私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第13号~第16号、第20号から第22号、第44号、第47号、第49号、及び第59号、以上11議案に対する反対討論を行います。
最初に、議案第13号 令和7年度前橋市国民健康保険特別会計予算、及び議案第47号 前橋市国民健康保険税条例の改正についてです。 国保税の滞納による保険証の取り上げや、わずかな預金を差し押さえられるなど市民生活が脅かされている中で、本市の新年度予算案は、国保税を総額4億8千万円引上げ、1世帯当たり年間平均課税額を15万7000円から17万4900円へ、1万7900円もの負担増が提案されています。
物価高騰と国保税の引上げが重なれば、被保険者のくらしを押しつぶすことになりかねず、値上げ案を認めることはできません。
本市の国保加入者は、所得200万円以下が7割を占め、法定軽減の対象世帯も約6割にのぼるなど、国保加入者の平均所得は協会けんぽなどと比べても約半分にとどまっています。
国保税額の所得に占める割合はすでに1割に及んでいるため、払いたくても払えず滞納する市民が増えています。
全国知事会や全国市長会などが、加入者の所得が低いのに他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっているのを「国保の構造的問題」として、公費投入や国庫負担を増やし国保料(税)引下げを国に要望し続けています。
厚生労働省が3月13日公表した、2023年度の一般会計から決算補填などが目的の法定外繰り入れは1220億円、234市町村となりました。
その背景には、高すぎる国保税を引上げることが困難な自治体が、一般会計から繰り入れせざるを得ない実態が浮き彫りになっています。
国保が「都道府県化」されても、「地方自治の本旨」「自治体の条例制定権」を定めた憲法のもと、自治体が独自の公費繰入を続けることは可能であると考えます。
さらに高すぎる国保税の問題解決には国庫負担を引き上げるしかありません。
わが会派は今議会に、国保制度への抜本的な財政支援を国に求める意見書を提出しておりますが、本市としても国にしっかり求めるとともに、物価高騰対策重点支援交付金の活用や、一般会計からの繰り入れを決断し引上げを回避すべきです。
または、渋川市のように支援金制度を作り国保被保険者への支援を決断すべきです。
また、国保税の本市独自減免の対象を前年度所得の5割減から3割減に拡充することや、税滞納者への制裁措置である医療にかかる機会を奪う医療費10割負担をやめるとともに、マイナ保険証への一本化でなく紙の保険証を残すよう国に強く求めるべきです。
次に、議案第14号 令和7年度前橋市後期高齢者医療特別会計予算についてです。
後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に囲い込み、負担増と差別医療を押しつけるものです。2008年度の制度導入以来、8回にわたる保険料値上げが実施され、高齢者の生活を圧迫する重大な要因となっています。
2022年の窓口2割負担の導入に続き、昨年9月の「高齢社会対策大綱」で、75歳以上で窓口負担が3割となっている「現役並み所得者」の範囲を拡大し、さらなる医療費の負担増を高齢者に負わせる方針を打ち出しました。
病気にかかりやすく、治療に時間もかかる高齢者の窓口負担や保険料の値上げは、高齢者の命と健康を脅かすものであり、本議案を認めることはできません。
次に、議案第15号 令和7年度前橋市競輪特別会計予算についてです。
国や自治体が競輪を公営ギャンブルとして認めているため、売上げを伸ばすためにいたずらに射幸心をあおるような販売方法を拡大させ、ギャンブル依存症などの弊害を一層強めていることを見過ごすことはできません。
現在全国に、43の競輪場があり、競輪公式サイトで、全国の開催状況を見て、簡単にインターネットで車券が購入できるようになっています。
この安易さゆえに、増え続けるギャンブル依存症への対策を取らざるを得ない実態があります。
近年、相談者、相談対象者とも10代20代の割合が増加しており、相談者の6割が、依存症、あるいは予備群の疑いありとされており、ギャンブル依存症に苦しむ人々をさらに増やす公営ギャンブルを認めることはできません。
次に、議案第16号 令和7年度前橋市介護保険特別会計予算についてです。
ホームヘルパーなど介護人材不足と経営悪化による介護事業所の撤退・廃業・倒産が増え続けています。 さらに、今年度から政府が訪問介護の基本報酬を削減したことが大きな打撃となり、地方では、「人材・事業所がないため、介護サービスが受けられない」という最悪の事態となっています。
本市において前橋市社会福祉協議会が居宅介護支援事業所として介護事業などを行っていますが、ヘルパーが半減し、核となるヘルパーを育成する常勤ヘルパーもいなくなったと伺いました。福祉の中核的役割を今後も社協に担っていただくために、市がヘルパー育成などの支援をしていくことが必要と考えます。
