規模農家など頑張っている全ての農家に対し、農業経営が成り立つように農産物の価格補償や所得補償を行うとともに、農業機械や施設などの更新のための予算を増額し、支援を強めるべきです。

【市営住宅】

次に、市営住宅は修繕が遅れ老朽化が進み、管理戸数5390戸のうち1690戸3割が空き部屋となっています。若年単身者の入居要件を緩和し、連帯保証人規定を外しましたが、市営住宅予算を増額して建て替えやエレベーターの設置、浴槽、風呂釜、給湯器の市負担による設置などの大規模修繕を計画的に実施し、退去時の経年劣化による修繕費用の負担の軽減を進めなければ、さらに空き部屋が増え続けます。住宅に困窮する人の住まいのセーフティーネットとしての役割を今後も市営住宅が果たすためにも、予算の増額が必要です。 

以上が、一般会計に対する反対理由であります。

【国保】

 次に、国民健康保険特別会計についてです。未就学の子どもの均等割の半額減免が国の制度として行われましたが、さらに市独自の全額免除の助成を求める市民要望に応えなかったことは問題です。令和3年度の収支決算ではコロナによる受診抑制もありましたが、黒字による剰余分として約5億円の基金繰り入れが新年度に見込まれています。3月末現在の基金残高は約16億なので、令和4年度に国保税の引上げを回避するために、8億6千万円の取り崩しをしても、13億円の積立金残が見込まれます。したがって、加入者約6万7千人の国保税を一人当たり年間1万円引き下げるために6億7千万円の基金を取り崩してもなお約6億3千万円の基金が残ります。コロナ禍で国加入者の暮らしが脅かされている今、国保税の引き下げを求める市民の願いに応えない予算を認めることはできません。

国保加入世帯は、非正規労働者や年金生活者などが約8割を占めており、平均所得は年間約136万円で、協会けんぽなどと比べても約半分です。国保税額は平均年間約10万円であり、所得に占める割合は1割に及んでいるため、払いたくても払えず滞納する市民がふえています。滞納者には、正規保険証を取り上げる制裁措置や収納課による厳しい滞納処分が行われ、国保世帯の暮らしをますます苦しめています。高過ぎる国保税の引き下げにもっと真剣に取り組むべきであります。 

【後期高齢者医療】

次に、後期高齢者医療特別会計についてです。今年の10月から、医療費の窓口負担が現行の1割または3割に、新たに2割が追加され、単身者は合計所得金額が200万円以上、世帯の所得合計が320万円以上の場合は2割になります。経済的理由により低所得者はますます必要な医療を受けられなくなってしまいます。高齢者の健康と命を脅かす制度の改悪を認めることはできません。

【競輪】

次に競輪特別会計についてです。今年度は民間委託によってコロナ禍の下でも順調に売り上げを伸ばし、3億円の繰り入れが見込まれているとの答弁がありましたが、わが党は、ギャンブル依存症による家庭崩壊など社会問題になっているにもかかわらず、ギャンブル収益に市財政が依存することを認めることはできません。

【介護保険】

次に介護保険特別会計についてです。新年度は、介護保険制度がスタートして22年目に入ります。制度導入時は、介護の社会化による家族の介護負担の軽減とか利用者本位のサービスの提供としてスタートしましたが、今では、国が、高齢化が進み社会保障費が増大するので持続可能な制度にする必要があると説明しながら、介護保険制度を再々改正し、サービス給付の抑制をはじめ介護保険料や利用料を引き上げたために、経済的弱者は必要とする介護サービスを利用できなくなっています。また、低賃金で重労働を強いられるヘルパーや施設職員などの人材不足が深刻となり、利用者への介護サービスが保障できなくなる介護事業所が増え続けています。このような中で、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援の五つのサービスを一体的に提供して、希望する高齢者が住みなれた地域で生活できるようにする地域包括ケアーはまだまだ不十分です。

