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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2022年第3回定例会 市民経済常任委員会 吉田直弘

1、はじめに中小企業振興施策について質問します。

(1)はじめに、既存事業者への支援の現状と対策について質問します。

①コロナが始まった初期に経営安定資金を借りた人は、据え置き期間が経過し返済が始まっています。市内のある焼き鳥屋さんがコロナの第七波で客足が戻らず、経営安定資金が返済できず廃業しました。昨年度、経営安定資金の利子補給と保証料補助に1195件、決算額は約3億5000万円でした。これらの支援の結果、倒産件数は低い水準に抑えることができたと伺っていますが、現在もなお市内業者は厳しい状況、更なる支援を求める非常に切実な声が寄せられています。そこで質問ですが、市内業者を取り巻く現状についての本市の現状への認識と対策について伺います。

【要望】計画通り返済できなくなった事業者も、事業計画を示すことで銀行から返済猶予を認められる事例もあります。事業の継続を支える事業計画の作成、金融機関との連携など、きめ細やかに対応し相談に乗っていただくようお願いします。

②補助金の利用状況について質問します。日常の業務を改善したり効率化をするため、売り上げの向上につながる設備を更新したいという市内業者の願いに応え、支えていくことが合わせて大切です。本市では昨年度、設備投資促進補助金に72件、IT化推進補助金を276件交付し、決算額は約7840万円でした。業務の改善や見直し、様々な機会で設備の更新などの相談があったとき、事業者の相談にどのように対応し、補助金の活用につなげてきたのでしょうか。

【指摘】事業の継続を支える更なる施策の充実とともに、市内事業者のチャレンジを応援する施策の充実を求めます。

2、次に、中心市街地の商店のリニューアル支援について質問します。

(1)はじめに、商店リニューアル助成制度の拡充についてです。

①現在、本市では買い物利便性向上支援事業とまちなか既存店支援補助金を実施し、既存店舗の設備更新などリニューアルの支援に取り組んでいます。本市の制度を活用し、店舗のバリアフリー化を実現したという市内の美容店の方が大変喜んでいました。店舗のリニューアルの支援は、事業者の方々の売り上げ向上を支援するもので、市内の中小業者を激励する大変重要な事業だと思います。そこで、買い物利便性向上支援事業とまちなか既存店支援補助金の昨年度の実績と経済波及効果について伺います。

②買い物利便性向上支援事業の対象地域は、市内の市街化調整区域と大胡、宮城、粕川、富士見地区です。小売業・飲食サービス業、生活関連サービス業を対象に店舗の改修、備品購入費を支援しています。特徴は、事業継続のための事業費補助とともに事業承継を目指して行う事業費の一部補助を行っている点にあります。まちなか既存店支援補助金は、まちなかで1年以上営業する事業者の新たな魅力づくりに資する取り組みを支援する事業です。店舗のリニューアル改修や厨房備品の新規導入などのハード面、シャッターアートなど学生と連携して実施するソフト事業も支援対象です。しかし、例えば新前橋駅の周辺など市街化区域の店舗の内外装の修繕などリニューアルを補助するメニューはありません。高崎市では、まちなか商店リニューアル助成制度補助金を実施しています。地域を限定せずに利用でき、100万円を上限に費用の2分の1を補助し、内外装の工事や備品購入を支援しています。予算は3億円、上限を超えても増額補正もし、市内業者を支援してきました。買い物利便性向上支援事業、まちなか既存店支援補助金を拡充し、市内全域で活用できるリニューアル制度としていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

【反論】高崎市に伺いましたが、中小業者の街である同市にとっても商業支援と地域の活性化につながると相乗効果があると伺いました。立地によって差別しない、行き届いた支援を強く求めます。

また高崎市の「絶めしリスト」は、地域に長年親しまれている人気の食堂に光を当てるプロモーションとしても同市内外からの誘客に成功しています。まちなかの賑わいを取り戻すというのであれば、本市がもっと市内の中小業者の魅力を発信するなど工夫もすべきです。

(2)次に、開業支援の取り組みについて伺います。

①まちなか開業支援補助金についてですが、同事業は、まちなかで店舗や事務所を開業する事業者に、改装や一定の条件で備品購入費を支援しています。空き店舗や空き家の利活用につなげるため有効な施策だと考えます。開業支援については、開業から経営が軌道に乗るまで一定期間の支援も必要です。そこで質問ですが、昨年度の補助金額と創業サポートの内容についてそれぞれお答えください。

②開業準備から、経営が軌道に乗るまで、事業者の方を支えるための取り組み強化をしてください。まちなか開業支援補助金制度はまちなかだけを対象としていますが、市内全域で利用できるよう拡充すべきと思いますが、いかがでしょうか。

