お問い合わせ

日本共産党前橋市議会議員団

お問い合わせ

議会報告
REPORT

2023年3月臨時会 近藤好枝議員の総括質問原稿

1,第9期介護保険事業計画と介護保険料について

1)介護保険料引き上げの問題点

①高齢者の現状と保険料の引き下げ

今、高齢化の進行の元、本市の65歳以上の高齢者人口は99,475人、高齢化率30・2%で、要介護認定者は18,267人です。第9期事業計画では、介護認定者は令和8年で19,328人と1,120人増え、介護給付費を算定して、第8期と比べて第9期では基金を入れてもさらに、20億8千万円の不足分を想定して介護保険料の大幅な値上げをするとしています。

本市の高齢者は介護保険料の連続値上げで2000年の制度スタート当初の基準額は月額2792円でしたが第9期では6450円と2・3倍になり、医療費の窓口負担の引き上げや後期高齢者医療保険料の引き上げ、年金の連続引き下げ、物価高騰の直撃も受けており生活は悪化し、これに追い打ちをかけるように、介護保険料の引き上げによって、高齢者の生活はさらに苦しくなるのではないか。

介護保険制度の枠内で、当局が努力して保険料設定していますが、保険料を払いたくても払えない多くの高齢者が出現します。介護保険制度の中で保険料の引き下げの財源をねん出ことが困難であれば、一般会計からの繰り入れも検討して保険料の引き下げ、せめて引き上げをしない決断をすべきと考えますが答弁を求めます。

反論

一般会計からの繰り入れは禁止されていませんし、現に繰り入れている自治体もあります。本市人口の3割を占める高齢者を支えることに対し、市民理解も得られるはずです。

②低所得者への保険料引き下げ

介護保険制度はこの間、1割負担の利用料の2割・3割への引き上げ、介護施設の食費・居住費の負担増、要支援1・2の訪問・通所介護の保険給付外し、要介護1・2の特養入所からの締め出しなどの改悪が連打されてきました。

本市高齢者の所得状況は6割が非課税世帯であり、第5段階までに属する低所得の方々です。9期の介護保険料は、最も所得の低い生活保護受給者と同等の方、第1段階は全体の高齢者の15・2%。第2段階を合わせると4人に1人となります。保険料は第1段階年間2700円上がって2万1200円、第2段階年間3800円上がって3万7100円となります。

高齢者は病院への受診も複数以上通っている方が多く、介護保険を利用すると、利用料負担が重くのしかかります。そのためにも、所得の低い方々への保険料を引き下げて生活を支えるべきです。令和8年度末は基金残高4億8千万円と見込んでいます。こうした基金のさらなる活用もすべきです答弁を求めます。

反論

第1段階は15・59%、第2段階は11・41%も負担が重くなるのです。とても認められません。

③第9期では介護保険料設定を段階別に細分化して現在の第11段階から第15段階にしています。一定の所得のある方から、保険料を大幅に引き上げてもいます。厚労省も13段階をモデルケースとして示していますが、他自治体も参考に本市でも段階別細分化をさらに増やし、低所得者層への保険料の引き下げが可能と考えるが見解を伺います。

反論

努力は認めますが、さらなる細分化で低所得者への負担を軽減できるはずです。

2)介護保険料の独自軽減

①現状の減免

本市の介護保険料の減免対象は災害などのほかに主たる生計維持者の病気や事業の休廃業などの収入減少も対象です。たとえば一人暮らしの高齢者が働いて収入を得た場合は収入が半分に減らないと該当せず、同居人がいる場合はその方の収入が半分以下にならないと該当しません。

大変厳しい規定ではありますが、この5年間で所得減少の減免申請及び減免された件数は何件かその理由も伺います。そもそも、ホームページにも掲載していないし、減免制度は周知されておらず、大きな問題であり改善すべきではないですか。