わが党が、低所得で生活に困窮した高齢者を支援するために、本市独自の介護保険料、利用料の減免制度を創設すべきと求めていますが、切実な市民要望に応えない姿勢は問題です。また要介護3以上の特養待機者も500人を超えていますが、施設整備が遅れて解消が進んでいません。市の遊休土地や市営住宅の空き住棟をあっせんして、小規模多機能居宅介護施設の増設を進めるべきです。

【産業立地特別会計】

また、産業立地特別会計で、売れ残りのローズタウンの売却をめざして所管課が全力を上げている最中に、市長の下で、㈱カインズがザスパクサツ群馬のために5㌶の用地を15億円でサッカーグラウンドを整備して企業版ふるさと納税制度を活用して市に寄付するという合意が決定されたため、一般会計への償還が今後ともできないこととなりました。当面は、指定管理料ゼロでザスパクサツ群馬に維持管理をしてもらうという方針でありますが、将来的には下増田町サッカー場の4面の天然芝コートとローズタウンの2面の天然芝コートを前橋市が維持管理しなければならず、今回の協定自体が市有地の売却収入減と固定資産税収入減さらにはローズタウンと下増田の6面の天然芝コートの維持管理費の負担増という問題を引き起こしたことは問題です。

また、西善・中内産業団地に続いて駒寄スマートインター産業団地の用地買収をめざし、さらには樋越・大前田地区の産業団地造成を目指すなど、資金力のある大企業を誘致し助成すれば新規雇用を創出し地域経済が活性化するとの立場で企業誘致条例を延長して、呼び込み型の産業政策を継続強化することを認めることはできません。今必要な産業政策は、経済波及効果の高い住宅リフォーム助成制度の創設やコロナ禍の下で資金繰りに苦しむ市内中小業者の設備機器のリース料助成や販路拡大や新商品開発などの経営再建や技術力をつける支援や新規創業の支援強化です。地元で頑張っている中小業者を応援し、市内で仕事とお金が循環する前橋独自の産業振興策を構築し、雇用を創出する内発的な産業振興策に転換すべきであり、時限条例である企業立地促進条例の延長には賛成できません。

【上・下水道特別会計】

次に、水道事業会計及び下水道事業会計についてです。1999年から水道料金の値上げを回避してきましたが、コロナ禍の下で市民生活が苦しくなっている中での新年度から引上げ決めたことは認められません。県央第二水道の受水単価の引下げを求め、地下水の利用率引上げ、大口契約者の料金体系の見直しなどの努力を尽くして値上げを抑えるべきです。また、水道の浄水施設や水源井戸の保守管理を民間営利企業に外部委託を続ければ、市職員の水道管理技術の伝承が途絶えます。将来にわたって安全な水を安定給水するためにも、順次直営に戻すべきです。また、上下水道料金への消費税転嫁はやめるべきです。

いま政府は、水道施設や下水道施設の老朽化による更新や維持管理経費の増加による自治体の公営企業の経営危機を、事業の広域化とコンセッション方式という丸ごと施設運営権を民間に任せることによって解決しようとしています。しかし、今必要なことは生活インフラである上下水道事業を、利用者の料金収入による独立採算という運営そのものを改め、道路や公園や公営住宅整備のように、社会資本を国庫補助によって国が建設も維持管理も支えるあり方への見直しが必要です。国に要望すべきです。

【ウクライナ問題】

最後に、ウクライナでは、国連憲章や国際法を踏みにじるロシアによる無差別攻撃によって、多数の民間人が犠牲になるなど人道的危機が生まれています。ロシアのプーチン政権に厳しく抗議し、核兵器による威嚇を含むすべての軍事行動の即時中止を強く求めます。また、日本においては、今回の事態を利用した憲法9条の改定や敵基地攻撃能力の保有などの議論や非核三原則を踏みにじる核兵器の共有などの主張が強まっています。被爆国日本において、国際紛争を対話による平和外交で解決するという原則の放棄を絶対に許してはなりません。また、市長には、ウクライナからの避難民の受け入れにあたっては、衣食住の確保や医療や教育の保障などをはじめとした支援体制を十分整えるようもとめるとともに、日本共産党としても、募金活動など人道支援に力を尽くすことを申し添えます。

以上10議案について反対の理由を申し上げ、討論といたします。

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