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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2023年第1回定例会 総括質問 小林久子議員

1、保育環境の充実について

保育所の通園バスの園児置き去り事故や、虐待などの事件が相次いで発生し、大きな衝撃を受けました。原因究明や再発防止策を講じることは大切なことですが、保育士不足が深刻で、配置基準や処遇改善が進まないことが背景にあると考えます。

 

(1)公立保育所再整備基本方針

最初に、公立保育所再整備基本方針についてです。
現在16か所の公立保育所を10~12に統廃合する計画です。

 基本方針では、公立16施設の老朽化や、公立保育所が保育関係施設の調整機能としての役割をになうこと、民間活力も導入し老朽化した施設を建て替えるメリットなどを並べ、再整備を推進しています。

 政府は、子ども子育て支援新制度の導入で市町村の公的責任を後退させ、規制緩和と企業参入を拡大し、保育の民間化が強力に進みました。

本市も認定こども園の認可を拡大して民間受け入れ枠を拡大してきました。

再整備方針では、公立保育所は、地域の子育て支援拠点、保育の質の向上、セーフティネットとしての役割をうたいながら、一方で、需給調整機能を強調しています。これは公立保育所の存在意義を見失なわせ、さらに減らすことにもつながりかねず問題です。

公立保育所の役割を今こそ明確にし、減らすべきではないと考えますが、市は公立保育所の今後をどのように考えているのか伺います。

 

  • 公立保育所が需給調整の役割を担うというのは削除すべきです。

全国で公立保育所の廃止や民営化が進み、2000年には公立保育所が私立保育所を上回っていましたが、2019年には公立保育所は35%にまで減少しています。本市は、この流れに追随せず、公的責任をしっかり果たし、公立保育所を守り抜くべきです。

 

(2) 保育士配置基準の見直し

次に保育士配置基準の見直しについてです。

国の保育士の配置基準はゼロ歳児が子ども3人に対し保育士1人、1~2歳児が6対1、3歳時20対1、4~5歳児30対1です。1~2歳児は50年以上、

4~5歳児は70年以上変わっていません。先進国の中でもこんなに低い基準の国はほかにありません。これでは保育の安心安全や質の向上は図れません。

愛知県の保育士団体が昨年行ったアンケートでは現在の配置基準では、災害時や散歩時、防犯上も子どもの命と安全を守ることはできないという声が多くを占めました。

先日「子供たちにもう一人の保育士を」と有志の会が署名を集め厚労省に提出しました。

全国知事会も、配置基準の早期見直しを政府に求めています。また、群馬県は1~2歳児の6対1を5対1に改善しています。京都市や草加市では、3歳児は15対1、4歳児は20対1、5歳児は25対1と条例を改正し、独自の配置基準を採用しています。

 本市としても国に早期に配置基準の見直しの要望を上げていくとともに、独自に条例を改正し配置基準を見直すべきと考えるがいかがでしょうか。答弁を求めます。

 

  • 本市独自は難しいとのことですが、国が、「保育士を増やして」という声に真剣に答えていない。このことが問題です。

国の新年度予算は、チーム保育加算の拡充で4~5歳児25対1の配置ができるように2人までの加配を可能としていますが、要件として定員121人以上の規模であること、複数保育士のチームによる保育体制や職員の平均経験年数12年以上などが要件で、全国で対象の保育所は18%とされています。国予算も14億円とわずかです。改めて配置基準の早急な見直しを国や県に強く求めていただきたいと思います。

 

 

(3)保育士の処遇改善

次に保育士の処遇改善についてです。

2021年度の保育士の平均年収は382万円で、全産業平均の489万円と比べ、月額9万円近い差があります。

22年2月に保育士や介護看護職に対し実施された、賃金を3%月額9000円程度上げる処遇改善臨時特例事業は、現場からは一桁違うとの声が上がりました。

保育士の高い専門性と、コロナ化でも保育を続け、働く子育て世代を支える重要な社会的役割を担う重要性に見合う処遇改善は待ったなしです。
 東京都は保育士給与に4400円を上乗せし、借り上げ宿舎の家賃補助行っています。さいたま市は常勤職員1人10500円上乗せ、期末手当67500円、合計年193500円支給しています。

船橋市は給与に月額48575円上乗せし、家賃補助を月額69000円,修学資金貸付月額3万円などを行っています。

慢性的な保育士不足を解消し、保育士確保を図るために、本市独自に給与の上乗せなど処遇改善を行うことが必要と考えますが、答弁を求めます。

 

  • 国の処遇改善加算や加配保育士などへの補助がありますが、一部補助にとどまり、これでは保育士全体の賃金アップにつながりません。

内閣府は登園時やプールなど一部の時間帯にスポット的に対応する保育支援者への補助を行いますが、単に人を配置すればいいというものでなく、子ども命と安全を預かる保育は保育士による対応が原則であるべきで、処遇改善と保育士確保にしっかり取り組むべきです。

 

 

(4)保育料無料化の拡大

次に、保育料無料化の拡大についてです。

2019年10月からの保育料の「無償化」は 消費税の10% への引き上げと抱き合わせで実施されましたが、無償化の対象は3~5歳で、0~2歳は住民税非課税世帯にとどまりました。さらに保育料に含まれていた副食費が実費徴収になり、保育施設の事務負担が増えました。