②制度の拡充

現状の制度でも直ちに活用すべきですが、規定がそもそも厳しすぎます。所得減少で一番救済すべきは、生活保護基準以下になってしまった世帯への独自減免だと考えます。所得減少に伴う独自減免基準を生活保護基準と同等になった場合に適用するように改善すべきと考えるが見解を伺います。

3)利用料の独自軽減

①実態に対する認識

介護保険制度は高齢者の収入が少なくても、利用料の1割は負担する制度であり介護度に応じて利用料負担が重くなります。その結果、必要なサービスを受けたくとも利用できません。高額介護サービスに該当しても、必要なサービスを受けると生活保護基準以下になる世帯があります。こうした世帯の実態をどのようにとらえているのか。先日相談のあった70代の女性は年金1か月65,000円で生活しています。介護度は要支援1でホームヘルパーさんとデイサービスを週1回利用していました。この方が要支援2になり、同じサービスを受けて、月額5千円から7千円に跳ね上がり、払えなくなりました。こうした生活保護以下の実態をどのように認識しているのでしょうか。

②そこで、利用料の独自減免制度を創設すべきと考えます。

必要な介護サービスを利用すると生活保護基準以下になってしまう世帯への支援が必要です。県内でも先の定例会でも紹介しました高崎市、伊勢崎市、さらに太田市、沼田市、館林市、明和町、大泉町の7市町で低所得者への利用料の独自減免を実施しています。その内容は、訪問介護や居宅サービス利用料自己負担額の2分の1減免規定が多くを占めています。また、沼田市では一般会計からの繰入れを実施しています。

目の前で困っている高齢者を放置していいのか、わずかな予算で実施できるですから利用料の独自減免制度の創設を決断すべきと考えますが答弁を求めます。

反論

高齢者がなるべく自立して生活できるように介護への支援の手を差し伸べることは、要介護度を進行させない、悪化せない大きな効果があります。また、遠隔地で生活している家族などの介護に頼れば、深刻な介護離職も起きていきます。こうした問題にも答えていけるのです。

4)訪問介護事業所への支援

①在宅介護を困難にする訪問介護報酬の引き下げによる影響

介護報酬は総改定率では1・59%の引き上げですが、訪問介護サービスは基本報酬が逆に引き下げられます。政府は基本報酬を下げても、介護職員に加算される処遇改善加算をとれば、全体の収益はプラスになると述べています。

しかし、事業所の現場では最も多いサービスは1時間程度の訪問介護あるいは生活支援です。これで、事業所が計算した場合、加算をとってもマイナスになります。しかも、ホームヘルパーの確保は年々困難になり、求人倍率も15倍とか大変高くなっています。ヘルパーの高齢化も拍車をかけています。

ある介護事業者の方は、「ごみ屋敷化しているようなお宅への訪問は大変だけれど誰かが支えなければならない。でも、これ以上報酬が下がれば利用者を選択するようになっていくし、担い手もいなくなるのではないか」と語っています。今、全国の社会福祉協議会や介護現場から大きな批判が寄せられ、改善を求めています。介護保険制度の根幹を支える在宅介護が成り立たなくなるのではないでしょうか。見解を。

②訪問介護事業所への赤字補填支援

このままでは、人材も確保できないし、事業所の運営も立ち行かない危機感を持つべきです。そこで、本市の役割として、国の制度の欠陥を補わざるを得ないと考えます。本市の介護事業所が運営できるように在宅介護事業に対する赤字事業所への損失補填をして、訪問介護事業が第9期事業計画を裏付ける実効性あるものにすべきと考えるが見解を伺います。

反論

政府は2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制つまり、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。この方針と相反する事態が進行していることに対し、国に制度の改善を求めるとともに、本市独自でも高齢者介護を支えるべきです。