【反論】インターネットビジネスなども広がり、必ずしも、あえて賃料の高いまちなかで開業する意味はありません。もっとフレキシブルな対応が必要じゃないでしょうか。要望ですが、事業承継時にも制度が利用できるよう充実していただくよう求めます。

3、次に、御用聞き型企業訪問事業について質問します。

(1)2021年度の取り組みについて質問します。

いまコロナ禍に物価高騰、さらには半導体不足でなかなか経営がうまくいかず、多くの困難に事業者の方々が直面しています。どうすれば経営改善できるのか、多くの悩みに直面しながら、必死に営業を続けています。市内の事業者の相談に寄り添い、事業を軌道に乗せる寄り添った支援の強化が必要です。本市では御用聞き型企業訪問で昨年度55社232回訪問し、伴走型で経営改善や生産性向上などの支援をしてきたと伺っています。どのように支援し、成果を上げてきたのでしょうか。

(2)周知の強化について質問します。

企業を支援する伴走型の取り組みとして評価しますが、支援を必要とする事業者の相談につなげるため制度の周知を強化することが必要と考えますが、いかがでしょうか。

【指摘】御用聞き型訪問事業者、事業者からの電話やe-mailでの相談に乗って、支援を必要とする事業者への支援につなげているということです。同じ会社を繰り返し訪問し、業務改善などを実現しているということです。しかし、圧倒的多数の事業主はどこに相談したらいいかわからないのが現実です。ぜひ窓口を設置していただくよう求めます。市内業者の支援とともに、市内で開業したい、市内業者と取引したいという相談にも対応できるよう、様々な専門家との連携も強化していただきたいと思います。

4、次に、新「道の駅」設置事業について質問します。

(1)「道の駅」のコンセプト

上武道路「道の駅」設置事業の実績は、2018年から21年度末までに11億5,233万9,000円でした。昨年度は本体建設に着工し工事が進められました。細ケ沢川の増水などへの備えとして、機械設備のかさ上げ工事も行っていただいたことは私たちが求めてきたものでもあり、評価しております。

①しかし、新しい道の駅が、例えば全国で注目されている川場田園プラザでは「家族で一日楽しめる道の駅」をパンフレットなどで打ち出し、川場ならではの美味しさなどもアピールし、今では田園プラザで扱われる加工食品などが、東京で出品されたり、インターネット販売などでも扱われています。新しい道の駅は、川場のような道の駅を目指すのでしょうか、それとも住民に身近な道の駅を目指すのでしょうか。こうした理念やコンセプトなしに道の駅の運営がうまくいくとは思えません。どのような道の駅を目指すのでしょうか。本市の見解を伺います。

【要望】いろいろやることはわかりましたが、最大の魅力は伝わってきません。地元の方は、高いテナント料などの影響で「品物が高ければだれも利用しないよ」とお話しされていました。例えば、鹿児島県の国道10号線沿いにある道の駅すえよしでは、ランチバイキングを一般1300円、こども800円で実施しています。3000円で、黒毛和牛付きのバイキングができます。地元の主婦も多く働き、地域の食材を活用した家庭料理やちょっとした郷土料理が並び、地元の人々で常時賑わっています。道の駅の経営は、平日の誘客が最大のカギです。地元の人々が気軽に集まるような道の駅づくりをしていただきたいと思います。

(2)次に、農畜産物直売所について伺います。

①ロードステーション前橋上武では、昨年12月に生産者の会の設立総会が行われました。生産者の会の会員は150名ほどと伺っています。参加する農家が少なすぎ、このままでは本市の農畜産物で棚を満たすことはできず、市場からの仕入れもやむなしという状況になってしまうのではないかと危惧しています。現状と認識、合わせて生産者をどのように支援していくのか、本市の見解を伺います。

②農畜産物直売所は、道の駅の顔ともなる重要な施設です。前橋の新鮮な野菜や果物が並び、魅力ある直売所にしていくことが必要と思いますが、開業を計画している時期は端境期です。どのような対策をお考えでしょうか。

【反論】結局は、市場から仕入れるほかなくなってしまうのではないでしょうか。

(3)観光案内所

①観光振興については、サイクルステーションの設置、インバウンド対応が可能な観光案内所を整備し、様々な企画を準備していると伺っています。重要なのは赤城山南面観光への誘客を進めるため、大胡、富士見、荻窪の道の駅と連携することが重要だと思います。

しかし現状は、全国どこの道の駅を見ても、パンフレットが置かれ、他の自治体と連携して観光コース表などを配ったりしていますが、かなり苦戦しています。どのように観光誘客につなげるのでしょうか。