国は、保育所などを利用する最年長の子を第一子とカウントして、0歳~2歳までの第2子は半額、第3子以降は無償になりました。本市は対象を小学3年生まで拡大しています。

そうした中でも、0歳~2歳の保育料の負担は重く、所得によりますが、1か月で3万円から5万円にもなり、何のために働いているのかわからないという声が保護者から上がっています。

東京都は新年度から第2子を完全無料化、明石市もすでに第2子完全無料化、福井市は所得制限付きで無料化しています。

渋川市は段階的に保育料無料化に取り組み、すべての子の無料化を実施しています。

本市も保育料の無料化の拡大に向け、取り組みを進めるべきと考えます。見解をうかがいます。

 

  • 部長の答弁は難しいということですが、再度市長に伺います。

本市は、国の保育料無償化前も、第3子保育料無料化、第2子は国の5割軽減に市が独自に1割上乗せし、6割軽減を行うなど独自の支援を行ってきました。

さらに広げるにはトップの決断が必要です。

本市は市長の決断で、中学生までの医療費無料化も今回の18歳までの拡大も本市は県に先駆け実施し、全国の無料化の流れをけん引する役割を発揮してきました。

東京都は「少子化を止める」、「子どもを2人以上持ちたい人への支援策」として、第2子の保育料無料化を所得制限を設けずに実施を決断しました。
 本市は少子化にどんな手立てをとるのか。 保育料の第2子への支援の上乗せ、第2子無料化などから、段階的にでも無料化の拡大へ、市長の決断を求めます。答弁を求めます。

 

  • 本市はデジタル先進都市を目指す。さらに民でできることは民にと、国の交付金を使い行財政改革を推進しています。

保育環境の充実について質問してきましたが、厳しい保育の現状を打開するには民間任せではなく、保育の公的責任をしっかり果たし、市独自の財源を振り向けていくことが必要です。
 充実した保育施策でも本市が全国をけん引できるように改めて求めておきます。

 

2, インボイス制度導入の問題点について

インボイス制度導入の問題点について伺います

今年10月のインボイス制度の導入は、中小業者、フリーランスをはじめ、多くの業種に影響が及ぶことから、インボイスの中止・延期を求める声が大きく広がっています。 

消費税が免税となっている年間売り上げ額が1000万以下の事業者は、取引先からインボイスの発行を求められ、インボイス登録し消費税の重い負担を負わされます。登録しなければ、取引を打ち切られるか、取引先から消費税分の値引きを要求されるか、いずれも事業継続が困難となる選択を迫られます。立場の弱い人に負担を押し付けるものです。

 

 

(1)対象事業者への影響

農業者への影響と取り組みについて

最初に農業者への影響です。

現在、日本の農家の9割は免税事業者であると言われており、インボイス制度の導入はほとんどの農家に大きな負担を与えることになります。

JAや卸市場に販売を委託する場合は特例制度があり免税事業者のままでも問題ないとされていますが、それ以外の独自の販路を持ち直接お店に出したり、農産物直売所に出したりしている農家などはこの特例の対象外となります。

取引先からするとインボイスを発行できない農家からの仕入には仕入税額控除が適用できないため、その分消費税の負担が増大することになります。農家は取引停止や、値引きを強要されるようなことも考えられます。

こんなことになれば、廃業せざるを得ない農家も多数出てくることが予想されます。
 市はこのような市内農家への影響をどう考えているのでしょうか、また、今後どのような取り組みをしていくのか伺います。

 

  • 農家の皆さんが営農を続けていけるように、ぜひ丁寧な対応をしていただきたいと思います。
    インボイス制度導入に幅広い業界から反対の声に押され、政府は登録期限を今月31日までを9月まで伸ばし、さらに、納税額の時限的「軽減」など「激変緩和措置」の方針を示しています。

しかし、廃止や延期を求める声には応えず、インボイス導入ありきで、問題を先延ばししていることは問題です。

 

②シルバー人材センターへの影響

次にシルバー人材センターへの影響についてです。
前橋市シルバー人材センターの令和3年の事業報告では、会員数、1147人、受託事業の契約金額は4億1265万円、請負、派遣就業を含め就業実人数は934人となっています。

センターの会員は個人事業者となりますが、インボイスを発行できないので、支払い配分金に含まれる税額控除ができず、センターの消費税の納税額が増大することが問題となります。

全国にはシルバー人材センターが1300箇所あり、センターの新な負担額は200億円と推計され、1センターあたり1500万円になりますが、これをセンターが負担できるものではありません。

市は新年度予算に高齢者雇用促進として、シルバー人材センターへ2975万5千円を補助しています。

会員の社会参加、生きがいづくりの場としてセンターの運営が守られるよう、市として財政支援を検討する必要があるのではないかと考えますが、見解を求めます。

 

  • 会員一人当たりの配分金は月平均3~5万円程度(3億6673万円)でありますが、働くことを生きがいに、高齢になっても積極的に地域の役に立ちたいと働いています。インボイス導入で、手取額がさらに減少することになったら大変です。

 事業の性質上インボイスを発行することが困難なものについてはインボイスの発行義務を免除するとしており、シルバー人材センターを特例措置の対象とするようにとの声が上がっています。

インボイス制度は事実上の消費税の増税です。10月から強行すればあらゆる小規模事業者が混乱に巻き込まれ、多くの廃業を生むことになりかねません。
 インボイス制度の導入の中止を国に強く求めるべきです。

 

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