たとえば、本市が支援して公的役割を持つ社会福祉協議会が在宅介護を支える中軸となり、とりわけヘルパーさんの確保ができるようにすることも大事であると考えます。

5)特養ホームの増設

国はこの間、要介護3以上、預貯金額により入居対象者制限をするなどの改悪を行ってきました。その影響も大きく、特養ホーム待機者は減少傾向です。それでも、本市は昨年の5月調査で特養ホーム待機者346人です。特に緊急度の高いAグループは200人となっています。現在、第8期の広域型特養ホームの30床が令和6年度中に整備されますが、第9期としては令和7年度に地域密着型つまり30人未満の小規模特養ホーム29床のみの計画となっており、不足しています。特養ホームは低所得者が入りやすく職員体制も確保されており、安心して入所できる施設です。待機者をなくすため特養ホームの抜本的な増設をすべきと考えるが見解を。

まとめ

2000年に施行された介護保険は介護の社会化を目指して創設されましたが、この理念が大きく揺らいでいます。介護保険料の負担が重すぎて、今や「保険あって介護なし」となっています。制度自体が持たなくなっています。高齢者になっても健康で文化的な最低限の生活を営むためには、国の社会保障を抜本的に拡充することです。介護保険の財源構造の、国庫負担割合を今の25%からせめて5%引き上げれば、介護保険料を引き上げなくて済むのです。財源を確保するため、国に国庫負担割合の増額を強く求めるべきです。そして何よりも、福祉の増進を本旨とする前橋市が独自の施策や支援を行うことは自治体の責務であることを改めて求めるものです。

 

2,がん検診について

国民の死因の第1位はがんです。2人に1人ががんになるとされています。その抜本的な対策は急務です。

1)受診率

本市のがん検診は2012年の山本市長が就任して公約に掲げ以来10年間無料化を実施してきました。しかし、2022年度から1検診当たり500円有料化され、有料化後、受診率は胃がん15.9%から9.2%へ、大腸がんは18.3%から15.1%へ、子宮頸がんは14.3%から8.6%へ、 乳がんは15.3%から8.9%へ、前立腺がんは20.2%から17.1%へ、胸部エックス線は21.0%から18.1%へ、全ての項目で下がっています。2022年度及び2023年度は年度途中ですが、受診率の低下が明らかではないかと考えますがどのように分析しているのでしょうか。

反論

2021年度はコロナ感染症の影響で受診率が下がりましたが、その受診率よりも2022年度、2023年度も下がっていることは大きな問題です。

2)無料化の復活

受診率は本来引き上げなければならないのに、下がっていること自体が問題です。最大の原因は有料化を導入したことです。がん検診を受けない理由を聞く国民調査でも費用が掛かり経済的に負担だからと答えています。胃・子宮頸・肺・乳・大腸がんの検診はこれまでの研究で、罹患率や死亡率が高い一方で検診を行うことで死亡率を下げる効果があることが確認されており、がん検診を受診する大きなメリットがあり、早期発見早期治療すれば、9割の方が完治するという科学的根拠を示しています。
症状が出てから医療機関に駆け込んでくる方の多くは重症化してから受診しています。毎年がん検診を受けて早期発見早期治療するためにも、がん検診の無料化を復活し、受診率のさらなる引き上げをすべきと考えますが答弁を求めます。

反論

市民の命を守るためのがん検診の必要性はあきらかであり、当局が受診勧奨に努力していることも承知していますが、有料化に伴う受診率の低下を打開する有効な手段が無料化であったことを明確にすべきであり、がん検診無料化の復活を強く求めておきます。

3、旧中央小学校の跡地活用事業について

本市のサウンデイング調査で、商業施設としての活用は困難であり、教育や福祉施設関連等の公共性の高い施設を条件として事業者を募集しました。

私たちは市民に一番貢献できる施設として市立図書館本館を提案していました。しかし、本市は公募にして、群馬パース大学に決定しました。校舎や体育館などの建物価値の不動産金額6100万円を無償譲渡すること。旧校庭などの土地の賃料6億1500万円を無償貸し付けする内容です。そのかわり本市は過去において私学建設などに伴い本市として助成金を共愛学園や昌賢学園に支出してきましたが、今回その補助金は支出しません。

