私は日本共産党前橋市議団を代表いたしまして議案第53号~第56号、第60号~第62号、第68号、第70号及び第77号以上10議案に対する反対討論を行います。
最初に議案第53号前橋市国民健康保険特別会計予算についてです。
本市の国保加入者は、所得200万円以下の市民が7割を占め、法定軽減の対象世帯も過半数に上るなど、協会けんぽなどと比べても所得は約半分です。国保税の所得に占める割合は既に1割に及んでいるため、払いたくても払えず、滞納する市民が増えています。滞納者には正規の保険証を取り上げる制裁措置や収納課による厳しい滞納処分が行われ、国保世帯の暮らしをますます苦しめています。高すぎる国保税は昨年度黒字分と昨年度の国保基金を合わせておおよそ10億円の半分を使い引き下げることは十分可能です。
次に議案第54号前橋市後期高齢者医療特別会計予算についてです。
2008年の制度導入時、差別医療に怒る国民世論に押され、低所得者の保険料を軽減する特例軽減が実施されていましたが、段階的に廃止され、保険料の値上げが7回にわたって行われ負担が重くなっています。さらに、一昨年10月から75歳以上の医療費窓口負担が一定の所得の方を対象に2倍に引き上げられました。高齢者はますます必要な医療が受けられなくなりました。高齢者の命と健康を脅かす負担増は見直すことが必要です。
次に議案第55号前橋市競輪特別会計予算についてです。
公営ギャンブルは、戦後復興の時期に自治体の財政収入不足を補うために特別に認められた事業で、公設、公営、公益のためという原則で違法性が阻却された公営賭博です。本市はこの公営賭博に力を入れて、車券の売上げを伸ばし、一般会計への繰出金を入れるために、今年3月には新規開拓のためにファミリー層を対象にしたイベントを開催し、競輪レースを子どもたちにまで観覧させました。ギャンブル依存症が大きな社会問題になっている今こそ、この事業の廃止を見据えた検討をすべきです。
次に議案第56号前橋市介護保険特別会計予算についてです。
本市は高齢者の生活がますます苦しくなる中で、第9期介護保険事業計画で3年間の介護保険料を引き上げました。保険料の負担増と利用料負担も重なり、結果として「保険あって介護なし」となっています。国の社会保障を抜本的に拡充するために、介護保険の財源構造の、国庫負担割合の増額を強く求めるとともに、本市独自の保険料・利用料軽減に取り組むことです。
次に議案第60号前橋市産業立地推進事業特別会計予算についてです。
この間、一貫して資本力のある大企業誘致を目指して工業団地の造成が行われてきました。新年度も駒寄スマートIC産業団地造成事業、西善中内産業用地造成事業などに約7億円を超える予算が計上されています。一方、ローズタウン東地区は遊休地を多く抱え、この間減額売却を余儀なくされています。 私たちは、中小企業振興策として、市内で頑張っている事業者の要求に応じ、産業団地を整備することを否定するものではありません。しかし、資本力のある大企業などに企業立地促進条例で施設設置助成金、事業促進助成金、雇用促進助成金、用地取得助成金、埋蔵文化財発掘調査助成金で優遇措置を講じて工業団地に呼び込む企業誘致を推進する方針は、改めて見直すことが必要です。
次に議案第61号前橋市水道事業会計予算及び議案第62号前橋市下水道事業会計予算
についてです。
本市の水道料金は2022年度から約17%引き上げ、2025年度からさらに4・7%引き上げ合計21・7%の料金値上げが実施されます。何としても値上げを見直し、物価高騰で苦しむ市民への負担を食い止めるべきです。この間市当局も様々な努力をしてきたことは評価します。さらに今後も、県央第二水道の受水単価の引下げを求めること、地下水の利用率の引上げをすること、大口契約者の料金体系の見直しなどを行うべきです。また、水道の浄水施設や水源井戸の保守管理を民間営利企業に外部委託していることや水道管理技術を伝承し、安全な水を安定給水するためにも直営に戻すべきです。ライフラインである水道の給水停止も見直しが必要です。
以上、一般会計については賛成しましたが、特別会計については質すべきものがありますので指摘させていただきました。また、特別会計については国や県の制度を変えなければ、抜本的な改善は困難な事業も多くあり、国への意見をしっかりと挙げていただきたいと考えます。
次に議案第68号公園条例の改正、議案第70号臨江閣の設置及び管理に関する条例の改正及び議案第77号公の施設の指定管理者の指定について(大胡ぐりーんふらわー牧場の公園施設)です
前橋公園の指定管理者制度を導入する条例案、臨江閣を指定管理して管理及び利用料の収受と納期を決めることができる条例案、そして、大胡ぐりーんふらわー牧場を指定管理者にする条例案です。本市が指定管理にする最大の目的は経費削減です。市民が求める維持管理や市民サービスの充実は市の直営でも十分行えます。指定管理によってむしろ市民の声が届きにくくなります。指定管理者は企業の利益追求をするために、人件費の削減や民間企業の仕事を下請けする他の委託契約業者との契約金額の引き下げなど行政運営が悪化する可能性があります。
適切な管理・運営ができていない公共施設は赤字を税金で補填するか、公共サービスの質を下げるか、という選択をせざるを得ないケースが全国で起きています。したがって、前橋市民に最も親しまれている歴史ある前橋公園や臨江閣、およびぐりーんふらわー牧場の指定管理者制度導入には反対です。なお、公園管理事務所が公園管理と温泉施設、街路樹管理など多岐にわたり、多忙となっております。所掌業務の所管替えを変更する業務改善も必要です。
以上申し述べまして、10議案の反対討論といたします。