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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2023 第4回定例会 議案反対討論 吉田直弘議員

私は、日本共産党前橋市議団を代表して、本議会に上程された議案第142号、第146号、第151号及び第153号に反対の立場から、討論をいたします。

 

はじめに、議案第142号、前橋市一般会計補正予算案についてです。

補正予算の内「めぶくPay」ポイント還元等に係る事業予算1億2000万円を認めることはできません。本事業は、電子地域通貨「めぶくPay」の利用促進のポイント還元事業に市税を投入するものです。

めぶくPayはスマホアプリの「めぶくアプリ」から登録しなければなりません。「めぶくID」の登録あるいは直接マイナンバーカードを登録する簡易認証が前提です。マイナンバーカードを持たない人は利用できません。

しかも銀行口座やクレジットカードなどからチャージできる「ICカード」などとの併用方式を採用せず、スマホによる決済方式に限定していることも問題です。

このような制度設計は、10月末で「めぶくID 」の登録件数が2231件で、そのうち市民の登録が781件にとどまっている現状を、めぶくPayの登録で一気に打開しようとする市当局の意図が明白です。

これでは、市民の暮らしの応援や地元商店の売り上げアップを目的とした地域経済振興という本来の目的よりも、「めぶくグラウンド株式会社」が交付する電子身分証明書「めぶくID」の登録促進や同社が展開するデジタル事業の利用促進の目的が優先されているのではないでしょうか。明らかに地域通貨事業本来の目的を逸脱しています。

全国のデジタル地域通貨は加盟店から徴収する決済取引時の手数料が主な収益源ですが、めぶくPayの場合は、手数料を徴収せず市と「めぶくグラウンド」が負担し無料で運営すると加盟店に説明しています。このような制度設計で継続的な運営が可能なのでしょうか。事業継続のために税金を投入し続けることに市民合意が得られるとは思えません。

これまで実施したプレミアム付き商品券の発行や省エネ家電購入補助制度、さらに今年度から本格的にスタートした住宅リフォーム補助事業はコロナ禍の影響による中小事業者の経営支援や物価高騰によって可処分所得が減った市民の暮らしの支援であり、市民に大歓迎されるとともに、実際に経済波及効果の高い事業です。

しかし、今回のデジタル地域通貨めぶくPayの発行は、キャッシュレス決済の普及拡大と、めぶくアプリで発行すること自体が目的化しているのは問題です。スマホなどが苦手な市民は、登録自体が難しく容易に利用することはできません。

いま、スマホを使ったキャッシュレス決済が広がっています。しかしキャッシュレス決済を使用しない市民も多く、本市でも、現金決済が多数です。

市民が納めた税金を投入してポイント還元キャンペーンを繰り返し実施しても、安定的な継続は難しいのではないでしょうか。

そもそも「めぶくpay」は、前橋市が導入を決めましたが、あくまでもめぶくグラウンドに参加する民間事業者の、普及、利活用の促進をするのであれば、利用促進キャンペーンも今後の維持管理コストも行き過ぎた税金投入に頼らず、広告収入など会社独自の資金調達の努力で運営すべきです。

しかも当局は、めぶくPay利用者の購買データを収集し、ビッグデータ化して活用できると導入効果を説明していますが、市民の大切な個人情報である消費動向や生活情報を安易に活用することも問題です。

また、めぶくPayを活用して給付金などを受け取る市民にだけを特別に優遇しようとしていることも問題です。出産・子育て応援給付金の5万円に5%のめぶくポイントを付与することや、本市の各種事業を利用したり協力した市民に還元ポイントを付与することも行政サービスの公平性に反します。

めぶくPayを利用していない市民は各種ポイント還元を受けることができません。行政サービスはマイナンバーカード保有や「めぶくPay」登録の有無に関わらず、市民全てが平等に受けられるというものが大原則です。

すでに約3億円の税金投入となる「めぶくPay」に今後とも長期的に税金投入を続けることに、市民の合意は得られません。

以上の理由からまえばし版電子地域通貨「めぶくPay」のための補正額支出を認めることはできません。

 