パース大学は自ら学校校舎を38億円支出して建設し、令和9年4月開校予定です。なぜ、無償譲渡無償貸し付けなのかという疑問が市民からも寄せられていますので、しかりとした説明責任を果たすべきです。

(1)地域貢献

群馬パース大学は高崎市内に大学を設置しており、看護師・保健師・助産師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士を養成する大学です。本市の旧中央小には栄養学部を設置して、市内在住の若者の定着や市外から来た学生が流入し、生活することによる効果や卒業生が本市に就職するなどの効果なども含めた地域への経済的あるいは地域への活性化など貢献が大きいと説明されていますが、どれほどの効果と地域への貢献が期待できるのか伺います。

(2)健康医療都市前橋との連携  

医療系の大学ですので、前橋市は健康医療都市として医療機関が充実しています。医療機関が今求めているのは、看護師の確保です。市内医療機関の約7割が看護職員の不足を訴えています。本市の現在の看護師を養成する大学や専門学校などは5校で合わせると総定員350人ですが、市外や県外で就職する学生もおります。今回、せっかく医療系の大学が来るならば、看護師を養成する学部を誘致することも大事です。栄養学部に加えて看護師確保のための学部を誘致するための交渉をすべきではないでしょうか。なるべく前橋市内の医療機関に就職する看護師を養成していく目的を明確にした連携が必要ではないかと考えますが見解を伺います。

結論

ぜひ、健康医療都市前橋がより市民の健康に貢献するためにも群馬パース大学との連携をつよめていただきたいと考えます。そして、旧中央小の跡地活用事業について、市民に対して丁寧な説明と情報公開を進めて理解を求めていただきたいと考えます。

4,こども誰でも通園制度(仮称)の問題点について

政府の異次元の少子化対策の一つとしてスタートしようとする「こども誰でも通園制度(仮称)」制度に、保育関係者からも不安の声が上がっています。

1)利用方法と対象年齢

国は月10時間までの利用可能枠で、就労要件を問わず時間単位で保育所などを利用でき、6か月から3歳未満児を対象に、保育所・認定こども園、小規模保育事業所・幼稚園・地域子育て支援センター、駅前などの利便性の高い場所や空地店舗などでの実施も想定されています。

利用方法は定期的な利用だけでなく、施設や曜日を決めない、空きがあれば全国どこでも利用できる「自由利用」とその組み合わせなど利用者に任されています

本市が実施しようとしている内容はどのようなものでしょうか。何よりも、未来の宝である子供に対して手荷物かホテルを予約するような安易な事業でよいのかが問われていると考えますが見解を伺います。

2)保育の安全性

①人見知りが始まる6か月児、後追いが激しくなる1歳児が突然知らない場所で知らない人に預けられたらどうなるのか。「慣らし保育」もなく、その子の特性など理解する時間も情報も限られるなかで保育ができるのかと、大きな疑問と不安が上がっています。さらに、保育中の事故は0歳・1歳児が8割を占め、預けはじめの時期に集中しています。このような危険性はないのでしょうか。慢性的な保育士不足で日々の保育に余裕がない保育現場にさらなる負担を強いることになるのではないでしょうか。見解を伺います。

②国への要望

一時預かり保育とほとんど変わらない保育を規制緩和して、全国どこでも預けられるようにするなどということは、子供の命を軽んじるものです。厚労省が例を挙げている引きこもりつつある親子を対象するのであれば、利用料を無料にして、身近な保育園にも通えようにすればよいのです。保育現場では保育士確保の支援もなく、慣らし保育もない乳幼児を預かる危険性があり、大きな問題があります。むしろ、現行保育を拡充するための施策こそ必要です。したがって、国に対して、平成8年度から全自治体に義務化し、本格実施はしないように求めるべきと考えますが見解を伺います。

反論

小川市長は代表質問で、こども誰でも通園制度が良い制度であると期待している旨の答弁をしていましたが、子供の命を危険にさらすものであり、むしろ現行の保育を拡充するよう改めて求めておきます。

一覧に戻る

TOP