【反論】現実には、多くの来街者にとって道の駅は立ち寄り地点であり、自家用車で直接目的地まで行くわけです。相当の努力が必要であり厳しいと思います。

(4)PFI特定事業契約

①工事請負契約について伺います。現在、円安に商品価格の高騰が続いています。昨年12月の第4回定例会で、工事請負契約の増額補正をしていますが、建築資材の価格高騰の影響を受けて、当初の見込みより建設工事の費用が増大したのではないでしょうか。

②PFIの特定事業契約では、運営の終了まで15年と長期の契約です。本市でも、事業がうまくいかない場合には撤退もありうるものと考えますが、事業者の理由で撤退する場合の違約金などはあるのでしょうか。

【結論】違約金条項はありますが、契約保証金相当の金額ということで事業者の負う責任があまりに軽すぎます。撤退により当初の予定よりも莫大な税金が投入されることがあっては絶対になりません。私たちは繰り返し、過大な施設建設への懸念を指摘してきました。国交省は、来年3月の開業をプレスリリースしましたが、いまだに道の駅の最大の売りが見えない、テナントが販売する商品の魅力やフードコートやレストランの主力メニューの宣伝なども全く見えてこないのは大きな問題です。失敗は絶対に許されません。

3、次に、再生可能エネルギー推進の課題について質問します。

(1)自己託送事業

①六供清掃工場の余剰電力を活用した自己託送事業は、2021年度は前橋市立図書館など6か所で開始しました。8月の委員会では、二酸化炭素と電気料金はかなり低減できたと伺っています。余剰エネルギーを有効に活用することで、本市施設全体からの二酸化炭素の排出量の削減でき大変有効だと思いますが、2021年度の実績と効果について伺います。                                                

②8月の委員会では、電力使用量の多い市役所本庁舎への自己託送は断念すると伺っています。本市では公民館や小中学校で太陽光パネルの設置、あるいは地中熱を利用した発電を一部の施設で実施していると伺っています。公共施設から脱炭素を進める重要な取り組みです。市役所や公民館、学校などすべての公共施設に太陽光パネルを設置し、自己発電の推進が必要と思いますが、本市の考えを伺います。

(2)次に、新エネ・省エネ機器導入補助について質問します。

①同事業の決算304万2000円でした。燃料電池コージェネレーション(いわゆるエネファーム)、電気の使用状況がわかるモニター・HEMS、定置用リチウムイオン蓄電池の普及を支援してきました。再生可能エネルギーの推進するためには、既存の家へのソーラーパネルの設置と合わせて余剰電力を自家消費できるよう蓄電池をセットで普及することが重要ですが、蓄電池の負担は重く個人宅では容易に導入することができません。ソーラー設置の支援を新たに補助の対象とし、ソーラーパネルと蓄電池の普及をセットで推進するとともに、補助金も抜本的に増額が必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか

【指摘】昨年度の予算は300万円でした。今年度は増額されましたが、予算が少なすぎます。財政部とも連携し、抜本的な予算の増額を重ねて強く求めます。

(3)次に、苗ヶ島町木質バイオマス発電所の問題について質問します。

①発電所の回転音や異常音、木材破砕チッパーの破砕音が日中、夜もなり続いています。隣接するビュータウンにお住いの方によると、“バリバリ”という音や“ストンストン”という音が響いていると伺いました。本市では騒音測定を定期的に行っていますが、測定の実施状況と結果、業者に対してどのように対応されたのでしょうか。基準値を超えた場合の行政指導に対し、事業者はどのように対応されたのでしょうか。答弁を求めます。

【指摘】地域の住民からは、騒音が住宅に響かないように改善してほしいと強く求められました。騒音で精神的にも追い詰められ、医師からも診断書をもらった。もっと厳しく指導すべきと。

③燃料となる木材の調達先と放射線量の公表についてです。同発電所は年間6750キロワットを出力する大規模発電所です。燃料となる間伐材は年間8万トンということです。木材の産地の詳細は明らかにされていません。トラックに積んだ木材の放射線量を公表すると説明していましたが、いまだに約束は守られていません。木材の調達先と放射線量の公表を求めるべきと思うが、いかがでしょうか。

【指摘】放射線量の公表も、当初、住民と約束していたことです。約束を守るよう強く求めるべきです。                          

④事業者の資料では、同発電所からの配水は日量280トン、燃料チップ製造所の排水量は日量45トン排出する計画です。排水は浄化せず、浸透ますから地下浸透させています。仮に、放射性物質が付着した樹皮を絞って出た廃液を地下浸透させれば、地下水汚染も心配されます。煙突からのばい煙にも放射性物質が含まれるわけです。水質汚濁防止法及び群馬県の生活環境を保全する条例に定める特定施設を設置する事業場から排出される排出水の測定が義務づけられております。水質汚濁や煙突から出るばい煙の調査は、事業者が独自の基準で行っていると伺っていますが、調査の結果は本市には報告され、どのように対応されてきたのでしょうか。お答えください。

