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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2023年第2回定例会総括質問 長谷川薫議員

1.第9期介護保険事業計画策定に向けての課題について

(1) 政府の制度改定への意見表明

始めに第9期介護保険事業計画策定に向けての課題について質問します。

第9期計画に向けて制度改定を検討している厚生労働省は、ケアプラン策定の有料化や要介護1・2の保険外しなどは、国民の強い反対世論で実施を見送りましが、老人保健施設などの多床室の室料の新設や、利用料の2割負担の対象者拡大と介護保険料の引き上げは実施に向けて詰めの検討を続けています。

高齢者医療に続き、介護でもこれ以上負担が増やされれば、必要な介護を受けられなくなり、生活破壊が進むことは明らかです。今こそ、厚労省に介護制度の改悪に反対の声を上げるべきです。答弁を求めます。

 

※高齢者が増えれば、介護給付費が増えることは当然です。高齢者介護に必要な予算額を増やして、保険料や利用料の負担を増やさずサービス維持することが政治の責任です。「制度を維持するために受益者負担が必要」という政府の説明に安易に妥協せず、直接、政府に制度改悪の中止を働きかけていただきたいと思います。

 

(2)フレイル対策の強化

 

次にフレイル対策の強化です。コロナが5類に移行し活動制限が緩和された今も、多くの高齢者が感染の不安を感じて外出や人との交流を控えています。

このような暮らしの中で、筋力や心身の活力が低下して虚弱な健康状態となり、認知機能が低下するなど、フレイルになる高齢者が増えています。9期計画でフレイル防止対策を強めるべきです。見解を求めます。

 

※いま地域包括ケアの充実が強調されていますが、総合事業などの拡大など給付削減を前提にした医療や介護の連携ではフレイルの予防にはなりません。食事や運動など使いやすい介護予防のメニューを増やし、高齢者の暮らしの支援を強めてこそ健康寿命を長くすることができると思います。介護予防策を9期計画でぜひ拡充していただきたいと思います。

(3)介護保険料及び利用料の独自減免

①次に介護保険料及び利用料の独自減免についてです。長引くコロナ禍や物価高騰で暮らしに大きな影響が及んでいる中で、政府は、昨年6月から年金を引下げ、10月からは75歳以上の方の医療窓口負担を2倍に引き上げました。
  いま、過重な介護負担に起因する高齢者虐待や介護離職など介護をめぐる問題が深刻化しています。9期計画では介護給付費準備基金の取り崩しにとどめず、一般会計から繰り入れて、介護保険料を引き下げるべきです。従来の答弁では「国が一般会計からの繰り入れを禁じているから難しい」などと繰り返してこられましたが、一般会計からの繰り入れを決断し、少なくとも第1段階・第2段階の非課税世帯の介護保険料を大幅に軽減もしくはゼロする独自軽減策を実施すべきです。答弁を。

※年金暮らしの高齢者の保険料が、基準額で月額6000円をこえています。介護保険料の負担はもう限界に達しています。年金天引き額が多くなれば、高齢者の暮らしはますます脅かされます。引き下げのためにあらゆる努力を尽くすことを求めておきます。

②次に利用料の独自軽減です。川崎市や愛知県江南市は、市民税非課税世帯を対象に、訪問介護の利用料負担を半額にしています。愛知県下の54自治体中7割38の自治体が、介護保険料・介護保険利用料のいずれか又は両方について、独自の減免制度を設けています。 前橋市が実施できないはずはありません。少なくとも生活保護水準以下の低所得者などの利用料の負担軽減に踏み出すべきです。答弁を求めます。

9期計画で利用料の低所得者減免制度の導入を決断するよう強く要望しておきます。

(4) 介護事業所への経営支援の強化

次に、介護事業所への支援です。信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、去年1年間に倒産した介護事業者は全国であわせて143件で、前の年の81件の1.7倍に増えており、負債総額も過去最多の221億3800万円に上っています。本市の事業所の倒産や閉鎖の現状や特徴をお聞きするとともに、コロナ禍による介護報酬の減少による影響を受けた事業者の経営を支援する独自制度の創設が必要と思いますが、どのようにお考えでしょうか。答弁を。

