私は日本共産党前橋市議団を代表して、議案第15号~第19号、第23号~第26号、第38号、第39号、第41号、第44号及び第55号、以上14議案について反対討論を行います。
議案第15号、令和8年度前橋市一般会計予算について
政府は、地方自治体を支援するどころか、地方の財政を抑制し、企業の儲け先を作ろうと、公的サービスの切り捨てや、公共施設の統廃合を自治体に押し付けてきました。さらに、地方自治法を改訂し国が自治体に指示できる仕組みを広げるなど、地方自治を壊す政策を次々と進めています。
本市は、このような国の圧力に屈することなく、住民福祉の増進という、自治体本来の役割を果たすことが求められています。
以下、7点にわたり反対の理由を述べます。
1つは、再開発を最優先して市民のくらしが後回しになっているからです。
本市は、財政が厳しいと言って、市民負担増による暮らしの困難さを増幅させてきたことは問題です。今年度までに、水道料金値上げ8億4千万円、国保税引き上げ4億8千万円、マイバスデマンドバスの料金値上など行い、新年度からは、下水道使用料値上げ7億円、国保税や後期高齢者医療保険への子ども育て支援金の上乗せ徴収、子ども公園のゴーカートの値上げ、学校施設開放の使用料金徴収など次々に市民負担を増やし続けています。
一方で、聖域化している千代田町中心拠点地区市街地再開発事業は、総事業費470億円、市負担220億円と過去最大の事業費が、予定より大きく膨らむことから見直しを余儀なくされました。しかし、このまま進めれば、今後の行政運営に重大な影響を及ぼし、さらに市民負担を増大することになります。本市は最大の地権者として準備組合においてイニシアチブを発揮すべきにも関わらず、準備組合の一員にとどまり、民間まかせになっています。
一部の企業や民間団体が描く構想のまま施策展開し市民が従わざるを得ないようなまちづくりは成功しません。延期ではなく、中止・凍結も含め十分な情報公開を行い、再開発の是非を市民と一緒に考えるべきです。
2つは、前橋市が進める施策やまちづくりが、トップダウンで住民不在になっているからです。
市長は市民の声を聞き市政に反映するためのタウンミーティングに力を入れてきたと述べています。しかし、この間千代田町再開発事業もごみの広域化などの重要施策についても市民意見の聴取を徹底する姿勢は見られません。地方自治は、住民の総意と自主性のもと住民とともに作り上げるものです。市長ラジオも、施策をわかりやすく市民に説明すると言いますが、有利な主張を一方的にメディアを使って拡散することになり、市長のパフォーマンスと受け取られても仕方ありません。初心に立ち返り、市民の声を丁寧に聞くことに徹するべきです。
特に重要な前橋テルサは、最も影響を受ける商店街の声も聞かずに解体方針を表明したことに、多くの市民は納得していません。市民の声に答え建物を存続し、再整備すべきです。
さらに、前橋国際芸術祭やクリエイティブシティ構想が、トップダウンで実施されていることは問題です。市民への十分な説明も市民合意もないまま事業を進めるべきではありません。
コンパクトシティプラスネットワークのまちづくりは中心市街地への誘導ばかりが計画され、郊外などの交通不便地域に住む住民は取り残されていると感じ、改善を求める多くの意見が寄せられています。中心街も周辺地域も、どこに住んでも住民が安心して住み続けられるまちづくりに転換すべきです。
土地区画整理事業は9地区を同時施行しているため、駒形第1地区など40年を超え事業が長期化しています。国の事業採択率が低下する中で、住民は転居もできず、老朽化した自宅の修繕もできず高齢化が進んでいます。事業の在り方を見直すとともに、事業認可未定となっている二中地区第2土地区画整理事業は、住民意見をよく聞いて再検討すべきです。
3つは、地域経済を支える中小業者や市民が安心して住み続けられる前橋になっていないからです。
中小企業、小規模事業者は、資材高騰や人手不足、資金繰りや従業員の賃上げなど多くの課題を抱え厳しい経営を強いられています。こうした業者を直接支援することは本市の地域経済の好循環を作るうえで重要です。県の賃上げ促進支援金と連携し、本市も独自の賃上げ支援を行うべきです。また、公契約条例に下限報酬額を明記し、本市公共工事のもとで働く下請業者への適正な賃金の支払いを確保すべきです。