また、介護の基盤崩壊により、働く現役世代が介護のために仕事をやめる「介護離職」が年間10万人にのぼるなど、家族の負担は重くなっています。「ケアマネが見つからず、介護サービスが受けられない」、「ヘルパーが不足して時間を減らさざるを得ない」、「入居できる施設がない」など家族の負担がいっそう重くなる事態が広がっています。
介護保険料・利用料の負担増にはね返らせることなく、介護職員の処遇改善、介護報酬の増額、介護事業の継続支援などを行うため、現在、国庫負担25%、都道府県と市町村負担25%、残る50%を保険料で運営されている介護保険の国庫負担を10%増やすことを政府に強く求めるべきです。合わせて、低所得者への保険料利用料の本市独自減免を実施すべきです。
次に、議案第20号 令和7年度前橋市産業立地推進事業特別会計予算、議案第49号 前橋市企業立地促進条例の改正 及び、議案第59号 工事請負契約の締結(駒寄スマートIC産業団地造成事業雨水調整池築造工事)についてです。
この間、一貫して資本力のある大企業誘致を目指して工業団地の造成が行われてきました。新年度も駒寄スマートIC産業団地造成事業、大前田樋越産業団地造成事業などに約4億4千万円の予算が計上され、駒寄スマートIC産業団地の雨水調整池の築造工事に1億6390万円の工事請負契約を締結しようとするものです。
私たちは、中小企業振興策として、市内で頑張っている事業者の要求に応じ、産業団地を整備することを否定するものではありません。
しかし、本市は、優良農地をつぶして資本力のある県外大企業などに、各種莫大な助成金を出し優遇措置を講じ工業団地に呼び込む施策を一貫して行ってきました。
条例改正で、企業立地促進条例の有効期限をさらに3年間延長することは認められません。
県外企業誘致を推進する方針は、改めて見直し、今物価高騰や資材高騰、円安などで苦しむ地元中小企業にこそ抜本的な支援をすべきです。
次に、議案第21号 令和7年度前橋市水道事業会計予算、及び第22号 令和7年度前橋市下水道事業会計予算についてです。
本市水道料金は、2022年度の約17%、8億4千万円に続き、新年度、さらに約4%、1億1千万円の値上げ予算が計上されています。
わが会派は、物価高騰で苦しむ市民に対し、国の重点支援交付金を活用し、市民生活を追い詰める値上げを回避すべきと提案しましたが、活用には否定的であり、料金値上げの本予算を認めることはできません。
全国で、老朽管路の更新、布設替えのための多大な経費確保が課題となっており、本市も例外ではありません。独立採算制を原則とする公営企業会計では、少子高齢化が進み、料金収入の増加は見込めず、結局、過大な料金値上げにより市民生活をさらに苦しめることになります。
わが会派は、これ以上の市民負担を止めるために、上下水道施設更新と強化のための抜本的財政支援を国に求める意見書案を今議会に提出するとともに、本市の自己水源である地下水の使用比率を増やし、事業経費の削減に努め、水道料金の負担軽減を求めてきました。
上下水道の職員数が全国的に激減しているなかで、安全な水を安定給水するためにも直営に戻し、技術の伝承や、災害時を想定した上下水道の技術職員をしっかり確保することも急務であると考えます。
また、水道料金未納者に対し、ライフラインである水道の給水停止をやめるとともに、生活困窮者への水道使用料の減免をしっかり行い、市民の暮らしを支えるべきです。
次に、議案第44号 前橋市乳幼児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定についてです。
2026年度から政府が本格導入する、「こども誰でも通園制度」は家庭で保育している6か月~2歳までの子を対象とし、月10時間以内で、各自治体が認可した施設と保護者が直接契約を結び、保護者の都合により、預ける施設や日時を申し込む仕組みとなっています。
本市では昨年6月から公立保育所1カ所、私立保育園1カ所、認定こども園11カ所 計13施設で試行実施をしています。
子どもも保護者も、保育の専門家や家族以外の人と交流しながら子育てできる環境の整備は重要であり、多くの保護者の要求でもあります。
しかし、空きがあれば、直前の予約も可能で、全国どこの事業所にも予約でき、市町村が事業所を認可しますが、認可基準は緩く、必要な保育従事者のうち保育士は半分でよいとされています。
保護者と離れ、慣れない環境で保育されるこどもにとって大きなストレスとなり、アレルギーや発達状況など必要な情報が十分把握されず命にかかわる事故が起きかねません。
保育士の配置基準を抜本的に改善し、専用の保育室を確保し、親の就労にかかわらず公が責任を持つ保育施設に入れる体制をしっかりと整えるべきであり、現状のままのスタートでは認めることはできません。
以上で、11議案に対する反対討論を終わります。