※前橋市内の介護事業所も増え続けていますが、東京商工リサーチは「従業員10人未満の小規模な事業者の倒産が8割を超え、感染が拡大した時期の介護サービスの利用控えによる減収、食材などの物価や光熱費、燃料費の高騰の影響がのしかかり、経営悪化が進んでいる」と指摘しています。答弁にもありましたが、介護現場ではヘルパーなどが不足して人材獲得競争も激化しており、今後も利用控えや物価高が続けば、小規模事業者を中心に倒産が一段と加速し、必要なサービスを受けられない人が増えるおそれがあると思います。本市独自に、介護事業所の経営の現状を調査して、支援事業を具体化するよう要望しておきます。

(5) 国庫負担割合の引き上げ

  次に、国庫負担割合の引き上げについてです。「介護の社会化」を謳って2000年に始まった介護保険制度ですが、現状でも、40歳から保険料を払っていても、高齢になって必要な在宅介護サービスや施設入所などの介護保険給付を希望しても、経済的負担ができず利用できないという高齢者が増えています。特養老人ホームの待機者解消もできず、「保険あって介護なし」という状況が未だに克服されていません。誰もが必要な介護を受けて人間らしい生活を送るためには、現行の介護保険財政の仕組みの改善が必要です。介護給付費の半分を税金、残りの半分を保険料で賄うという現行制度を見直して、税負担を6~7割に引き上げるとともに、税負担の半分を県と市町村に求めず、国の負担割合を引き上げることが必要です。前橋市として高齢化の進行に見合う財政負担の枠組みの抜本的な見直しを求めるべきと考えますが。答弁を。

※国に財源がないわけではありません。岸田政権は、軍事費を5年間で43兆円に2倍化し、青天井で増やそうとしています。その一方で、介護に対する国庫負担は増やさず、受益者負担や自己責任を強調した制度改悪を進め、国の負担を抑えようとしています。少子高齢化社会に突き進んでいる中で、税金の使い方の優先順位が間違っています。軍拡ではなく、高齢者介護や子育て支援に税金の使途を優先すべきと国に声を上げていただくよう強く要望します。

2、ザスパクサツ群馬の練習拠点・仮称「前橋サッカー場」の整備の問題点について

(1)ローズタウンの負債処理・元利償還方針との整合性

①次に、ザスパクサツ群馬の仮称「前橋サッカー場」整備の問題点について質問します。
  私たちは、ザスパクサツ群馬を市民とともに前橋市が応援することを否定するものではありません。しかし、ローズタウンF地区の5ヘクタールを無償貸与して、企業版ふるさと納税制度を活用して(株)カインズが整備したサッカー場やクラブハウスを完成後に前橋市が現物寄付を受けるという内容の昨年2月の基本協定は、市民負担が発生しかねないと繰り返し指摘して来ました。
 当局は、市の財政負担はないと説明していますが、当該土地をスポーツ課の行政財産に所管替えをするために議会にも諮らず、昨年の8月に産業立地特別会計に土地代に相当する6億6千万円を一般会計から繰り出しています。市民負担が既に発生したのではないでしょうか。
 当該土地の売り払い収入が減る分だけ、過年度に一般会計からの特別会計への繰入金や市債の元金償還もできなくなるのではないでしょうか。当然、固定資産税収入もなくなります。
 特別会計の昨年度当初の24億円の負債残額は減額しましたが、「今回の3者協定で市民負担はない」という説明と矛盾するのではないでしょうか。答弁を求めます。

※売却が進まないローズタウンの残地にザスパの練習拠点ができることによる経済波及効果は生まれるかもしれませんが、土地代を市民が負担したことは明らかであります。はっきり市民に訂正すべきです。