医療・介護とも2025年度の事業倒産件数は3年連続で過去最高を記録し、多くの病院・介護事業所は赤字経営で現場は深刻です。ケア労働者の賃金も民間に比べると大きく劣っています。国は診療報酬や介護報酬を改定し、介護職員の処遇改善を行いますが、引き下げられた訪問介護基本報酬の見直しはありません。本市として、訪問介護事業所の独自支援を行うべきです。
会計年度任用職員の多くは本市の基幹的業務を担っており、1年ごとの契約更新で不安定雇用を余儀なくされています。期末勤勉手当の遡及支給も実施せず、雇用の調整弁のように扱われることは問題です。安心して働き続けられる環境を整備し、雇用を守る責任をしっかり果たすべきです。
本市は債権管理室を設置し、税外債権の徴収を強化しようとしていることは問題です。対象となるのは、払いたくとも払えない、低所得階層、多重債務を抱える世帯も多いと考えます。財産なく、資力なし、生活困窮、このような人をいつまでも追い続けるのでなく、実体を見極め早期に不能欠損とし、生活再建への支援を丁寧に行うべきです。
4つは、平和都市宣言市の市長として、平和への政治姿勢が弱いことです。
アメリカとイスラエルによるイラン先制攻撃は国連憲章違反の暴挙であり、即時中止を求めるべきです。しかし、日本政府はこのようなアメリカを事実上支持する立場を取り続けています。
平和首長会議などに加盟し平和都市宣言市の市長として、憲法9条改定など政府の危険な動きに対し、しっかり反対を表明すべきです。前橋空襲と復興資料館を拠点として平和の大切さを市民と共有し、本市の平和の取り組みをさらに強化すべきです。
自衛官は命を懸けて国のために戦うという賭命義務を負い、他の職業にない特別な任務があります。この自衛官の募集に関し、本市は18歳と22歳の約6000人の名簿を住民基本台帳法の閲覧による対応から逸脱し、紙媒体で自衛隊へ提供しています。本人の同意もなく市民への情報提供もないまま、住民基本台帳情報を自衛隊に提供することは個人情報保護の観点から大きな問題です。
本市は名簿提供を望まない人には除外申請を検討するとのことですが、国民の沈黙の自由も保障されるべきあり問題です。名簿提供は義務ではなく、自治体の判断で決めることですので、自衛隊への名簿の提供は止めるべきです。
5つは地方自治を侵害する国の圧力から自治を守る姿勢が弱いことです。
本年2月4日、4市1町で、ごみの広域化の推進に関する基本合意を締結しました。そもそも、ごみ処理施設の広域化を推進する国の狙いは、施設の大型化・集約化により、PPP/PFI手法による民営化を推進することです。市民に情報開示せず、市民合意もないまま、本市がこの方針に追随することは問題です。広域化によりごみ処理経費が増え、東京23区などごみの有料化が問題になっている自治体もあります。
広域化ありきでなく、もう一度単独処理を含め再検討をすべきです。
6つは、教育・子育て施策が不十分なことです。
教育にICTを活用することを否定するものではありませんが、子どもたちの健康面や学力の低下などを心配する声が保護者からも上がっています。デジタルはあくまで授業を補完するものとして活用すべきであり、現場にICT活用を目的とした強制はすべきではありません。
「適正規模、適正配置基本方針」による小学校10校、中学校3校の統廃合の検討方針を認めることはできません。小規模校の良さは、子どもたち一人ひとりに先生の目が行き届き、子どもの人格の完成や基礎学力をしっかり身に着けることができます。
対象校は旧町村地域が多くを占めており、広大な地に学校がなくなれは地域の衰退が避けられません。子どもたちを地域みんなで育てることは地域の維持発展にとってかけがえのない役割があります。学校統廃合計画は中止すべきです。 また、部活動の地域展開については、学校、地域、家庭、子どもたちの声を聞きながら、課題を整理し、子どもたちをどう支えていくかを連携し進めることが必要です。関係者の合意を前提にし、拙速に期限を切った地域展開を進めるべきではありません。国に対しても、安定的な財政支援や制度設計など具体的な支援体制を求めるべきです。
保育料の無償化が進めば保育需要は高まることが予想されます。保育士の処遇改善や保育士不足など多くの課題を抱える保育現場において、公立保育所の果たす役割はますます高くなっています。地域の保育ニーズに応え施設整備や未満児保育の拡大など公立保育所の受け入れを拡大すべきなのに、公立保育所の統廃合を進めることは問題です。
7つは高齢者施策が弱いことです。