【指摘】排水の地下浸透は、当初操業開始から3年と約束していた約束を反故にして今も続けているわけです。住民との約束を守らない事業者の姿勢は許されません。

⑤この項の最後になりますが、建設当初、関電工は再エネの学習施設として見学もできるようにすると説明していました。本当に施設内が安全であれば、見学施設も出来ていると思います。本市では見学施設の整備などを求めてこられたのでしょうか。

【結論】Co2などの温室効果ガスを削減し、気候危機を打開する道を開くためには、再生可能エネルギーへの思い切った転換が必要だと考えています。しかし、同時に再生可能エネルギーに対する住民の信頼確保が欠かせません。発電所は、住民との約束を反故にし、正門は固く閉ざし、住民との対話を拒否し続けています。あまりに不誠実です。住民の不安に応え、事業者に対し厳しく指導していただくよう重ねて強く求めます。

4、最後に、アーツ前橋について質問します。

昨年度、アーツ前橋のあり方検討委員会が行われました。作品紛失問題の再発防止、アーツ前橋の運営、館長専任に向けた提言書が昨年12月に市長へ提出されました。同提言は、同館が掲げる①創造的であること、②みんなで共有すること、③対話的であることの3つのコンセプトを守り、事業を継続されていくべきと指摘しています。私も3つのコンセプトこそ、市民に身近なまちなかミュージアムを作るのに必要な最低限の要件だと思います。

(1)そこで、メンバーシップ会員を増やすための取り組みについて質問します。

 昨年度は、2回の企画展が行われ入館者は6237名(新収蔵品展3231名、生の軌跡3006名)、カフェ・ショップを含む利用者は51,952名であったと、先ほど他の議員さんの質問にお答えでした。市民がアーツ前橋を身近に感じ、ファンを増やし、入館者やリピーターを増やすためには、同館の活動を支援するメンバーシップ会員を広げることが必要と考えますが、本市ではどのように取り組まれるのでしょうか。お答えください。

【提言】私も、昨日メンバーシップ会員になりましたが会員向けのプレビュー企画をはじめ豊富な特典、入会記念品には驚きました。土日にはメンバーシップの窓口を設置したり、もっとアピールを強めていただきたいと思いますと思います。あわせて学生会員など、ご検討いただきたいと思います。

(2)次に、作品の収集について質問します。

①美術館の魅力は、そこにしかない作品を見られる点にあります。美術ファンの要望に応えるためにも、美術作品の収集に予算もつけて取り組みを強化することが必要です。寄贈や寄託の相談への対応、新たなコレクションの収集について、本市ではどのようにお考えでしょうか。

【提言】ご答弁いただきましたが、計画的な収集に取り組むことが美術館の機能強化には欠かせません。新館長のもとで明確な方針を示せるよう、いまから準備を進めてください。ぜひ季節に応じた展示替えなども計画的に行い、通年楽しめる美術館づくりを進めていただきたいと思います。

③次に、サポーター・ナビゲーターとの連携について質問します。

アーツ前橋では、サポーターが展覧会の案内の郵送など運営を支援し、ナビゲーターが同館が大切にする対話的な鑑賞を支援するなど、多くの市民が参加自主的なボランティアによって支えられています。市民に身近な美術館を作る上で、サポーター・ナビゲーターの皆さんとの連携が重要だと思いますが、どのように連携されてきたのでしょうか。

アーツ広場でワークショップや共同作業を昨年度に行いサポーターと芸術家など13人くらいが参加し共同で作品制作なども行い、モチベーション向上を支援。

(4)最後に、学芸員の採用・育成について質問します。

①提言を実践するためには、学芸員の方々が力を発揮することが欠かせません。任期のない専門職学芸員を正規職員として採用するため職員課とも連携していただくとともに、美術館運営の専門家として技量を高めるスキルアップ、情報交流や研修の機会をしっかり保障することが必要と考えるが、本市の考え方を伺います。

【結論】ぜひ全国の学芸員が切望している、いわゆるキュレーターとしての業務、資料収集、保管、展示、調査研究など同館の運営、企画設計などを役割分担し、専念できるよう求めます。

(まとめ)これからのアーツの運営については、新しい特任館長のもとで具体的に方針が決められるものと思いますが、3つのコンセプトを貫いた運営をするためには学芸員と事務職員がしっかり連携して日常の運営にあたることが必要だと思います。ボランティアの方々との連携を強化し、市民への呼びかけも強めて、市民に身近なマチナカ美術館にしていただきますようお願いして、わたくしからのすべての質問を終わります。

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