次に、交通政策推進事業の追加における若者公共交通利用応援事業270万円についてです。本事業は、15歳から22歳までの市民を対象に、市内で運行するバス路線、上毛電気鉄道の乗車を一定期間無料にし、若い世代の方々へ公共交通利用を促進するというものです。無料サービスを受けるためには、グンマースの登録が必要となるため、マイナンバーカードによる市民認証、年齢認証が前提となっています。しかし、そもそも公共交通の利用を促進するというのであれば、カード保有者に限定せず、学生証などの提示で無料乗車できるようにし、あえて市民に限らず市内で在勤、通学する若者を対象に、広く若者の公共交通の利用を促し、アンケート調査などで課題や要望を洗い出せばよいと思います。

マースによる交通経路のデータ収集や分析をしなくても、若年層のバスや上電利用についてのアンケート調査で、直接、生の声を聞く方が要望に沿った運行改善に結びつき、公共交通の利用が促進されるのではないでしょうか。マイナンバーカードを持たない、もっていても使いたくない若い世代の人たちを差別することも問題であり認められません。

 

 ただいま反対の理由を述べた2つの事業は、ともにマイナンバーカードなしに利用できません。カードを持たない市民を事実上、差別するものであり、本議案に賛成することはできません。

 

 次に、令和5年度前橋市産業立地推進事業特別会計補正予算についてです。

西善・中内産業用地造成事業にかかる500万円の繰越明許を求めているものです。

本市は、これまでにも資本力のある県外企業などに企業立地促進条例で優遇措置を講じ、大企業誘致を目指して工業団地の用地取得や造成を行ってきたことに、わが党は反対してきました。

昨年度は、優良農地を潰して、西善、中内工業団地の分譲や駒寄スマートインター産業団地の用地買収を進め、さらに新たな産業用地取得に向けた調査を進めています。

呼び込み型でなく、市内で頑張る多くの中小業者や下請零細業者などへの支援を優先した産業政策に転換すべきです。よって、本議案に賛成することはできません。

 

 次に、議案第151号、前橋市特別職の給与に関する条例及び前橋市議会の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の改正についてです。

 いま市民生活は、食料品や生活必需品などの物価高騰で深刻な生活の打撃を受けています。しかも日本の労働者の賃金は、現在30年前の1・03倍にとどまり、国内総生産や物価高騰に関係なく、政府や財界が進めたコストカット型経済の下で全く賃金が上がらない世界的にも異常な状況が続いています。この10年間で賃金は年間24万円も減っています。

今年の春闘でも民間の賃上げは物価上昇に追いつかず、勤労統計で実質賃金は18カ月連続マイナスです。したがって、住民福祉の増進をめざして努力している本市の正規職員、そして非正規職員の期末手当などを引き上げ、生活を擁護することは当然必要だと考えます。しかし、本議案で提案されている市長等の特別職や議員の期末手当の引き上げには賛成できません。

市長の給与は月額112万5千円、副市長は90万円で、市議会議員は月額58万5,000円の報酬によって議員活動が保障されています。政府が民間企業に賃上げを求めていますが、圧倒的な中小企業は原材料の高騰などで経営が厳しく、政府の経営支援策が弱い下では容易に賃上げを行える状況ではありません。このような中で、多くの市民の暮らしの厳しさが深まる中で、特別職や議員の期末手当を0.1%引上げることは、市民の理解は得られません。政府に追随せず期末手当の引き上げをやめて、市民の暮らしを守るという政治姿勢を明確に示すべきです。よって、本議案に賛成することはできません。

 

次に議案第153号、前橋市個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の改正を認めることはできません。これは今年6月に国会で成立した行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部改正に対応するものですが、マイナンバーの利用範囲の拡大、カードと健康保険証の一体化、公金受取口座の登録促進など、カードの更なる利用促進を進めようとするものです。

 

党市議団は、個人情報収集の入り口に位置づけられているマイナンバー制度は、国による国民監視を強め、個人情報保護をないがしろにして、個人データを集め、管理、利用する問題点があると指摘し、制度の廃止を繰り返し求めてきました。

以上の理由により、本議案に賛成することはできません。

 

 以上、申し述べまして4議案に対する反対討論と致します。

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