本市の65歳以上の高齢者は約10万人、人口の3割を超えています。
補聴器購入助成や高齢者見守り配食サービスなど高齢者向け施策の拡充で、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるための支援を強化すべきです。
バス、公共交通は料金負担の軽減、マイタクの利用回数拡充、デマンドバスのドアツードア化など利便性を向上し、安心して外出できる高齢者の足確保に努めるべきです。
次に、議案第16号、令和8年度前橋市国民健康保険特別会計予算、及び議案第44号、前橋市国民健康保険税条例の改正について
本市の国保税は、昨年、総額4億8000万円、1世帯当たり年間1万7900円の値上げを実施したばかりで、4月からは新たに子ども子育て支援金分を課すことを認めることはできません。
国は子育て施策を実施する財源3兆6千億円を医療保険制度に上乗せ徴収する支援金制度と社会保障の削減で確保するとしています。
前橋市の高すぎる国保税に、子ども子育て支援金として、新年度1億6600万円が上乗せ徴収されます。1世帯平均年4291円ですが、世帯人数、所得により負担が増え、これが3年間にわたり増額される仕組みです。市民の厳しい暮らしの実態に寄り添い、一般会計からの繰り入れを決断し市民負担を回避すべきです。
議案第17号、令和8年度前橋市後期高齢者医療特別会計予算について
群馬県の広域連合は新年度から医療分の均等割り54600円、所得割9,78%に引上げ、これに、子ども支援金の均等割り1400円、所得割0.25%が加わり、ひとり平均82527円+2087=84614円と試算しています。前年と比べ、5701円もの負担増となる見込みです。
さらに、高齢者の受診抑制を狙い、OTC類似薬の一部患者負担や高額療養費の上限引き上げなど負担も強まります。子ども子育て支援の財源は、本来国の財源で賄うべきで、あり、高齢者医療保険料に上乗せ徴収することは認められません。
議案第18号、令和8年度前橋市競輪特別会計予算について
本市は、2020年4月から日本トーター株式会社に、6年間の競輪事業の民間委託を開始し、四月からの次期事業者も同社に決定しました。この間、オンライン購入、若年層や、女性、ファミリー層をターゲットにして集客増を図り、ギャンブル依存症を増大してきたことは問題です。戦後復興と地方財政危機対策として特別に合法化した公営ギャンブルを将来にわたって存続するかどうかを、一度立ち止まり再検討すべきです。
議案第19号、令和8年度前橋市介護保険特別会計予算、及び議案第39号、前橋市介護保険条例の改正について
介護保険制度が2000年に開始され26年間、介護の社会化と言いながら、家族介護や自己負担の厳格化が進み、老々介護や介護殺人など悲惨な実態が浮き彫りになり、保険あって介護なしが深刻化しています。住民税非課税などの低所得者の保険料、利用料の減免を国に求めるとともに、本市独自でもぜひ実施し、安心して介護が受けられるようにすべきです。
さらに条例改正では、国の税制改正による給与所得控除の見直しの影響で、65歳以上の1号保険者の介護保険料のランクが変わる人への特例を設けるものです。
この内容は、非課税が課税となる場合は特例で非課税扱いにするので介護保険料負担が増えないのは良いのですが、問題は、課税が非課税になる場合です。本来なら非課税になり介護保険料が下がるわけですが、特例で令和7年度と同じ、つまり課税されていた保険料ランクのままとなります。ここに救済措置がないことは問題です。本市は介護保険準備基金の一部を活用し対象者を救済すべきです。
議案第23号、令和8年度前橋市産業立地推進事業特別会計予算について
新年度からの庁内再編で、新たに企業立地推進課を設置します。新年度は、新たに駒寄スマートIC産業団地造成と大前田樋越産業団地造成のための市債発行12億290万円が加わり、2026年度末借り入れ金の残高見込み額は、51億9000万円と増え続けています。このような巨額の市債発行をくりかえす事業を認めることはできません。
市長は、市内経済の活性化、雇用創出、税収増など稼ぐことを意識して産業団地開発に取り組むと言いますが、市財政が苦しいと言いながら、一般会計を調整弁のように使い、足りなければ特別会計へ繰り入れ、このような大型開発を続けることは問題です。さらに新たな産業用地開発に向け予算2548万6千円を計上しています。本市が農業施策に重点を置くと言いながら、優良農地をつぶして産業団地造成を続けることには反対です。
