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日本共産党前橋市議会議員団

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議会報告
REPORT

2025年3月28日 令和7年度一般会計予算への賛成討論 吉田直弘

私は、日本共産党前橋市議団を代表して、議案第12号令和7年度前橋市一般会計予算に賛成の立場から、討論を行います。

はじめに本予算は、タウンミーティングや市民相談などで多くの市民や市内事業者など多種多様な方々の声を取り入れ、編成されたものです。市民生活の利便性を高めるデジタル事業を進め、また新たな大型開発について見直しされています。

とりわけ市長公約に基づき、市立小中学校の給食無償化を決断したことです。

そこで、党市議団が予算案に賛成する具体的な理由を述べます。

第1に、こども子育て最優先、教育予算の充実について、4点申し上げます。

1つは、市立小学校の給食費無償化についてです。

新年度から市立小学校の給食費を無償化し、本年度から実施している中学校の給食費無償化と合わせて、市立小中学校の給食費の完全無償化に約14億円が計上されました。

そもそも憲法で義務教育は無償であり、学校給食は食育として学校給食法においても教育に位置付けられています。国が教科書と同じように学校給食費についても無償化することが本来のあり方です。かつて文部省も、国会で「学用品や、交通費、学校給食も無償にするのが理想」と答弁してきました。子育て世代にとっても、学校給食費は義務教育の中で最も重い負担であり、党市議団も繰り返し無償化の決断を求めてきました。

予算審議においては、昨年の附帯決議にどう答えたのか、教育予算における他の優先課題があるのではないか、学校給食費の無償化が他の事業に影響をしないのか、活発な議論が交わされました。

当局は、税収増を見込み、まず優先すべき教育予算を確保した上で、こども子育て施策として学校給食費の無償化を位置付け、経常財源による安定運営の見通しを立て、実施を決断されました。

市議会でも2023年第4回定例会で国に意見書を提出しました。昨年第1回定例会における附帯決議の質疑では、学校給食費の完全無償化を推進する積極的な議論が交わされました。まさに議会のコンセンサスに基づくものであります。

そして、学校給食費の無償化は、市長が掲げるこども基本条例における理念を尊重し、具現化するものであります。

2つは、就学援助の支給項目に卒業アルバム代を追加しました。経済的に困難を抱える子どもたちの学びの充実を保障するものです。

また、中学校の体育館への空調設備の設置は、新年度で完了する計画です。さらには小学校の図工室や特別教室等への空調設備を新設します。これらはこどもたちの夏場の学び及び災害時の避難所環境を改善するものです。

さらに、特別支援学校の校舎4教室の増築及び特別支援学級介助員、学習サポーターの増員は、障害のある児童生徒に寄り添い、学校現場のニーズに応えるものです。

3つは、小児インフルエンザ予防接種費用助成の対象を、15歳から18歳まで拡大し、受験などを控える大切な時期の学びを支援するものです。

4つに、高校生世代のバス定期代補助は、通学における交通事故の減少や子育ての負担を軽減し、支えるものです。

第2に、誰もが安心して住み続けられる前橋について、4点申し上げます。

1つは、公共交通政策についてです。マイタクは、マイナンバーカードを持たない人も紙の利用券で利用できるように制度を改善します。同カードの保有は任意です。同カードを持つことを望まない市民の願いに応えるものです。

またデマンド交通である、るんるんバスは、芳賀地区への延伸を予定しています。これは地域住民の切実な声に応えるものです。

2つに、JR群馬総社駅の東口ロータリーの拡張工事についてです。ラッシュ時の渋滞緩和を求める住民の切実な願いに応えるものです。

3つは高齢者支援施策についてです。緊急通報システムの設置補助は、対象者を住民税課税世帯に拡充し、1ヶ月1000円の自己負担で利用できるようになります。また見守りライト設置推進事業は、6ヶ月間、設置及び利用料を補助します。これらは高齢者の命綱として、切実な市民要望に応えるものです。

