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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2023年第2回定例会 請願第1号賛成討論 小林久子議員

私は日本共産党前橋市議団を代表し、「就学援助制度の改善を求める請願について、採択に賛成の立場から討論を行います。

 約6人に1人の子どもが「貧困ライン」を下回り、なかでもひとり親世帯の2人に1人の子どもたちが貧困状態にあります。さらに物価高騰や長引くコロナ禍により大きな経済的打撃を受け、生活状況がより厳しくなる中で、教育費の負担が家計を苦しめています。
 請願者である前橋民主商工会の婦人部は毎年、就学援助制度の学習会を開くとともに、市教育委員会に対し制度の充実を求め要請と懇談を行ってきました。
  本市の2022年度の就学援助の認定は2532人です。認定率は約11%で、文部科学省の調査による全国平均14.22%よりも低くなっています。
 このような中で、経済的困難を抱え援助を必要とするすべての世帯に支援が届き、小中学生がお金の心配なく学校に通えるように、本市の就学援助制度のさらなる改善を求め、本請願が提出されました。
 付託された教育福祉常任委員会では、日本共産党以外の他の会派は紹介議員の説明や、当局からの参考意見の聴取も必要ないと表明し、本請願に反対し不採択としました。さらに、それぞれの会派が討論せず、まえばし令明、公明党、高志会、市民フォーラム、かがやきの5会派を代表してまえばし令明の委員が討論を行うなど市民の議会請願に対し誠実さを欠くと言わざるを得ません。
 以下、各項目について、わが会派の賛成理由を述べます。

 

請願項目の第1は、より申請しやすいものとなるように制度の案内や申請、周知方法の改善を求めるものです。
 不採択とした会派は入学準備金の申請や在校児童生徒の保護者にも案内配布、ホームページや広報などで周知してるので現状でいいと言いますが、まだ不十分です。
  入学前検診時にも周知するなど、特にはじめて子どもを小学校に入学させる保護者もいるので、何度でもお知らせや周知をすべきです。また在校児童生徒の保護者には、案内だけでなく申請書も全員に配るべきです。
  特にひとり親家庭など経済的に困窮していると思われる世帯には申請をもっと積極的に働きかけるべきです。世田谷区はホームページで、支給対象になるかどうか迷う場合はまず申請してくださいと呼びかけています。杉並区は就学援助の希望調査票を全員に送っています。本市もこのように申請をしっかり後押しすべきです。

 

請願項目の2は、失業や家計の急変など所得減少による年度途中の申請が可能なことの周知徹底を求めるものです。
  他会派は十分周知されていると討論しましたが根拠が無く、その認識は誤りです。 本市ホームページや就学援助の案内書には、年度途中の家計急変時の申請ができる旨の説明が一切ありません。これでは申請ができません。ただちにホームページや案内に家計急変時の申請について書き加えるべきです。

 

請願項目の3は、申請者の希望に沿った申請ができるように改善を求めるものです。   申請手続きは紙あるいは電子申請や、学校、学校事務職員、教育委員会事務局の窓口でも申請できると述べており、問題なしとの討論がされましたが、ホームページや案内には、在学する学校で手続きを行うよう書かれており、これでは学校に直接相談に行くのをためらう保護者は申請ができません。それぞれの記述を改め、申請者の希望に沿った申請ができることを十分周知するなどの改善が必要です。

 

請願項目の4は支給項目の拡大の要望です。
不採択とした会派は本市はクラブ活動費など各学校で保護者の負担額に違いがあり、部活動参加は任意であり支給額の設定は難しい、公平公正の観点から、現段階では拡大は難しいと討論しました。 
 しかし、国は支給項目の対象として、クラブ活動費は小学校2760円、中学校は30150円、児童会費・生徒会費は小学校4650円、中学校5550円、PTA会費は小学校3450円、中学校4260円と示し、卒業アルバム代も対象としているのに、本市が支給対象としないこと自体が大きな問題です。
県内市町村をみると、クラブ活動費は6市町村が、児童会費・生徒会費は9市町村、PTA会費は10市町村、卒業アルバム代は5市町村が実施するなど、支給項目の拡大に取り組んでいます。
経済的に困窮している世帯に大きな保護者負担がかかることを考えれば、支給項目を増やし、負担軽減を図ることは喫緊の課題といえます。

 

請願項目の5は支給決定の判定結果通知や送金明細の交付方法の改善を求めるものです。
不採択とした会派は、学校はプライバシーに配慮し厳封し保護者に確実に届けるために、児童生徒に直接渡しているのでプライバシーは守られており現状で問題ないと討論しましたが、就学援助を受けている子だけに教室などで先生が直接渡しています。これはほかの子と違うということが、子どもたちの間に劣等意識や差別意識を助長することにもなりかねず、保護者も子どもが負目を感じないかと申請をためらう原因となっています。いじめや不登校の原因になることもあり得ます。郵送で直接保護者に届けるように改善すべきです。

 

請願項目の6は認定基準を全国平均並みの生活保護費の1.3倍に改善を求めるものです。
不採択とした会派は、市は1.1倍で所得基準を目安にしていますが、1.3倍を採用している自治体には収入ベースで判定している自治体もあり、係数だけでは計り知れないと討論し現状を認めています。一方で、教育支援の一層の充実をすべきとも述べており、そうであるならば、1.3倍への引き上げを求める請願者の声にこたえるべきです。
 1.1倍に固執しているのは「子どもの貧困」が深刻な問題になっているときに、2005年度以降に準要保護者に対する自公政権がおこなった国庫負担を廃止し一般財源化したことは、各地で就学援助の縮小を引きおこしました。
 しかし、文部科学省の就学援助実施状況調査(R1)では、認定基準にあたり生活保護基準に一定の係数をかけている1343市町村のうち、1.1倍以下のわずか164自治体の中に本市が含まれており、この結果を見ても認定基準をただちに引き上げるべきです。
 

請願項目の7はコロナ禍や物価高騰に対応する本市独自の支援を求めるものです。不採択とした会派は、反対討論では全児童生徒を対象にしたオンライン学習通信費の全額無料、部活の大会出場経費補助、遠距離通学者への補助など全児童生徒を対象とした市教委の施策をもって独自支援が不要と発言しましたが、これは就学援助の本市独自支援とは全く関係がありません。
 今、物価高騰は一行に収まるところを知らず、食品、飲料水、電気、ガスなどあらゆるもの値上に続き、7月以降も広い範囲で値上げが予定され、食品、飲料の値上げは今年だけで、3万品目に達し、昨年一年間を上回るとも予想されています。
  このような中で、新潟市は新入学用品費と学用品費にそれぞれ5千円を上乗せし、熊本市は就学援助認定を受けた小学生1人当たり5500円、中学生6500円を支給しています。物価高騰の影響を最も受ける経済的に困窮する子育て世帯に対する市独自の上乗せ支援策が求められているのです。ぜひ実施すべきです。

 

今、不登校、いじめ、虐待、貧困など様々な要因が複雑に絡み合い、多くの子どもたちは大変困難な環境に置かれています。こうした子どもたちに寄り添おうとせず、就学援助制度の改善に背を向けることは問題です。
 全く賛同できない請願項目であれば不採択という判断もあると思いますが、請願趣旨に一部でも賛同で切るのであれば一層の努力を求める市民の思いを受け止め採択し、市当局にさらなる施策の推進を求めるべきです。

 以上申し上げましたが、請願項目1~7の願意はすべて理解できますので、採択すべきという立場を表明しまして討論といたします。

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