議案第24号、令和8年度前橋市水道事業会計予算、及び議案第25号、令和8年度前橋市下水道事業会計予算について
本市は国の重点支援交付金を使い水道の基本料金を6月~9月まで減免することは暮らしへの支援として評価します。しかし、この間水道料金約21%、4月~下水道料金25%値上げは市民のくらしに甚大な影響を与えるので、それぞれ撤回と中止を求めます。産業団地造成には一般会計から繰り入れながら、水道会計は独立採算だから一般会計からの繰り入れを行わないというのは矛盾しています。
また、低所得者への減免規定を作るとともに、ライフラインである水道の給水停止は止めるべきです。
国は下水道事業について、官民で下水道施設の維持管理、運営等を連携して行うウォーターPPPの導入を進めています。そして、2027年度以降、ウォーターPPPの導入を汚水管改築事業に対する国の交付金の要件としました。前橋市は、これに従い新年度、下水道事業のウォーターPPP導入検討調査を予算化しました。
国が打ち出した交付金の要件となるウォーターPPPの導入は、下水道事業の運営を民間が行うことを段階的に誘導するもので、市民の生活と健康を支える基盤であるインフラを民間の利益追求の対象にするものであり、認められません。
議案第26号、令和8年度前橋市農業集落排水事業会計予算
について
4月からの下水道使用料の改定に伴い、農業集落排水施設の使用料を同様に引き上げることは認められません。農業集落排水事業への一般会計からの負担金は3億4069万5千円。一般会計からの補助金は9747万6千円です。これは、必要な費用を同会計単独では賄うことができず、一般会計から繰り入れを行うものです。事業継続のため必要な繰り入れでありながら、この間、繰入額を減らしていることは問題です。
議案第38号、前橋市行政手続き条例の改正について
聴聞の通知等の公示送達については2023年6月のデジタル規制改革一括推進法の改正により、公示事項が記載された書面を掲示場に掲示する方法に加え、インターネット上に表示し閲覧可能とするものです。
インターネット上での公開は、情報が拡散されかねず、消せないなどの恐れがあり、期間経過後の削除も明確にしていません。デジタルタトゥーとしてサーバー上に保管され続けることにより、プライバシーの侵害になり問題です。
議案第41号、前橋市特定乳児等通園支援事業の運営に関す
る基準を定める条例の制定について
子ども誰でも通園制度が新年度から本格実施されます。保護者が就労しておらず、保育所などに通っていない6か月~満3歳未満の乳幼児を対象に、時間単位で保育所に預け、月10時間までの利用とする制度です。
人見知りの時期の乳幼児を、全国どこからでも時間単位で預けられることや事故のリスク、保護者と事業者の直接契約による公的責任の後退など、現場からは問題や課題が挙げられています。現場の声をよく聞き、子どもの命と安全を守る体制が図られるよう制度の在り方を見直すべきです。なにより、保育士の処遇改善や保育士配置基準の抜本的改善などをまず行うべきであり、本議案には反対です。
議案第55号、前橋市営住宅広瀬団地建替事業契約の締結について
新たに70戸の広瀬団地建替え事業は、契約金額32億1640万円で、例えば国が示す1戸当たりの標準建設費より約900万円も高く設定されています。
民間事業者に、設計、建設、移転支援、余剰地活用を委託して、民間資金活用による整備手法PFI方式を採用していますが、資金調達は本市が行います。本市が独自で建設するより10%費用が削減されると想定していますが、プロポーザル方式による随意契約のため、価格が妥当なのか透明性も担保されていません。
国は環境性能を考慮した木材の活用や太陽光発電などのオプションを加えることを資金調達の条件としており、高い国庫補助の配分率に誘導され、建設費が高騰することは問題です。
何よりも公金を使い32億円もの契約をする以上、公平性透明性を明確にして、市民への説明責任を果たすべきです。
一方で、市営住宅は 空き部屋率が37% 約2000戸と増加し続けています。ところが入居促進に必要な、風呂釜・給湯器の予算が新年度、確保されなかったことは問題です。 市民の共通財産である市営住宅は、大規模改修予算を抜本的に増額し、空き部屋解消にしっかり取り組むことを最優先すべきです。
以上、14議案に対する反対討論といたします。