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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2025年3月12日 総括質問  吉田直弘 議員

1、環境に影響を及ぼす太陽光発電施設設置の問題点について質問します。

(1)まずは現状について伺います。

 赤城南面、国道353以北には太陽光発電施設が次々に設置され、さらに鍋割直下には大規模メガソーラー施設が設置されています。近隣住民からは盛り土の崩落への不安の声が寄せられています。また登山など観光に訪れた方も、景観が壊され残念という声が寄せられます。党市議団は、近隣住民の安全、赤城山の環境や景観を保全するなどの対策強化を繰り返し求めてきました。本市では「前橋市自然環境、景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」で、同条例で本市が指定する赤城山地域などの特別保全地域における事業用太陽光発電施設を設置する場合、市長の許可を必要としています。住民合意が不十分でも申請が受理されることもあります。そこで、様々な問題があると思いますが、この間、把握している内容について伺います。

【指摘】宮城地区では、土砂災害警戒区域に隣接する急傾斜地の樹木を全て伐採し、設置した施設もあります。それでも許可できるのです。申請時には条例が守られていたとしても、その後、適正に管理されない施設が多く、有害鳥獣の住処となっている施設もあります。発生している一つ一つの事例に対応し、実態を捉えるよう求めます。

(2)そこで、伺います。

①いま三夜沢町の別荘地で、太陽光発電施設の建設計画が進められていますが、住民の方々は設置に反対し、設置する場合には火災対策、排水対策、地滑り対策、光の反射による光害対策などを求め事業者と協議を重ねています。しかし、協議が平行線のまま、事業者は許可申請を市に提出しました。許可申請を受け「再生可能エネルギー発電設備設置審議会」が開かれ、私も傍聴しました。住民に対する説明会さえすれば、災害の危険性や環境破壊に対する対策に合意しなくても、申請が受け付けられるのは問題だと考えますが、いかがでしょうか。

【指摘】指導はされているということですが、合意が徹底されるよう強力な指導を求めます。私も現地を見てきましたが、建設予定地の直下には崖に面するような形で別荘が並び、太陽光発電施設の設置により雨水などが敷地に流れ込まないか心配になりました。住環境への影響や斜面の崩落の危険性も深刻と感じました。

②そもそもこうした問題は、2012年に、電力会社が20年間固定価格で再生可能エネルギーを買い取る固定価格買取制度、いわゆるフィット制度がスタートし、本市は日照時間が長く、一気に太陽光発電施設が普及したことです。住環境への影響に対する不安が住民の間に広がり、党市議団は規制を求め、2016年に「前橋市自然環境、景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」が制定されました。しかし依然として問題が起きています。フィット認定施設は、転売後の事業者も看板など設置が求められます。しかし、今回の施設はフィット認定を受けない、ノーフィットの施設であり、申請事業者は、設置後に他の事業者に転売譲渡を予定していると伺っています。ノーフィット施設とは、電力自由化により近年誕生した新電力会社と事業者が任意に売電契約を結んだ施設のことです。施設を買い受けた事業者には看板等の設置義務がなく、どこの事業者に連絡すればいいのかわかりません。このような場合に、住民の苦情や不安に対し、本市はどのように対応されるのでしょうか。伺います。

【指摘】住民の相談に対応されているということです。譲渡後の事業者にも標識を設置するよう、許可申請時に強力に求めることが必要ではないでしょうか。

(3)そこで、条例改正について伺いします。

 仮に住民が反対していても、説明会後は原則として許可申請ができてしまう現行の条例の改正が必要ではないでしょうか。岐阜県中津川市は、利害関係団体等と書面による協定を義務化しています。再生可能エネルギー施設への住民の信頼を守るためにも、協定書の締結を求め、住民合意を義務付ける実効性のある条例改正が必要と考えますが、いかがでしょうか。

【指摘】現在の条例では、赤城山の自然環境と景観を守り、近隣住民の生活環境を保全する条例の目的が果たせません。再生可能エネルギーは、本来、地域固有の資源であり、地域住民の利益につながるべきものです。実効性のある条例改正を強く求めます。

2、前橋市における地域医療体制の課題について質問します。

(1)物価高騰の影響による医療機関の現状と対策について伺います。

 本市の医療体制は、重篤な救命救急患者などを受け入れる2つの三次救急病院、入院や手術が必要な救急患者を受け入れる4つの二次救急病院が市内の医療機関と連携し、全国に誇る高度医療ネットワークを構築しています。しかし今、医療機関では材料費が高騰し大幅な減収・減益となり、職員の離職が続き、募集しても集まらない。地域医療は危機的状況に置かれています。「医療健康都市」の基盤も脅かされているのではないでしょうか。ある医療法人の経営者は、「職員の離職を食い止め医療サービスを維持するためにも賃上げが必要」、そのためにも物価高騰対策などの支援を求める切実な声が寄せられました。医療機関への支援の強化は待ったなしと考えます。そこで医療機関の現状への認識、本市における対策について伺います。