②次に、カインズは企業版ふるさと納税制度で、施設整備の費用として市に現金をこれまでの2年間に8億円寄付し、今年度を含めて3か年で13億円の寄付総額となります。現金寄付分を基金に積み立てないで、寄付を受けた年度内に総合計画に掲げられた各種事業に支出することにしたために、今議会でサッカー場等の整備費用として一般会計から9億5400万の補正予算を計上しています。これでは前橋市の一般財源でサッカー場を整備することになるのではないでしょうか。非常に分かりにくい財政のやりくりです。
  わが党は、本来ならば、ザスパの中心的スポンサーであるカインズが、ローズタウンの用地を購入してサッカー場を整備し、ザスパに最良の練習環境を提供し応援することが本来の筋ではないかと考えます。
  自治体への寄付金額の9割が法人税控除の対象となるという企業版ふるさと納税の仕組みを最大限活用して、最小の経費で最大の効果をめざしたいとするカインズ側の意向に合意し協定締結したことがこのような分かりにくい対応をせざるを得なくなったのではないでしょうか。答弁を。

(2)市民負担の発生の回避策

次に、今後の市民負担の回避策についてです。資材高騰によって施設整備費が当初見込みの15億円から21億円に6億円に大幅増額が予想されたために、協定期間を6年間延長して不足分をカインズから年間1億円寄付を受け、完成後の維持管理は、利用料金制ですべて指定管理者のカインズに責任を持ってもらうという説明を当局から受けています。それにもかかわらず、全国からクラウドファンディング型ふるさと納税で資金を集めると説明していますが、何の費用に充てるのでしょうか。建設費がこれ以上膨らんだ時のための準備でしょうか。答弁を求めます。

議員にも市民にも大変分かりにくい整備手法です。市当局は、今後の維持管理費については指定管理者となるザスパの経営努力に期待していますが、経営に行き詰まったり、災害発生などで予想外の改修が必要となった際には、新たに市財政による補填=市民負担の発生が懸念されます。それを回避するためにも、メンテナンスも含めてカインズもしくはザスパに施設の維持管理の全責任を将来にわたって担うことを求める合意・協定締結をするよう強く求めておきます。
  また、企業の社会貢献を果たしてもらうなら、市民負担が発生しするような協定は締結してはならないのではないでしょうか。市のスポーツ振興策はプロスポーツの応援よりも、市民スポーツ振興を優先し、老朽市有スポーツ施設の更新など市民のスポーツ環境の整備にこそ力を注ぐべきです。市民利用が多かった前橋テルサのプールやスポーツジム更には六供市民プールを閉鎖し、代替え施設の検討もしないまま、前橋サッカー場の整備のために市財政を投入することに市民理解は得られません。今からでも、土地代として支出した6億円は一般会計に返すべきです。指摘しておきます。

3  富士見町小暮の市有財産の減額貸付の問題点について

 

最後に、富士見町小暮の市有財産の減額貸付の問題点について質問します。そもそも、不動産の寄付を受けることの是非の判断基準が要綱などで決められていない中で、赤城山麓のスローシティーエリアにあるので利活用が可能という市長の漠然とした政治的な独自判断で寄付を受けたこと自体が問題です。しかも、借主(かりぬし)が営業開始前のリフォームに3000万円以上かけるという事を理由に、月額11万5千円も減額して、公営住宅よりも安い2万6千円で民間事業者に貸し付けることも市民の理解は到底得られません。年間31万2千円の家賃収入では、今後、貸主として民法上の維持管理責任を果たすための修繕費用を備蓄することもできません。結局、市財政を投入することとなり市民負担が発生しかねないのではないでしょうか。

今、土地建物などの遊休不動産を所有している市民の中には、固定資産税が払えなくなったり、建物除却費用が捻出できないなど、自らの資金で維持管理できなくなって、市に寄付したいと希望している方も現におられます。寄付を希望する物件は当該物件に限りません。悪しき前例を作ったといえるのではないでしょうか。見解を求めます。

 

※大幅減額による賃貸契約ではなく、再度優先交渉権者と協議して、売却することを求めて質問を終わります。

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