4つは住宅施策についてです。住宅リフォーム補助金は、経済波及効果も10倍に上り、市民や建築関連事業者に大変喜ばれている施策です。また、市営住宅の浴槽・風呂釜の設置を進め、高齢になっても住み慣れた団地で住み続けられるよう柔軟な住み替えを進めています。

第3は、産業振興策が充実したことです。そこで2点申し上げます。

1つは農業等への支援についてです。

全国的にも食料自給率は先進諸国でも最低の38%にまで下がっています。本市農業の担い手も、この20年間で大きく減少しています。こうした流れに歯止めをかけ、農業を再生し、食料自給率の向上に取り組むことは本来は国の責任ですが、本市がその先鞭をつけたことです。

具体的には、新規就農者奨励金の年齢要件を55歳未満から60歳以下に拡大するものです。さらに農業版インターンシップ事業補助金は、1ヶ月間の就農体験中の給与相当額を支援します。

また、ふれあい体験交流事業は、農作業体験ボランティアや農業者とのふれあいを通して本市農業に対する関心を持つ担い手作りのきっかけとなるものです。

さらに、多面的機能支払交付金に係る市単独補助金は、農村環境の保全に取り組む団体や援農ボランティア団体の新設などを支援するものです。

2つは産業政策の推進についてです。人材確保支援補助金は、市内事業者の採用にあたり紹介会社等に支払う紹介手数料等を支援し、市内での雇用創出を図るものです。また設備投資支援補助金は、設備の更新等にあたる補助内容にリース設備を追加し、また省エネ設備導入にあたる補助上限を増額します。

同時に、創業サポート総合制度を継続して実施し、3年間の経営指導や利子補給、借入金の保証料補助による伴走型支援を実施し、本市で創業した人を支えています。

第4は、インフラ整備や防災対策について、3点申し上げます。

1つは道路関連予算についてです。

道水路補修改良事業は、計画的な工事発注を可能とするため予算を通年化し、道水路の補修や小破修繕等に対応できるようにするものです。

2つは消防力強化の予算についてです。

 具体的には、中央消防署赤坂分署の更新工事を行います。また消防団車両整備管理事業における消防団ポンプ自動車は4台分の更新をするものです。さらに消防車両整備事業は、災害対応特殊救急自動車、水槽付き消防ポンプ自動車等を新たに購入するなど、消防力向上に取り組むためのものです。

3つは、防災行政についてです。

防災行政無線の設備更新を、引き続き実施します。また地区防災計画策定支援は、地域住民が主体となる同計画策定への支援であり、自主防災会や地域住民との協力・連携を強め地域防災力を高めるためのものです。

第5に、平和行政、文化行政と環境行政について、3点申し上げます。

1つは、平和行政についてです。

前橋空襲と復興資料館は、本年4月28日に開設されます。

前橋空襲を知る人たちが少なくなるもとで、市民ミュージカル「灰になった街」を上演するなど、前橋空襲の歴史を語り継ぐ自主的な努力が重ねられてきました。こうした市民の願いに応え、開設されます。本市の平和都市宣言の観点に立ち、多くの児童生徒や市民が来館し、戦争の悲惨さや平和の尊さを学べる展示や企画となるよう期待します。

2つは、文化財の保存と活用についてです。

臨江閣の防火対策工事が始まり、旧本間酒造の母屋の防水補修を行うものです。また、文化財保存活用地域計画の3ヵ年にわたる策定が始まります。住民とともに文化財を守り、未来に継承する将来像を描き出すものです。

3つは、環境行政についてです。

家庭用ゼロカーボン推進補助金の充実は、温室効果ガス削減のため家庭の参加を促すものです。また自己託送の強化により、本市事業における温室効果ガスの削減、電気料金の削減に取り組むものです。2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロ、2030年までに2013年度比で44.5%削減する本市の目標達成へ、市内事業者の温室効果ガス削減も支援し一層強力な推進を期待します。