【要望】本市としても医療機関などへの物価高騰対策支援に積極的に乗り出していただくよう、強く求めます。

(2)次は、医療機関で働く医療従事者確保への支援強化について伺います。

 いま看護師の成り手が不足し、全国の看護学校も定員割れしています。同時に、現場で働く人たちの離職防止も切実な課題です。こうした状況を反映し、新年度に予算化された看護学校の入学金免除等の支援を評価します。日本医療労働組合連合会による「看護労働実態調査」によると、約8割の方が仕事を辞めたいと答えています。慢性的な人手不足による過重労働で、賃金もボーナスもマイナスで、先行きが見えず、離職を選択する方が増えていると伺いました。多くの医療機関で看護師確保のため、看護部長さんが全国の看護学校や大学を訪問し、また退職した職員に再就職のお願いをするなど看護師確保に大変苦労されています。また薬剤師も民間のドラッグストアの方が月収で10万円以上高いなど、薬剤師の確保も困難になっています。このような現状から多様な職種において病院などでの採用が困難になっている深刻な実態があります。

 そこで、離職防止に係る医療提供体制の維持、医療従事者確保へ本市独自の支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。

【提言】現状を認識されているということです。病棟の看護師からは「ナースコールがなったら、すぐに患者さんのもとに駆けつける余裕が欲しい」と切実な声が上がっています。人手不足と低賃金、休憩や休暇もまともに取れない。現場の切実な声を聞いていただきたいと思います。緊急支援は待ったなしです。

【要望】そこで、病院で働く医療従事者の確保、離職防止のため、県と連携し、医療機関への支援、診療報酬の緊急改定などを国に強く求めていただくよう、切に要望します。

3、次に、文化財保存活用地域計画について質問します。

(1)はじめに目的と体制についてです。まず同計画の策定が予算化されたことを評価します。

①本計画の策定により前橋の歴史文化の特徴が、ストーリーとして描き出されます。市民の皆さんに本市の歴史や文化、文化財保護についてわかりやすく伝える機会にしていくことが必要です。文化財とは、国や県、市の指定・未指定を問わず歴史的に地域の人々が大切にしてきたものをいいます。文化財の保護とは、保存と活用を意味します。すなわち同計画は、地域の人々が大切にしてきた文化財を、行政や市民などが協力し地域ぐるみで保護し、未来に継承するための推進体制を確立します。実効性ある計画の策定が強く求められます。そこで、本計画の目的及び策定の効果についてどのようにお考えでしょうか。伺います。

【提言】これまで議会で繰り返し求めてきましたが、文化財を保有する方々への支援の強化、また昨日他の議員が質問した郷土芸能の保存など、文化財を未来に継承する担い手育成、行政の支援や責任を具体化していただくよう強く求めます。

②本計画の策定は、本市をあげて取り組まれます。これから協議会を作ると伺っていますが、有識者をはじめ、多様な市民参加による策定が大切であり、今後の推進体制確立につながるものと考えます。さらに実務に精通した専任の職員配置が今後の課題になると考えます。そこで体制及び協議会の構成について本市の考えを伺います。

【提言】専任者を配置するということです。本未指定の文化財の調査をはじめ、とても膨大な作業を伴います。十分な人員の確保・担当課の増員を要望します。

(2)次に、住民参加についてです。

 埼玉県白岡市では、地域計画の策定にあたりワークショップやシンポジウム、公開討論を実施しました。市民提案型の文化財登録制度「白岡遺産」など新規の事業も創設されました。広く市民が参加することで、地域と共に文化財を守り、市民が保護に関わる住民参加の将来像を計画に描き出すことができたと伺っている。本市でも白岡市のように、多くの住民の参加で、多様な住民の意見を取り込むことが必要です。そこで住民意見の聴取及びパブリックコメントに至る住民参加についての考え方について伺います。

【要望】積極的なPR活動、子どもたちや障がいを持つ人たちも文化財に触れる機会を作るなど、様々な展開で進めるよう求めます。

 地域計画の策定で、学習や観光、地域振興などに繋げ、文化財の価値が広く市民と共有できるようにすることが必要です。しかし、活用に偏重し、保存が後回しになることがあってはなりません。また以前より求めてきましたが、文化財保存スペースの確保、資料の保存管理、研究、展示施設となる博物館、市民の活動と連携する保護課の職員体制の強化は、保存活用の推進体制確立のためにますます重要になります。そのための、国による財政支援が不十分です。文化財保護予算の抜本的な増額、根底にある国の教育予算の抜本的な増額を、国に求めるよう要望し、私からのすべての質問を終わります。

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