次に、予算執行上の改善点を指摘し、更なる拡充について8点にわたり要望します。

1つは、学校給食費の完全無償化を実施するためにも、私立小中学校に通う子どもたちも対象にするなど、完全無償化に取り組むよう要望します。県内では、すでに21市町村が小中学校の給食費を無償化し、新年度より本市に加えて25市町村が無償化します。国、県に対し完全無償化の実現を求めるように改めて要望します。

2つは、公共交通政策についてです。マイタクは年間利用回数70回をせめて120回にするとともに、紙の利用券による乗車回数は、法の下の平等、公平な行政サービスの観点に立ちマイナンバーカード利用者と同じ年間利用回数にすることです。またデマンドバスの運行改善へ、車両の増車による利便性確保、利用推進の一層の強化を要望します。

3つは、道路行政のあり方についてです。

都市計画道路江田天川大島線の朝倉町工区の総事業費は、事業延長845メートルに総額約23億7000万円にも上り、県庁群大線など国の事業採択により交付を受けても、全線開通する事業は少なく、さらに多額の地方債を発行しなければ事業が成り立ちません。

市民にとって身近な生活道路や通学路の安全対策などの要望を優先して応えていくためにも、道路整備方針や予算配分の見直しを強く要望します。

4つは、市営住宅についてです。現在、全管理戸数5380戸のうち、37%、2009戸が空き部屋となっています。市民共通の財産である市営住宅は、大規模改修予算を抜本的に増額し、入居の促進、空き部屋解消に取り組むことを要望します。

5つは、債権管理室についてです。徴収業務の一元化、効率化を図り、社協とも連携し生活困窮者への相談支援も行うとしています。生活困窮者の実態に応じ、迅速な債権放棄、不能欠損処理をし、生活再建に繋げることが重要です。滞納は生活困窮のシグナルとして捉え、滞納者を支援する税収納行政へ改善するため、債権管理条例の改正も必須ですので、直ちに検討し反映していただくよう要望します。

6つは、前橋テルサについてです。解体設計は、5月末ごろの完了予定です。解体経費は高騰し、莫大な経費をかけて解体しても、土地の評価額3億円程度では、経費の縮減にはなりません。解体方針ではなく、庁内横断であらゆる観点から既存建物の活用可能性を調査検討し、企業だけでなく住民意見を聴取し、建物の価値を高めて存続を検討するよう要望します。

7つは、県民会館についてです。県知事は、文化審議会の結論を待たずに、「前橋市の関与がなければ難しい」旨の発言をし、県民会館の価値を否定する言動を重ねています。そもそも県民会館の管理、改修の責任は群馬県にあり、地方財政法上も本市が負担すべき法的根拠を欠きます。県民会館の存続を求める願いにこたえ、県の責任で大規模改修すべきです。市長は県知事に対し膝詰めの協議を始めていただくよう強く要望します。

8つは、現在の物価高騰は、市民生活を圧迫し、多くの労働者の賃金が上がらないもとで健康や子どもの教育などが阻害されるなど大きな影響が出ています。また2024年の全国の休廃業、倒産件数は約6万9000件に上り、自己責任ではなく行政の責任で暮らしと営業を支える対策が必要です。

重点支援交付金を活用し、水道料金や国保税の負担軽減など、いま市民が必要とする暮らし直接応援の施策実施を決断し、多くの市民の切実な願いに必ず応えるよう強く要望します。

討論の最後となりますが、本予算編成は、多くの困難な条件が伴うもとで、市長が自らの市長公約に真摯に向き合い、市民の声を反映したものであり評価できます。

これからも引き続き市民の声を聞く取り組みを一層強化し、住民福祉の増進の観点に立った市政運営をさらに進めるよう要望します

以上申し述べまして、令和7年度前橋市一般会計予算への賛成討論といたします。

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